みんなのミュシャ
ミュシャからマンガへ ―線の魔術
2019年7月13日〜9月29日
Bunkamuraザ・ミュージアム
長年、ミュシャに対しては興味なしと決めていた。さすがに、2017年国立新美術館の回顧展には「スラヴ叙事詩」目当てに訪問した。ただ、巨大カンヴァス20点以外の展示品については、混雑もあって、離れた位置から一瞥する程度で終わった。いつまでもこのままではなあ、と今回初めて通常(?)の回顧展に出動する。
本展は、ミュシャの作品はもちろんのこと、ミュシャに影響を受けた作家の作品も展示される。
一つが、1960〜70年代のアメリカ西海岸やロンドンのグラフィック・アート作品。
1910年に祖国チェコに帰国、1939年にプラハで死去、その後の鉄のカーテンで隠されていたミュシャ。1963年に開催されたロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館および2つの画廊における回顧展で蘇る。そのミュシャ再評価を背景とした作品群である。
もう一つが、日本におけるミュシャの影響を受けた作品群。
藤島武二による与謝野晶子『みだれ髪』の表紙デザインや、1970年代以降現在までのグラフィック・アート作品、そして少女マンガの絵。
そうか。少女マンガの絵か。それで、今までミュシャに距離を置いていたのか。新発見。
ミュシャ
《ジスモンダ》1894年
《椿姫》1896年
舞台女優サラ・ベルナール(1844〜1923)の芝居のために制作したポスター群のなかでは、一番最初に制作されたという《ジスモンダ》が断然良い。次に《椿姫》。
ミュシャ
《ロベール・ド・フレルス(1872-1927)著『トリポリの姫君イルゼ』プロモーション版・表紙》1897年
百合のティアラのサラ・ベルナール。色んなヴァージョンが展示されているが、この書籍の表紙の小サイズのヴァージョンが良い。
撮影可能な展示コーナーが1室用意されている。展示品はすべてミュシャ作品。撮影は床に引かれた線の外側、2列目からのみ可能。
1枚だけ撮影する。
ミュシャ
《崖に咲くヒース》
《浜辺のアザミ》

ブルターニュとノルマンディーの民族衣装の女性。
本展は、この後2020年11月末まで、京都、札幌、名古屋、静岡、松本を巡回する。


Bunkamuraの次回展、期待していいのかなあ。
建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展
2019年10月12日〜12月23日