別のことを書こうと思っていたら、テレビのワイドショー
から、八年ぶりの三省堂国語辞典の改訂で消える言葉という
話に思わず耳をそばだてた。
ここでも時折紹介している新聞コラム「B級街の言葉図鑑」
の執筆者、飯間浩明氏は三省堂国語辞典の編纂者だからだ。
新たに3500語が増え、1700語が消えると言う。消える言葉
の中の「リーベ」「ゲル」を、比較的若いコメンテーターが
判らないという。
彼のリーベは僕の舟・・・(元素記号)、イッヒ・リーベ・
ディッヒ(愛してる)と、これも若いアナウンサーが台本を
読みながら説明すると、あーあのリーベか、となる。
リーベもゲルもドイツ語である。ゲルピン(貧)のゲルと
説明して、これも、あーゲルピンのゲルか、となった。この
二つがすんなりわかると言うことは、私も「充分に」年寄りと
いうことなのだろう。
学生寮の委員会に「ゲル幹」という係があった。正式には
ゲルト幹事、すなわち会計幹事、寮生が払う寮費と各種支出
のお目付け役である。
光熱費や食堂の賄いの人件費は大学持ちだが、それ以外は
食材費含め自主運営である。約半世紀前、2食付きのの寮費
は4千円だった。
因みに特別奨学金は月額8千円、授業料が月額千円。家庭
教師を一つやり派手に遊ばなければ、苦学生も何とか生きる
ことが出来た良い時代であった。
その他カタカナではスッチー、ペレストロイカなどが辞書
から消えるという。新語を含めその他も眺めてみると時代の
変遷を感じることだろう。
日の出の反対側、西の空には十五夜から少し欠けた月が
浮かぶ。もし二つあれば「1Q84」(村上春樹)の異次元の
世界である。期待しつつも無くて良かったと思う。