ミイラ
「永遠の命」を求めて
2019年11月2日〜20年2月24日
国立科学博物館
レプリカや周辺資料が主かと思ったら、そんなことはない。
世界のミイラ全43体が私の怖いもの見たさを満足させる。
土曜日の午後に行く。入場待ちこそないが、展示室内は大変な人で、夕方近くなっても減らない。
【本展の構成】
第1章 南北アメリカのミイラ
第2章 古代エジプトのミイラ
第3章 ヨーロッパのミイラ
第4章 オセアニアと東アジアのミイラ
以下、ミイラ実物の展示品を主に記載する。
第1章 南北アメリカのミイラ
自然ミイラ、人工ミイラともに、世界最古のミイラはこの地から発見。
「下腿部を交差させた女性のミイラ」
ペルーの15世紀前半頃の20〜40歳の女性の自然ミイラ。
原田直次郎のドイツ留学時代の師で、人類学標本のコレクターとしても知られた画家ガブリエル・フォン・マックス旧蔵。
「人工変形頭蓋と腐敗防止処置の痕跡がある子どものミイラ」
ペルーの13世紀頃の4〜6歳くらいの子どもの人工ミイラ。
「女性と2人の子どものミイラ」
チリ北部の11〜14世紀頃の30歳代前半の女性と女性の頭部の下にいる1〜3歳くらいの子ども、そして後になって女性の上に乗せられた1〜3歳くらいの子ども、計3人のミイラ。
「チャチャポヤのミイラ」6体
インカ帝国の布に包まれたミイラ。
うち1体は包みが裂かれているが中身の露出には至っていない。うち1体は包みが裂かれ中身が露出してしまっている。
第2章 古代エジプトのミイラ
人工ミイラの世界。印象が強いミイラのみを記載。
「腕を交差している男性のミイラ」
男性生殖器の大きな飾り付けが異様な紀元前4世紀頃の男性ミイラ。
「グレコ・ローマン時代の子どものミイラ」
大人の骨で補完して形状を整えた紀元前1世紀頃の子どものミイラ。
第3章 ヨーロッパのミイラ
ヨーロッパでは、人工ミイラの文化はほとんどなく、自然ミイラが主。
「ウェーリンゲメン」
オランダ・ドレンテ州の湿原で発見された紀元前1世紀頃の2人の男性の皮膚だけが残るミイラ。
「湿地遺体の右手」
同じくオランダ・ドレンテ州の湿地で発見された1600年頃の人間の右手。
「湿地遺体のおさげ髪」
同じくオランダ・ドレンテ州の湿地で発見された紀元前500年頃の人間の髪の毛。
「湿地遺体「イデガール」(オリジナルの色を再現したレプリカ)」
オランダ・ドレンテ州のイデ村の湿地で発見された紀元前1世紀頃の16歳前後の女性のミイラのレプリカ。
羊毛のケープが巻かれていたことから、処刑されたか生贄にされたものと推定されている。
「カナリア諸島のミイラ」
スペイン、といってもアフリカ大陸の北西沿岸に位置するカナリア諸島の1300年頃の女性のミイラ。
「彩色が施されたアンナの頭蓋」
頭蓋骨に「ANNA」の文字。
解説パネルでは、教会礼拝堂の骸骨装飾やシチリア島の2歳の少女のミイラに触れられる。
また、第2会場では、アルプスの紀元前3300年頃の40歳代半ばの男性のミイラ「アイスマン」について、大型スクリーンで紹介される。
第4章 オセアニアと東アジアのミイラ
「肖像頭蓋骨」5点
パプアニューギニアの19世紀の本人の肖像を描いた頭蓋骨。
中国のミイラは、パネル解説のみで、展示品なし。人工ミイラの文化はなく、ほぼ自然ミイラとのこと。
「楼蘭の美女」(中央アジアの紀元前19世紀頃の40歳くらいの白人女性のミイラ。ただし今は黒く変色。1992年に来日歴あり)、「漢朝の貴婦人のミイラ」(紀元前2世紀頃の50歳くらいの女性のミイラ)、即身仏を内包した仏像などが紹介される。
最後に日本のミイラ。座ミイラ。
「江戸時代の兄弟ミイラ」
江戸時代の人間実物と対面する衝撃。
改装のため掘り出したところミイラになっていた兄弟。
いつ頃の人物でいつ頃発見されたのかは知らない。
「本草学者のミイラ」
宗教的な目的でなく、学術的な探求心で自らミイラとなった1832年頃の「柿の種」好き学者のミイラ。
「弘智法印 宥貞」
1683年頃の即身仏。福島県石川郡浅川町の貫秀寺に安置。
ミイラもその姿を維持するためには保存修復が大切、本展出品されるようなミイラは保存修復がしっかりなされているに違いない。
本展は、科博のあとは、熊本、福岡、新潟、富山を巡回するとのこと。地域に偏りあり、その先の巡回もあるのだろうか。
