「“ゲノム編集”食物~密着 食の未来の最前線~」
[BS1] 2017年11月12日(日)
2倍の速度で育つトラフグ、血圧上昇を抑えるトマト、アレルギーになりにくい卵など、いま遺伝子操作の新技術“ゲノム編集”で
新たな食物が次々に誕生している。科学者たちが食の未来のカギを握ると注目する技術だが、そこで問われているのが、安全性だ。
何をすれば安全が証明できるのか、どうすれば消費者の安心につなげられるのか。遺伝子組み換え作物への不安が根深い日本で、
先頭を走る研究者たちの開発最前線に密着する。
ゲノム編集(Genome Editing)とは
ゲノム編集(Genome Editing)とは、CRISPR/CasシステムやTranscription Activator-Like Effector
Nucleases(TALEN)等の技術により遺伝子特異的な破壊やレポーター遺伝子のノックイン等を行う
新しい遺伝子改変技術です。
CRISPR/Cas9システム は、ゲノム編集の最新ツールで従来技術と比較して迅速かつ簡便で、注目を
集めています。特異的なゲノムの破壊や置換を可能にするフレキシブルかつシンプルなシステムで、
高い特異性と低毒性という特長を持ちます。
CRISPR/Cas9ゲノム編集システムでは、Cas9タンパク質(DNA切断酵素)と、ヒトU6ポリメラーゼIII
プロモーターで発現されたガイドRNAベクターを共発現させ、特定の標的DNA配列を切断します。
3'末端にプロトスペーサー近接モチーフ(PAM - 配列NGG)が存在すると、Cas9がDNA二本鎖を解離させ、
ガイドRNAによってターゲット配列を認識して両方の鎖を切断します。
Transcription Activator-Like(TAL)エフェクターは、酵素(TALEN)、転写因子(TALE-TF)及び
その他の機能性ドメインとの標的配列特異的な融合により、位置特異的な遺伝子編集ツールを作成するために
利用されています。これらの融合タンパク質は染色体の標的配列を特異的に認識・結合し、ノックアウト、
ノックイン(ドナープラスミドを含む)、改変、活性化、抑制等の遺伝子編集(gene-editing)を実現します。
3 塩基を認識するジンクフィンガー(ZFNs)と異なり、TALエフェクタードメインは1塩基を認識するため
どのような配列であっても標的とすることが可能です。
2013年に「クリスパー」が報告されて以来、ヒトをはじめとした、あらゆる動物細胞において、選択的に
遺伝子を「無機能化」したり、遺伝子を変更することができる「この技術」は、
その、「分子ハサミ」により「遺伝子工学」を改革し続けており、癌や、遺伝性疾患の治療における、
遺伝子療法への発展を期待されています。
ゲノム編集とCRISPR/Cas9が8分でよくわかる動画