Chateau Grand Vin日記

◯◯◯プロデューサーJの日常のつれづれ

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Fujiya1935(大阪市中央区鎗屋町)

2009-09-06 13:53:07 | Weblog
 夏が終わり秋の気配を感じ始めた大阪の夜の街をゆっくりと歩いた。 谷町三丁目から本町通りを西に向かって坂を下り、下りきった松屋町筋との交差点を左に曲がると左手に重厚な木製の扉が見える。

冷たさを感じる重い扉。 その扉を開き中に入ると赤と緑を基調としたラテン的な温かい壁が見える。 その向こう側には曇り一つなきガラス張りの清潔感あるクールなキッチン。 「クールさと温かさが程よく融け合った店内」はとても落ち着ける。

この店のオーナーシェフ藤原哲也さんは1974年大阪生まれ。 1935年創業の洋食店「ふじ家」の四代目となるべく専門学校やホテル勤務を経たのちイタリアに渡り、二つ星レストラン「La Francescna(ラ・フランチェスカーナ)」にて修業された。

その後、スペインに渡り、バルセロナの星付きレストラン「L'Esguard(レスグアルド)」にて先進的な現代スパニッシュを学ぶにこととなる。

因みに、このレスグアルドのオーナーシェフ「ミゲル・サンチェス・ロメラ氏」は20年以上のキャリアを持つ現役の脳神経科医である。週に2日は自身のクリニックで診療にあたり、大学の医学部で講義を行われ、残りの5日はシェフとして厨房に立つという生活をされているそうである。 氏の作り出す、「現代芸術のような美しさを持つ料理」と、脳神経学上立場からの「味覚へのアプローチ」は独創的で、現在世界で最も注目を集めている料理人の一人とも言われている。

2003年に藤原哲也さんはスペインより帰国し、先代よりお店を引継ぎ「Fujiya1935」をスタートさせた。
全16種に及ぶコース料理は一皿一皿のポーションがとても小さく、独創的でかつ芸術性がある。 あるものはエスプーマ(亜酸化窒素ガスボンベ)を使って泡状にしたり、またあるものは液体窒素を用いて凍らせ白い煙を出したりと、一皿が出てくる毎に「驚き」や「遊び心」を感じ「好奇心」をかき立てられる。 まるで、スペインの三ツ星レストラン「エル・ブジ」さながらである。

 しかし、藤原氏いわく

「うちの料理は純粋なスペイン料理ではありません。もう一つの修業先であるイタリア料理の影響も強く受けていますし、何といっても僕は日本人ですから、日本人としての感性を生かして日本の食材を使い、日本の四季の移ろい等も表現し(日本人としての)個性を出していきたいです」

 そう言われると本日のコース料理には「鮎」や「磯の香りの風船」「サザエ」等、「夏の海や川で遊んだ記憶」を呼び起こさせるものもあり、逆に「松茸」「トリュフ」等秋の気配を感じさせるものもあった。9月初めという、この時期特有の「過ぎ行く夏への寂しさ」さえ鮮やかに表現されていた。
 
 この様な料理人、藤原哲也さんであるが、長めの休みを取られた時には、スペインやフランスに渡り、名店を食べ歩く等、料理の研鑽に余念がない。また、ミシュランガイドで三ツ星を獲得しているだけでなく、業界誌「レストラン」でも2005年「世界のレストラン第1位」に輝いたロンドンの名店「ファット・ダック」の厨房に入り調理技法を修練するという活動もされている。


最後に、ある質問を藤原哲也さんに投げ掛けてみた。
「この秋にでる関西ミシュランで星を取られるのですか?」

それに対し、藤原さん

「いや~、グランメゾンとかだと分かりませんが、うちの様なこんなちっぽけな店舗で、8,000円程度のコース料理を出す店が星を取ることは無いでしょう。ただでさえ、席間の狭さでお客様にご迷惑をかけて申し訳なく思っておりますので…」

 若き巨匠はあくまで謙虚である。

「クールな料理と、藤原哲也さんの(気さくで)温かい人柄」
これも「Fujiya1935」の大きな魅力の一つなのである。






「Fujiya1935」

大阪市中央区鎗屋町2-4-14
TEL 06-6941-2483





【あとがき】

 Fujiya1935様は、2009年10月16日発売のミシュランガイド京都・大阪で、二つ星を獲得されました。
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