北が弾道ミサイル発射 襟裳岬東2200キロに落下 飛距離1000キロ以上伸びグアム射程に
2017.9.15 11:55 産経新聞
韓国軍合同参謀本部によると、15日朝、北朝鮮の平壌近郊の順(ス)安(ナン)付近から東方に向けミサイル1発が発射された。
菅義偉官房長官は記者会見で、弾道ミサイル1発が日本時間の同日午前6時57分ごろ発射され、7時4~6分ごろに北海道上空を
通過、7時16分ごろ襟裳岬東約2200キロの太平洋上に落下したと発表した。
菅氏は、日本の領域で落下物は確認されておらず、航空機や船舶への被害情報はないと明らかにした上で、「北朝鮮に厳重に
抗議し、最も強い言葉で非難する」と述べた。ミサイル発射を受けて、12道県で全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動した。
自衛隊法に基づくミサイルへの破壊措置はとられなかった。
ミサイルの飛行距離は約3700キロで、最高高度は約800キロと推定されている。
菅氏は、通常より高い高度に発射する「ロフテッド軌道」による発射ではなかったとの認識を示した。韓国軍の分析によると、
ミサイルの飛行距離は約3700キロで、最高高度は770キロ余り。北朝鮮が発射計画の目標としていた米領グアムまでの距離は
約3350キロで、小野寺五典防衛相は、「グアムに十分届く距離が出た」と述べ、警戒感を示した。
中距離弾道ミサイル「火星12」の可能性があるとの見方も示した。
日韓両政府は15日午前、国家安全保障会議(NSC)をそれぞれ開催した。韓国政府は「国際平和に対する挑発であり、
強く糾弾する」との声明を発表し、韓国軍は弾道ミサイルの発射訓練を実施した。
北朝鮮の弾道ミサイルが日本列島を越えたのは、今回で6回目で、金正恩政権下では2回目。
北朝鮮は8月29日、金(キム)正(ジョン)恩(ウン)朝鮮労働党委員長が視察するなか、「火星12」を発射した。
この時、ミサイルの落下地点は襟裳岬の東方約1180キロで、高度は550キロだった。今回は高度が200キロ以上も上がっており、
飛行距離も1000キロ以上伸びている。
米太平洋軍は14日(現地時間)、北朝鮮のミサイルについて「初期段階での分析では中距離弾道ミサイルとみられる」との見方を
明らかにした。ミサイルは米領グアムへの脅威とはならなかったとしている。
北朝鮮は今月3日に6回目の核実験を強行。これに対し国連安全保障理事会は11日、新たな制裁を決議したばかりだった。
北朝鮮は制裁決議に猛反発し、弾道ミサイルなどによる新たな挑発が警戒されていた。