今年の1月、朝日新聞の投稿欄「声」に載ったという大学生の
「今も聞こえる ロックじゃねえ!」について、俳優、松重豊が
インタビュー記事(朝日「オピニオン&フォーラム」)で語る。
記事の脇にその投稿が添付されているのでまずその概要を。
投稿者の大学生、森川葉の音(ハノン)さん(21)の小学生の時の
担任は大のロック好き。教室にエレキギターを持ち込むほど。その
先生はよく怒った。全力で怒った。「ロックじゃねえ!」と言って。
宿題を忘れても怒らないが、ウソをついて言い訳をすると怒った。
窓ガラスを割っても怒らないが、黙っていると怒った。怒りが頂点に
達した合図が「ロックじゃねえ!」だった。
先生の叫んだ「ロック」は音楽ではなく正直さとか揺るぎなさとか、
そう言う意味だったと思う。自分の信念に反したことをしまった時、
逆に何も出来なかった時「ロックじゃねえ!」というしゃがれ声が
聞こえる。
あるテレビ番組で松重豊がこの投稿を朗読して号泣した。ロック
好きの松重は、「ロックじゃねえ!」が若い投稿者に響いたことが
嬉しかったからという。
松重は仕事を選ぶとき「ロックか、ロックじゃないか、恥ずかしい
けどそうなんです」と語る。師事した蜷川幸雄には「100人中90人が
考えるようなことでは誰も感動しねぇんだよ!」と怒鳴られたという。
見た人全員が「泣けた」としか言わないようなものを表現する必要が
あるのか、鑑賞後も「どういうことだったのか?」と想像力を働かせる
ような作品を作れるはず、と語る。
件のロック好きの先生、「小学生に『ロックじゃねえ!』は通じない。
でもいい続けて良かった」と、今もエレキを抱えながら振り返る。
投稿した森川さんは「『ロックじゃねえ!」が聞こえるのは自分や
社会にモヤっとした時だから、聞かずにすむ人生を送りたい」。
良く晴れた今朝の日の出