いい人東京、発動?
権田、徳永とロンドンオリンピック組が合流した今節。だが、谷澤が千葉へ完全移籍、吉本もレンタル。河野が手術など怪我人の復帰もなかなか思うようにいかず、さらに、加賀が累積による出場停止と、相変わらず怪我人などに泣かされ、苦悩するスタメンだが、この試合では高橋と森重をセンターバックに起用。エジミウソンとトップでルーカスがサイドに配した布陣で大宮に挑んだ。
シュート数は18本対8本。シュートの意識は確かにあった。前半早々からエジミウソン、ルーカスがゴールを狙う。だが、森重が足を痛めてからはボール支配率も下がり、大宮が攻勢へ。とはいえ、東京もチャンスを演出していく。ただ、梶山のほとんどゴールかと思われたループも浮き球シュートも決まらなかったりと、決定機に脆さが出てゴールを奪いきれずに前半終了。
決められる時に決められないと相手へ流れがいく。再三東京に見られる展開だが、結果的にこの試合でもその流れとなってしまい、前方へのロングフィードに抜け出したノヴァコヴィッチが東京のディフェンス3人をあざ笑うかのように交わしてシュート。個人技で交わしたシュートはそのまま低い弾道でゴールへと吸い込まれていった。
時間が刻々と終了へと迫るなか、試合終了間際には連続で相手陣内へ攻め込みチャンスを演出していたが、相手ディフェンス陣に阻まれ続け、3連敗中の16位大宮に、ホームで痛い敗戦を喫してしまった。
試合終了後は東京ゴール裏から「シュート打て」のコール。対大宮という意味ではその数は圧倒しているのに、そう思わせなかった印象が確かにあった。
それはなぜか。おそらく東京の選手たちにやや欠けているのは、思考の柔軟性というか、臨機応変とした判断の素早さなんだと思う。
味スタは例年以上に荒れたピッチで(まだa-nationなどのライヴ・イヴェントの開催前なのに)芝はかなりはげている。試合前に水も撒けずにいては、パスサッカーもやりにくいことは事実だろう。だが、状況という意味では相手と同等。エリア付近まではボールを運べたという意味では主導権はやや大宮よりは握っていたといえるかもしれないが、ここぞという時の連係ミスやパスミスなどを繰り返して、自らチャンスを潰していった。また、パスかドリブルか逡巡したところを相手からプレッシャーを受けてボールを奪われる場面(特に長谷川に多い)も、リズムを築けなかった要因だろう。荒れているピッチならば、丁寧にボールを扱える時間を作ってやることが必要。そのためには、一瞬にかわしたり、必要以上のタッチでボールを繋ぎながらエリア内へ進出することよりも、よりシンプルにボールを支配、シュートを狙うことが出来なかったのか、ということである。夏の暑さや連戦の疲れもあるため、フリーランニングの量も少なくなるところは、致し方ない部分もある。それでも失点への注意力は欠かしてはならないものという認識があれば、切羽詰ってパスを出して相手に奪われたりすることもなくなるはずだ。もう一度、原点というか、シンプルにボールを繋ぐための動き、判断を思い出さなければならないだろう。
チャンスを作りながら、コネまわしたり余計なパス交換を増やすことでシュート・チャンスを失うことが多かった試合終了間際。時間がない中での選択肢としてはどうだったのか。そういう印象が、試合後のコールに繋がったのだと思う。
これで順位も12位と後退。残留争い圏に近づいてしまった。ナビスコで仙台に勝ったとはいえ、リーグではここ5試合勝ちなし。さらに今後はそう簡単にはいかないチームとの連戦となる。天皇杯もはじまり、ナビスコもある。疲労や累積警告の可能性も高いリーグ終盤、勝ち残るためにどのような判断、意識を持つのか。あらためてチーム内で熟考し、目の前の相手から勝点を奪い取っていかなければならない。
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<J1 第22節>
2012/08/18 味の素スタジアム
FC東京 0(0-0、0-1)1 大宮
【得点】
(宮):ノヴァコヴィッチ(78分)
観衆:18,342人
天候:晴、無風
気温:27.8度
≪MEMBER≫
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 04 高橋秀人
DF 14 中村北斗 → MF 36 三田啓貴(88分)
MF 07 米本拓司
MF 08 長谷川アーリアジャスール
MF 18 石川直宏 → MF 32 ネマニャ・ヴチチェヴィッチ(67分)
MF 10 梶山陽平
FW 49 ルーカス
FW 09 エジミウソン → FW 11 渡邉千真(77分)
GK 01 塩田仁史
DF 16 丸山祐市
DF 33 椋原健太
MF 27 田邉草民
監督 ランコ・ポポヴィッチ
◇◇◇
≪ここ5試合≫
07/14 FC東京 0-1 鳥栖(A)
07/28 FC東京 0-2 新潟(H)
08/04 FC東京 2-2 浦和(A)
08/11 FC東京 1-1 柏 (A)
08/18 FC東京 0-1 大宮(H)
≪今後の日程≫
08/25 FC東京×広島(A)
09/01 FC東京×横浜FM(H)
09/15 FC東京×清水(A)
09/22 FC東京×川崎(H)
09/29 FC東京×磐田(H)
10/06 FC東京×鹿島(A)
10/20 FC東京×C大阪(A)
10/27 FC東京×札幌(H)
11/07 FC東京×名古屋(A)
11/17 FC東京×神戸(H)
11/24 FC東京×G大阪(A)
12/01 FC東京×仙台(H)
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大宮サポーター、オレンジ軍団。

“ユルネヴァ”中の東京サポーター。

試合開始前選手整列。

試合終了。

歓喜の大宮ゴール裏。

バックスタンドのサポーターに挨拶を終え、ゴール裏へ向かう東京の選手たち。

真ん中を歩くスキンヘッドの男がネマニャ・ヴィチチェヴィッチ。
見た限りでは、なかなかアクセントとして有効な人材では? 打開する力あり。

