
グッド・ミュージックに触れる喜び。
オーストラリア・メルボルン出身、2009年結成の3ピース・バンド、エレクトリック・エンパイア。その<BROOKLYN PARLOR presents“GOOD MUSIC PARLOR”LIVE at BLUE NOTE TOKYO>と題しての来日公演、2ndショウ。来日公演は2012年2月以来(そのときの記事はこちら)、人気公演となったこともあり、半年という短い期間での再来日、1日限定のアンコール・ステージとなった。
ショウの前には、松尾潔によるDJ。フロアをゆっくりと濃密な空間へと変えていく。メロウな選曲が多いなかで、久保田利伸「LOVE RAIN~恋の雨~」(おそらく、リミックス・ヴァージョン)も。ただ、フルコーラスはおろか“繋ぎ”もせずに他の曲に変えてしまったのは、客層の反応を見ての対応だったのだろうか(個人的には全く問題なかったのだが)。
ステージは左からギターのデニス・ダウラット、ドラムのジェイソン・ヒーラア、前回同様サポートにベースのサイモン・オルセンを挟んで、キーボードのアーロン・メンドーサの4人編成。前回はスライ&ザ・ファミリー・ストーンやマイケル・ジャクソンのカヴァーを披露してくれたが、今回はビートルズ「カム・トゥゲザー」をアーロンがトークボックスでチラリと演奏するのみで、1stアルバムに新曲を数曲プラスした構成。その新曲はメロウなムードに寄っており、来年(早々?)には発表する予定のニュー・アルバムはミディアムのメロウ・ナンバーが軸なのかもと思わせた。
彼らの良さは心地良いグルーヴ感。3人それぞれヴォーカルが執れるし、ハーモニーもいい。魅力は、濃厚でもなく軽薄でもなく実にシンプルに、現代風に馴染むようなにアプローチでソウルを体現しているところだろう。そして、何より音楽をエンジョイしている姿がいい。前回と比べると、良い意味で“抜け”ているというか、演奏にもこなれた感じがした。その気楽さがこのバンドをいっそう輝かせる。観客をリラックスさせ、身体を解れさせ、グルーヴに感化し易い空気を創出してくれているかのようだ。「ハヴ・ユー・アラウンド」の途中でみせるドラムのジェイソンのジェイムス・ブラウン風に発声しながらドラム・ソロを決めるところなどは、まさに自身もエンジョイしている一場面といえる。
演奏が卓抜しているという訳ではないが、なんとなしに演奏しているのにグッと引き込まれるのも特色のひとつ。言葉は悪いが、田舎の兄ちゃんたちのアマチュア・バンドっぽさは抜けないのだが、一つサウンドを奏でた途端、耳や身体が欲するグルーヴをさらりと生み出してしまう。その“みんなで楽しもうぜ”という音楽を体感するのに最も重要な要素を自然体で出来てしまうところが、彼らの人気の要因にもなっているのではないだろうか。
バンド名はエンパイア=帝国、帝政と何だか高圧的な印象だが、こんなにジョイフルでフレンドリーな帝国ならば、観客もリスナーも大歓迎だろう。来春(?)を予定している次の新作が待ちきれない。
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<SET LIST>
≪DJ TIME≫
Kiyoshi“KC”Matsuo
≪ELECTRIC EMPIRE SHOW≫
01 Everything I Am
02 Brother
03 Have You Around
04 I Just Wanna Give It(Including phrase of“Come Together”by The Beatles)
05 Then Its Over
06 Changin'(New Song)
07 Life Again
08 Hello Mr.Morinin'(New Song)
09 Little Things
10 Yes I Will
11 Baby Your Lovin'
12 Always
≪ENCORE≫
13 Love
14 Take My Higher
<MEMBER>
Dennis Dowlut(g,vo)
Aaron Mendoza(key,vo)
Jason Heerah(ds,vo)
Simon Olsen(b)
KIYOSHI MATSUO(DJ/TurnTable)
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“Have You Around”Live @ Lighthill Sound Recording
“パッパッパー”のコーラスも心地良いアッパー・グルーヴなナンバー。
オリジナルよりやや速めかも。
松尾潔がDJで流した「LOVE RAIN~恋の雨~」。
フロアではこれよりもテンポを落としたスムースなヴァージョンだった。
この動画もオリジナルとは異なるストリングスをアクセントにしたヴァージョン。


