昨年の夏、宇治市の在日コリアンが住むウトロ地区が放火
され、多くの住宅や倉庫が焼失した。元病院職員という犯人
の若い日本人男性は、コロナで職を失い「時間的にも金銭的
にも余裕がない」状態だったという。
NHK京都支局の密着取材で、ネットで知った「差別」情報に
影響された犯行が見えた。この一か月前にも名古屋の韓国学校
に放火し起訴されている。
戦時中、飛行場建設に従事した朝鮮半島出身者が、戦後の
混乱の中で定住したウトロ地区。返還裁判敗訴をきっかけに
土地を買い取り円満解決していることを取材陣に指摘された
若い犯人は、不法占拠していることが許せないと言っていた。
ウトロ地区に建つはずだった平和祈念館などに「日本の税金」
が使われることも許せないと言っていたが、税金ではなく、
ボランティア資金で賄われると聞いても、それでも許せないと
言い「差別主義者といわれるならそれも仕方ない」と開き直る。
差別にしか自分の居所がない、という悲しい存在なのか。
一方、この事件に「ウトロと同じように、私自身も消される
のではないか」と戦慄したというウトロ出身の在日コリアンの
女性。子供のころから様々な差別にあって来た。
「恐ろしいのは無関心なんです。この事件に日本社会が怒り
もせず、反応もしない、それが一番恐ろしい」。
私もこの事件について注目した記憶がない。やはり無関心
だったのか。
近所の緑たち