自滅で5戦未勝利と最悪の状態で、裏天王山“横浜”2連戦へ挑むことに。
直近5試合が0勝2分3敗のG大阪と、1勝1分3敗のFC東京。勝利に飢えている両者の対決は、宇佐美のゴラッソと試合終了直前の岸本の2発でホームのG大阪が6試合ぶりに勝利の美酒を味わった。
FC東京は、前節から安斎に代えて俵積田が先発に復帰したのみ。ミッドウィークの天皇杯・金沢戦に出場したメンバーのうち、長倉はベンチ入りしたものの、エヴェルトン・ガウディーノや野澤零温、岡、木村がベンチ外。特に攻撃陣のエヴェルトン・ガウディーノや野澤零温は最近は好調が窺えるだけに、連戦を考慮した戦術的な人選なのか、リーグではまだ足らないと見てのものなのか。
前半18分で白井が負傷し、バングーナガンデに交代を余儀なくされる。その後、試合終了までバングーナガンデがプレー出来たのは、FC東京にとって数少ないポジティヴな要素の一つか。
33分、東慶悟の不用意なファールから得たFKを宇佐美が直接決めてG大阪が先制。だが、GK波多野を含むFC東京の選手は、宇佐美が直接狙ってくるという選択肢を勝手に消してしまったのか、宇佐美の前には俵積田を含む2枚の壁しか置かず。GK波多野も宇佐美が右脚を振った直後にファーサイドへ反応して逆をつかれてしまい、飛びつくも時すでに遅し。ディフェンス時の対策の脆さが露呈した瞬間だった。
後半に入り、50分にペナルティエリア内で木本が中谷からファウルを受けてPKを獲得したFC東京だが、マルセロ・ヒアンがG大阪・GK一森に止められ、絶好の同点の機会を失ってしまう。その後はFC東京が攻勢となる時間帯もあったが、なかなかゴールの匂いがするシュートを放つまでにはいかない。正直なところ、G大阪もチームとして好調という出来ではなかったが、ファン・アラーノや鈴木徳真、その後、満田や岸本を投入して対応。1点差ゆえ試合の動向は分からない状況だったが、アディショナルタイムにファン・アラーノのシュートはGK波多野が弾いたものの、そのこぼれ球に反応した岸本が左脚でゴール左上に決めて勝負あり。FC東京はアウェイのG大阪戦では近10年で1勝6分3敗、通算でも4勝7分12敗と、かなり鬼門となっているデータ通り、G大阪の軍門に下ることとなった。
自陣の低い位置でスピードのないパスを回している限り、なかなか推進力を得られないのは、ここまで苦戦が続く中で分かり切っていることだが、なかなか改善されない。また、縦パスを入れようとチャレンジする姿勢は評価出来るが、どうしても最終ライン、あるいは、中盤の底からパスを出す先への距離があるため、かなりの精度が求められることになる。そして、パスの受け手に相手のG大阪の選手が近づいているにも関わらず、縦パスを送ってしまうから、受けるタイミングの前で潰されてしまい、逆にボールを奪われてカウンターを喰らうことの繰り返し。また、マルセロ・ヒアンへ浮き球パスを送る際も、マルセロ・ヒアンの近くに味方の選手がいないことが多く、競り合った際のセカンドボールが奪えないため、相手陣内へ効果的に侵入することが出来ないまま。これは、孤軍奮闘しているディエゴ・オリヴェイラへ当てたところで味方との距離が離れているため、結局ボールを失ってしまう昨季以前の慢性的なシステム不全と何ら変わりはない状態だ。
さらに、ペナルティエリア付近に進出しても、素早くミドルを放つなど、まずはシュートを打って相手ゴールを脅かすプレーが少ないため、相手にとっても粘り強く守備対応がされやすくなっている。ミドルシュートを放っていないとは言わないが、放っている時はおおよそ蹴った瞬間に枠外と分かる精度を欠いたものばかりで、脅威となっていない。その時の方こそシュートかパスなどボールを動かすかという緻密な判断が求められるが勢いのまま枠外シュートをしてしまっていて、シュートを打つべきチャンスのタイミングでは自重してパスや細かいタッチで手数をかけてしまい、シュートチャンスを逃す、あるいは相手のブロックが間に合うタイミングとなってしまうなど、どうにも裏目にばかり出てしまっている。
今節、最下位の横浜FM、19位の横浜FC、18位の新潟が揃って敗れたため、FC東京は降格圏には呑み込まれていないが、神戸に1対0で勝った試合を最後に、近リーグ5戦において、浦和、広島、京都に3失点、C大阪、G大阪に2点と複数失点が止まらないことを考えると、チーム状態は現在降格圏にいる3チームよりも悪化していると見えても不思議ではない。そして、FC東京は次にミッドウィークで横浜FMと、週末に横浜FCとの対戦が待っている。ちなみに、横浜FMは週末に湘南戦、その翌週には横浜FMと横浜FCが対戦するという、残留・降格圏チームにとって最大の山場となる1週間になりそうだ。
FC東京は中2日で横浜FM戦、中2日で横浜FC戦と、この暑い気候のなかで、かなりタフな日程となった。とはいえ、この2戦は死に物狂いで勝利を奪い取りにいかねばならない。連勝すれば一気に降格圏チームと差をつけることが出来るが、逆に連敗を喰らうと一気に最下位へ転落する可能性もなくはない。外国人トリオを同時出場させ、攻撃の糸口は見つけている横浜FM、今節広島戦には大敗したものの、ルヴァンカップではC大阪に4-0で勝利したり、粘り強く戦えている横浜FCと、どんぐりの背比べではあるかもしれないが、ゴールが期待出来るという意味では、FC東京ではやや劣勢と評されても致し方ないのが現状だ。
中2日の連戦では、大胆に戦術に変化を求めることも厳しく、事実上コンディションの回復に努めることが主なものとなるだろう。となれば、勝機に繋げられるのは、勝利を是が非でも掴み取るという強い意識と気概をどれだけピッチ上でメンバー全員で共有出来るかにかかってくる。失点してもうなだれる暇などなく、とにかくゴールを奪いにがむしゃらに走り、ボールを動かすことに集中することだ。大切なのはミスをした後のプレーにどれだけ意識を高めていけるか。ミスで落胆したり、セルフジャッジでボールを追うのをやめたり、ボールウォッチャーになって足を止め、人任せにしたり……といったプレーはご法度。終了の笛が鳴り終わるまで、勝利のために走ることが、どん底を打開するための一歩となるはずだ。次の2戦でそれを完遂出来れば、7月からは希望の光が差し込んでくるはず。ここで勝負出来なければ、最悪の事態も覚悟しなければならなくなる。
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明治安田J1リーグ 第21節
2025年6月22日(日)18:33KO
パナソニックスタジアム吹田
入場者数: 28,747人
天候:曇 / 気温:29.4℃ / 湿度:72%
主審:ロバート・ジョーンズ
副審:渡辺康太、堀越雅弘
第4の審判員:山下良美
VAR:谷本 涼
AVAR:淺田武士
G大阪 2(1-0 / 1-0)0 FC東京
【得点】
(G):宇佐美貴史(33分)、岸本武流(90+3分)
(東):
〈試合経過〉
17分 警告 G大 安部柊斗
18分 交代 東京 白井康介 → バングーナガンデ佳史扶
32分 警告 東京 東 慶悟
33分 得点 G大 宇佐美貴史
40分 警告 東京 マルセロ・ヒアン
64分 交代 G大 山下諒也 → ファン・アラーノ / ネタ・ラヴィ → 鈴木徳真
64分 交代 東京 東 慶悟 → 長倉幹樹 / 遠藤渓太 → 安斎颯馬 / 俵積田晃太 → 佐藤恵允
78分 交代 G大 宇佐美貴史 → 満田 誠 / ウェルトン → 岸本武流
84分 交代 東京 マルセロ・ヒアン → 仲川輝人
86分 交代 G大 安部柊斗 → 倉田 秋
90+3分 得点 G大 岸本武流
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【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 13 波多野豪
DF 02 室屋 成
DF 03 森重真人
DF 04 木本恭生
DF 99 白井康介
MF 08 高 宇洋
MF 10 東 慶悟
MF 18 橋本拳人
MF 22 遠藤渓太
FW 19 マルセロ・ヒアン
FW 33 俵積田晃太
〈控えメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 32 土肥幹太
DF 05 長友佑都
DF 06 バングーナガンデ佳史扶
MF 37 小泉 慶
MF 07 安斎颯馬
FW 16 佐藤恵允
FW 26 長倉幹樹
FW 39 仲川輝人
〈監督〉
松橋力蔵
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【FC東京 2025シーズン 試合日程】
◇2025明治安田J1リーグ
第01節 02月15日(土)14:00〇FC東京 1-0 横浜FC(A・ニッパツ)
第02節 02月22日(土)15:00✕FC東京 0-1 町 田(H・味スタ)
第03節 02月26日(水)19:00〇FC東京 3-1 名古屋(H・味スタ)
第04節 03月01日(土)14:00✕FC東京 0-2 鹿 島(A・カシマ)
第05節 03月08日(土)16:00△FC東京 0-0 湘 南(H・味スタ)
第06節 03月15日(土)14:00✕FC東京 0-1 福 岡(A・ベススタ)
第07節 03月29日(土)17:00✕FC東京 0-3 川 崎(H・味スタ)
第08節 04月02日(水)19:00△FC東京 2-2 東京V(A・味スタ)
第09節 04月06日(日)13:00✕FC東京 0-1 岡 山(A・JFEス)
第10節 04月11日(金)19:00△FC東京 1-1 柏 (H・国 立)
第11節 04月20日(日)15:00△FC東京 1-1 C大阪(A・ヨドコウ)
第12節 04月25日(金)19:30〇FC東京 3-0 G大阪(H・国 立)
第13節 04月29日(火)13:05✕FC東京 0-2 清 水(H・味スタ)
第14節 05月03日(土)14:00〇FC東京 3-2 新 潟(A・デンカS)
第16節 05月10日(土)15:00〇FC東京 1-0 神 戸(H・味スタ)
第17節 05月17日(土)16:00✕FC東京 2-3 浦 和(A・埼 玉)
第18節 05月25日(日)15:00✕FC東京 0-3 広 島(H・国 立)
第19節 05月31日(土)19:00✕FC東京 0-3 京 都(A・サンガS)
第20節 06月14日(土)19:00△FC東京 2-2 C大阪(H・味スタ)
第21節 06月22日(日)18:30✕FC東京 0-2 G大阪(A・パナスタ)
第15節 06月25日(水)19:30 FC東京 ✕ 横浜FM(A・日産ス)※1
第22節 06月28日(土)19:00 FC東京 ✕ 横浜FC(H・味スタ)
第23節 07月05日(土)19:00 FC東京 ✕ 柏 (A・三協F柏)
第24節 07月19日(土)19:00 FC東京 ✕ 浦 和(H・味スタ)
第25節 08月10日(日)19:00 FC東京 ✕ 鹿 島(H・味スタ)
第26節 08月16日(土)19:00 FC東京 ✕ 湘 南(A・レモンS)
第27節 08月24日(日)19:00 FC東京 ✕ 京 都(H・味スタ)
第28節 08月31日(日)19:00 FC東京 ✕ 名古屋(A・豊田ス)
第29節 09月13日(土)・14日(日)・15日(月)00:00 FC東京 ✕ 東京V(H・味スタ)
第30節 09月20日(土)00:00 FC東京 ✕ 川 崎(A・U等々力)
第31節 09月23日(火)00:00 FC東京 ✕ 福 岡(H・味スタ)
第32節 09月27日(土)・28日(日)00:00 FC東京 ✕ 横浜FM(H・味スタ)
第33節 10月04日(土)・05日(日)00:00 FC東京 ✕ 清 水(A・アイスタ)
第34節 10月18日(土)・19日(日)00:00 FC東京 ✕ 広 島(A・Eピース)
第35節 10月25日(土)・26日(日)00:00 FC東京 ✕ 岡 山(H・味スタ)
第36節 11月09日(日)00:00 FC東京 ✕ 町 田(A・国 立)
第37節 11月30日(日)00:00 FC東京 ✕ 神 戸(A・ノエスタ)
第38節 12月06日(土)00:00 FC東京 ✕ 新 潟(H・味スタ)
※1 横浜FMが「AFCチャンピオンズリーグエリート 2024/25」準々決勝以降進出の際は6月25日(水)19:30に、敗退時は5月6日(火)14:00に開催
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