シネマティックかふぇ

映画の感想を中心に日々更新中。是非おくつろぎを♪

亡国のイージス

2005年09月30日 | 映画レビュー
「未来は渡さない。」




福井晴敏の傑作小説を、豪華キャストで描いたアクション大作。海上自衛隊、航空自衛隊の全面協力を得た本物のイージス艦の迫力に注目。

国家に反旗を翻したイージス艦副長の宮津は、恐ろしい化学兵器をミサイルに搭載し、照準を東京に合わせる。国家への復讐を企てる宮津から艦を取り戻す為、先任伍長の仙石は、若き兵士・如月とともに奮闘するが・・・

これは間違っても原作を読む前に観てはなりません。稚拙な脚本のせいで、人物背景が全くわからなくなる可能性があります。ここまで説明不足だと、原作にみなぎりまくっていた緊張感も、ウザイほど描かれていた内面描写も伝わってこない。女兵士ジョンヒの扱いなんて酷いものです。

これは、日本版「ザ・ロック」(マイケル・ベイ監督によるアクション映画の佳作)。アルカトラズに篭城し化学兵器で何千万人の国民を脅かすテロリストのリーダー(エド・ハリス)は、そのまま本作の宮津艦長に重なる。葛藤する姿も、仲間割れに戸惑う姿も、似てるよね。そして、たった二人でテロリストに挑むショーン・コネリーとニコラス・ケイジは、本作の如月と仙石に似ている。タイムリミットぎりぎりで爆撃機に旗を揚げるニコラスは、本作ラストの先任伍長の姿にそっくり。十分楽しめるレベルまで持ってこれてるのは評価したいけど、第二の「ザ・ロック」にはなりきれなかったかな。

千ページを越す長大な原作を2時間余りで描くこと自体無謀と言えるのだけど、もう少しうまく描けたような気も。アクション描写も何だかイマイチだし・・・マイケル・ベイが、いかにアクション演出に優れた監督であったかがよくわかります。自衛隊の全面協力を得ているだけに、なかなかの迫力を生み出してはいるんだけどね。


独断評価:★★★

オフィシャルサイト



人気映画blogランキング♪

シン・シティ

2005年09月29日 | 映画レビュー
「この街では、愛さえも闘い」




グラフィックノベルの鬼才フランク・ミラーの代表作を、「スパイキッズ」のロバート・ロドリゲス監督が超豪華キャストで映像化。

今までにない映像表現と構成で、全編がとにかくクールでカッコいい。モノクロ映像を基調にしつつ、所々に鮮やかな色を付ける「カラー・オブ・ハート」な演出もクールだし、マンガチックでハードボイルドな語り口もまたクール。最高です。こういう映画を待ってました!人を選ぶ映画ではあるけどね。

ほぼ全編に渡ってCG合成が行われている為、セットもないに等しく、俳優同士もほとんど顔を合わせることがなかったんだとか。なのに大作感があるのは、監督の手腕によるところが大きい。常に低予算で撮り続ける監督の姿勢は、見習うべきだね。

エピソード1は、ミッキー・ローク扮するマーブが主役の壮絶な復讐劇。”フロド”が不気味です。エピソード2は、クライブ・オーウェン扮するドワイトが主役。娼婦たちとギャングが入り乱れる大バトルが展開。デボン青木が強烈です。そしてエピソード3は、渋さ全開で好演するブルース・ウィリスとジェシカ・アルバが共演する愛と復讐のドラマ。

まるで3本の映画を観ているような濃密な2時間。マジで痺れます。ただ、ホラー映画並みに生々しい残酷描写が連発するのでご注意を。

嬉しいことに、既に続編製作が進行中。ドワイトが活躍するエピソードが描かれるんだとか。来年公開予定。


独断評価:★★★★★

オフィシャルサイト



人気映画blogランキング♪

ファイルナルファンタジー7 アドベントチルドレン

2005年09月25日 | 映画レビュー
「全ての運命には語るべき理由がある。」




1997年にプレイステーションで発売されて以来、全世界で900万本を売り上げた「ファイナルファンタジーⅦ」の続編が、「ゲーム」ではなく「映像作品」として登場。ヴェネチア国際映画祭にも出品された話題作です。

Ⅶは、プレステ初のFFの新作というだけでなく、ゲームが映画的な興奮を与えうるものだと認識させた記念碑的な名作。その後のRPGが本作の影響を少なからず受けていると言えるほどです。それまでのゲームの常識を覆すような深いストーリー展開とシステムに衝撃を受けて、寝る間も惜しんでプレイした人も多いと思う。

暗く悲壮的な状況の中で自らのアイデンティティーを見出そうとする主人公なんて、それまでにない設定だったと思います。ついに迎えたクライマックスに続くエンディング(五百年後にレッドXIIIが荒廃したミッドガルを見下ろしてる場面)は、かなり物議を醸したものでした。「エっ…?」みたいな。本作は、何とそのエンディングから始まります。

続編はゲームではなくCGアニメーションとして製作されたわけだけど、ちゃんとあの世界が描かれているので安心。クラウドほか主要キャストも、ほぼ出てくるしね。映像には定評のあるスクウェアならではの美麗なCG映像に酔いしれ、あまりにもスケールがデカすぎなアクションに興奮必至です。それにしても、みんな異常に強い…と思ったら、クラウドたちはレベル99という設定らしい。

意図的に意味をわかりにくくしている描写があるが、そのあたりは観た人とあれこれ話すのも面白いかもね。出来は悪くないです。

最新作であるシリーズ12作目「ファイナルファンタジーXII」は、来春発売。楽しみ~


独断評価:★★★★

オフィシャルサイト



人気映画blogランキング♪

チャーリーとチョコレート工場

2005年09月10日 | 映画レビュー
「さあ、世界一オカシな工場見学へ!」




ロアルド・ダールのベストセラー小説「チョコレート工場の秘密」を、鬼才ティム・バートン監督がジョニー・デップと4度目のタッグを組んで映像化。チャーリー役は、「ネバーランド」でもジョニデと共演した注目のフレディー・ハイモア君だ。

貧しい家庭に暮らすチャーリーは、いつか家の近くにある世界一大きなチョコレート工場に行くことを夢見ていた。ある日、工場主のウィリー・ウォンカ氏(ジョニー・デップ)が、世界中の子供達から5人を工場見学に招待する。チャーリーは、祖父とともに不思議な工場へ足を踏み入れることになるのだが。

これぞティム・バートンでしか描けない究極のファンタジー映画でしょ。今年のベスト1に挙げるべき超面白い傑作。子供向けと思いきや、大人だからこそ楽しめる内容です。ブラックユーモア満載で、バートン的な毒が詰まりまくってるにもかかわらず、ラストはきっちりと感動させて終わらせる丁寧な作り。ダニー・エルフマンの音楽、まるで遊園地なチョコレート工場内部の面白さ、そして何より最高に楽しいウンパ・ルンパ(一人何役??)のダンス&コーラス。甘いどころか辛辣さ満点なところが、バートンらしくてたまりません。

それにしても、悪ガキたちが次々と悲惨な目に合って脱落していくところなんか、健全なディズニー映画にはないブラックさ全開。お子様は安心して観れません。そこにウンパ・ルンパが毎回登場してダンスを踊るんだからね(全4回)。

「ビッグ・フィッシュ」は父と息子の感動的なお話でしたが、本作も家族がテーマとなっており、原作にはないウィリー・ウォンカ氏の過去も描かれています。変人のウォンカも、ジョニデが演じると魅力たっぷりな男に変身。ホント、こういう変な役を好む俳優だよね。チャーリー役のフレッド君とその祖父役のデビッド・ゲイリーも良い味を出していました。

最初から最後までたっぷり楽しめる素晴らしい作品です。オススメ!

今秋、ティム・バートン&ジョニーデップの最強コンビは、もう1本楽しそうな作品を用意しております。「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」に続くストップモーション・アニメ「コープス・ブライド」。これまた最高に面白そうですぞ!ジョニデ自身は、来年公開予定の「パイレーツ・オブ・カリビアン2」を現在3作目と一緒に撮影中。楽しみです~


独断評価:★★★★★

オフィシャルサイト



人気映画blogランキング♪

SHINOBI 忍

2005年09月08日 | 映画レビュー
「愛し合う運命。殺し合う宿命---。」




山田風太郎の「甲賀忍法帳」を原作に、忍術とはとても思えない特殊能力を持つ忍たちの激闘をVFX満載で描くアクション大作。

さながら実写版「NARUTO」といったところ。忍術というかまるで超能力を持つ忍たちが、木ノ葉隠れの里ならぬ鍔隠れの里、及び卍谷の里を掛けて死闘を繰り広げる。

忍たちの個性的な能力が面白い。弦之介(オダギリジョー)の技って最強じゃん。映画ではわかりにくいのだが、相手を自滅させる能力?それともディオの”ザ・ワールド”と同じ?まぁ、いずれにしろ条太郎にしか倒せません。朧(仲間由紀恵)の技もこれまた凄いというかある意味無敵。白眼もしくは写輪眼か。一番おいしい役どころで場をさらいまくりの薬師寺天膳(椎名桔平)の技は、奇壊蟲かな。この原作に、NARUTOが影響を受けているんだろうね。原作をマンガ化した「バジリスク 甲賀忍法帖」(全5巻)やテレビアニメもOA中だ。

ストーリー的には、もう少し人物背景を詳細に描いてほしかったです。説明不足でわかりにくい部分が多い。弦之介と朧の悲恋がメインのはずが、中盤で朧が忘れられたかのように出てこない。これではラストの感動が薄れてしまうよ。闘いをメインにするのもいいけど、ストーリーをおろそかにしてはほしくなかったな。それでも十分エンターテイメントして楽しめる娯楽作です。結構オススメ。


独断評価:★★★★

オフィシャルサイト



人気映画blogランキング♪

愛についてのキンゼイ・レポート

2005年09月05日 | 映画レビュー
「その“愛”に満足していますか?」




邦題は、「性についてのキンゼイ・レポート」の方が妥当だと思います。人間の性行動について真面目に研究に取り組んだ一人の魅力的な男のお話です。いやらしいとか気分が悪くなるようなものではなく、しっかりと作られた見応えある秀作。

実際のキンゼイ博士もそうだったのかどうかわからないが、とても魅力的で面白い人物だと思う。研究の為には自分の体をも利用する突撃取材を敢行する彼だけど、全ては研究を追求する為のものであって、いたってマジなところがイイ。キンゼイ夫婦は、本当にああだったのかなぁ。

傑作「ゴッド・アンド・モンスター」(マグニートーじいさんのネチっこさが不気味すぎ~)のビル・コンドン監督なので、往々にして同性愛者に対する視線が描かれています。キンゼイ博士自身も同性愛的嗜好があったようだし、実際に監督が描きたかったのは同性愛問題についてなのかも。

話題になっている性器の無修正シーンですが、学術的な講義での場面なのでいやらしくないし、特に衝撃的なものではないです。ご安心を。ただ、この場面が無修正なのに、なぜ他のシーンの男性器には修正が入ってるんでしょうか??映倫の基準がよくわからんち。

10秒でイケる男って、本当にいるの???



独断評価:★★★★

オフィシャルサイト



人気映画blogランキング♪

霊 リョン

2005年09月03日 | 映画レビュー
「忘れよう、悪い夢を。」




韓国映画「彼女を信じないでください」のキム・ハヌル主演による切ないホラー映画。監督は、本作が初監督作となるキム・テギョン。

記憶を失った女子大生ジウォンの周りで、次々と高校の同級生が変死する事件が起こる。夜毎、悪夢に悩まされる彼女は、失われた過去に事件の真相が隠されていると思い調査を始めるが…

可愛いキムちゃんが絶叫女優の仲間入りです。音によるショック演出を多用しているところや、明らかに貞子&伽椰子の影響を受けている恐怖演出はいただけないけど、物語はなかなか面白くてちょっとした拾いモノだと思う。次第に明らかになっていく主人公の記憶。主人公を苦しめる過去の記憶が明らかになるラストは、結構ビックリさせられます。

実は伏線もちゃんと張ってある「シックス・センス」系のミステリー映画なのであります。切ないんだけど、よく考えると怖いお話ですな。
水を利用した恐怖演出は、なかなか功を奏していると思います。水と言えば、最近では「ザ・リング2」を思い出しますね。今秋公開予定の「仄暗い水の底から」のハリウッドリメイク「ダーク・ウォーター」も、水だらけですな。

人の強い想念が時に実体化したものが霊という存在なのかも。オカルトものは、基本的に深い悲しみを負った者が霊として現れるという話が多いしね。



独断評価:★★★☆

オフィシャルサイト



人気映画blogランキング♪