Chateau Grand Vin日記

◯◯◯プロデューサーJの日常のつれづれ

Cocktail Bar Dank   平井明美 (高松市)

2010-03-31 17:16:46 | Weblog
「平井さん、(フレンチレストラン)トモシロ イノウエってご存じですか?」

「ええ、知っています。行ったことが有りますよ。とても美味しくて素敵なレストランでした」


 平井明美さんは、いつになく幸せそうな表情で答えられた。 料理のおおよその値段を訊ねたところ、分からないとのこと。

「ご馳走になりましたので…」とまた少し微笑まれた。こんな幸せそうな平井さんは初めて見る。


 因みに、平井明美さんは20代前半のOL時代に、たまたまアルバイトで入った高松の名BAR「ル・カマラード」で才能が開花し、それが天職となって、バーテンダーとして独立を果たされた方である。 その修業時代にル・カマラードで彼女を指導したのが、全国カクテル・コンペティションで優勝し世界大会にまで出場されたあの高松を代表する名バーテンダー、大沢洋仁氏(現、BARふくろう店主 )ということである。


 平井明美さんは日本バーテンダー協会(NBA)カクテルコンペティションにも出場され、

2001年 日本バーテンダー協会・四国大会・創作カクテル部門においてオリジナル・カクテル「ダンデライオン」を擁して優勝。


2003年 日本バーテンダー協会・全国大会・創作カクテル部門で第三位獲得。(カクテル名:ロイヤル・パープル)


2004年 日本バーテンダー協会・四国大会で優勝し同年、神戸で行われた全国大会にも出場されている。(カクテル名:アトランティス)


 営業時間中の平井明美さんはとても自然体で、お客さんとの距離感の取り方が絶妙である。自らの腕に奢ることなく、とにかく「誠実で」「謙虚」「冷静で」「容姿端麗であるにもかかわらず、いい意味で、女性的な面を見せることなく」バーテンダーとしての品格さえ感じさせられる。 まさに、女性バーテンダーの鏡とも言える人物である。

 
 
 話を戻すが、そのような彼女であるから、しかるべき方にフランス料理をご馳走されるなど当たり前の様に有る事であろうと思われた。しかし平井さんはつぶやいた。

「友達が招待してくれたんです」


 平井明美さんは昨年10月、独身時代にピリオドを打ち結婚されることとなった。お相手は高知県を地盤として活躍されている会社経営者とのこと。あの平井さんが選ばれたということは、「なかなかの人物」であることが想像された。

 しかし、お互い仕事が忙しく活動されている拠点が離れていることもあり挙式と披露宴は行わず入籍だけで済ますこととなった。


 
 そんな中、高校時代の同級生を中心とする7名の親友から「平井明美さん夫妻を囲んで食事会をしよう」という話が持ち上がった。



 約束の11月3日の午前10:00に待ち合わせ場所に行ったところ、案内されたのはレストランではなく「写真スタジオ」だった。
 
 美しいウエディングドレスが用意されていた。
 
 純白のドレスに着替えて写真撮影に臨もうとしたとき親友達から「ブーケ」が渡された。

「これ、私達が作ったのよ」

 その瞬間、こらえきれず平井さんの目から大粒の涙が流れ出した。ぽたぽたとこぼれ落ちる涙。

 
「明美ちゃんが泣いてる。あの冷静で物事に動じない明美ちゃんが…」

 あたたかく見守る彼女達の目にも涙が溢れていた。
 
 

 撮影が終わって別れ際に

「今日は明美ちゃんの涙を見れただけでも来た甲斐があったわ」

と笑いながら渡されたのが「トモシロ イノウエ」の場所と名前だったのである。


「最近、高松ですごく評判のいいフランス料理店なの。私達が二人の為にランチを準備しているから今から行ってゆっくりと食事してきてね」

 
 街の高台にあるレストランからの眺望は素晴らしかった。
 美味しい料理とマダムの温かいもてなし。コースの最後に運ばれてきたデザート・プレートにはフランス語で「明美さん、政昭さん、ご結婚おめでとう!!」とデコレーションされていた。


 
 現在、彼女の左手薬指にはシルバーリングが光っている。

 「結婚したことを隠したくないんです」
 
 いかにも平井明美さんらしい一言であった。





「Cocktail Bar Dank」


香川県高松市丸亀町9-7 杉山ビル 1F

TEL 087-851-1020

営業時間 19:00~翌2:00

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