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ロシアの扉を叩くフィリピン

2017-03-29 19:16:37 | フィリピン

ロシアの扉を叩くフィリピン

2017年03月28日 21:26  SPUTNIK

フィリピンはロシアの軍備にあからさまな関心を示している。ロシア国家コーポレーション「ロステク」のヴィクトル・クラドフ役

員、国際協力・地域政策担当はマレーシアのランカヴィ島で3月21-25日に行われた国際航空宇宙海軍事機器展(LIMA-

2017)の閉幕にあたってこう指摘した。「以前はロシアと協力など一切行ってこなかったような国が今や文字通り扉を叩いてき

ている。たとえばフィリピンがその一例だ。」ロシアは同見本市に国防産業複合体20社のおよそ500点を出展。


クラドフ氏はフィリピンは以前もロシアの航空・海軍機器および小火器への関心を示したことがあったが、長年の米国への従属からこ

れを抑制したと強調している。「今や状況は変わった。フィリピンは我々の機器への関心をあからさまに示すことを恐れていな

い。また我々のほうも提案を行っている。」クラドフ氏はこう補足しながら、両国の潜在的な協力は特定の第3国に向けられたもので

はないと指摘した。フィリピンはここ数年、日本、韓国からかなりの量の兵器を購入したものの、それでも兵器の主たるサプライヤーは

依然として米国だった。ただしそれとの関係はここ最近、緊張化してきている。


2016年12月、ロシア国防省および連邦軍事機器協力庁の指導部との交渉のためフィリピンのデリフィン・ロレンザナ国防相はモスク

ワを訪問。そして翌年の2017年2月、フィリピンでロシア・フィリピン間で地域・国際安全保障問題を話し合う初の協議が行われてい

る。このときロシア側の代表団を率いたのはニコライ・パトゥルシェフ連邦安全保障会議書記だった。


現在「ロシア国防輸出(ロスオボロンエクスポルト)」フィリピン向けの提案を準備している。アジア太平洋諸国の市場向けに最も将来性

の高い機器として専門家らからは戦闘機 スホイ35、スホイ30MKM、スホイ30MKI、演習用軍機ヤク130、無人航空機「オルラン

10E」と「タヒオン」が挙げられている。またヘリコプターのカー52、ミー17も外国のバイヤーの関心を惹きつけている。今年1月、マニ

ラに停泊していたロシアの対潜艦「アドミラル・トリブツ」を視察したドゥテルテ大統領は、ロシアの戦艦に対して前もって通達を行えば

フィリピンの水域に入ることを許可することを決め、ロシアが連合国となって自分の国を保護してくれることへの期待を表した。ロシア人

軍事評論家のヴィクトル・バラネツ氏はこれについて次のような見解を表している。


「ドゥテルテ大統領が誰よりもまず最初にシグナルを送っているのがロシアと中国だ。我々はフィリピン海軍とは何かを非常に

よく理解している。フィリピンの艦隊は小規模で、当然ながらロシアや中国のような世界の大艦隊に寄りかかることを欲してお

り、フィリピンは共に演習や海上訓練を行うことを望んでいる。だがこの地域でなんらかの新たな軍事政治勢力を語るのは時

期尚早だ。」


モスクワ国際関係大学東洋学科のラリサ・エフィーモヴァ教授は、フィリピンは自由に動き回ることを求めているとして、次のように語っ

ている。「フィリピンは一方では誰とも喧嘩をしたくない。特に東南アジアとは争いたくないが、自国は親交を望む大国らと付き

合いを広げたいと望んでいる。とはいってもそれはフィリピンにとって利益となる程度の付き合いだ。フィリピンは自国にとって

最大限利益となるようあらゆる国と貿易をし、どこにも最優先権を与えずにあらゆる相手と協力をするだろう。これはロシアに

対しても完全に同じだ。もちろんフィリピンは投資、消費市場の拡大、あらゆる分野における自国の交流の多極化を必要として

いる。だからロシアがフィリピンに兵器を売ったところで何の間違いにもならない。ロシアにはこれは利益になるし、フィリピン

だって良質で安価なものを探しているのだから。ドゥテルテ大統領の課題は米国との協力は拒まないものの、これと対等に付

き合い、それからの影響を均等化することだ。だが他の大国との一方的な付き合いに走ることは決してない。なぜならばそうす

ることは自分の手を縛ることを意味するからだ。プラグマチックで自由な動きというのは今、東南アジア諸国のどれもが採るト

レンドだろう。」


フィリピンがロシアとの関係強化を図ろうとしているのはこのほかにも農業、エネルギー、貿易経済分野での協力も同様で、これらにつ

いては両国間ですでに活発な討論が行われている。貿易経済協力に関するフィリピン・ロシア合同委員会の第1回総会は今年5月初

旬にも行われる。またドゥテルテ大統領自身のロシア訪問日程はまだ合意に達していないものの、ロシア外務省のサイト上には今年上

半期にも行われる予定と示されている。