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Cannot Do Cleaning, But…(returns)

生活方法(掃除など)や体質の改善(ダイエットなど)について考える日記・「減量後の維持」

『ドイツ流 掃除の達人』

2006-03-19 08:34:20 | books:参考文献
書籍名 『ドイツ流 掃除の達人 ~世界一きれい好きな国に学ぶ~』
カテゴリー 住宅・(環境問題 趣味)
著者名   沖 幸子 発行年(西暦)2005.8. 
出版者  光文社(知恵の森文庫)   値段  629円+税 
投稿日時 2006/03/19  本のサイズ 文庫版

 感想 実用度☆☆☆   娯楽度☆☆   感動度☆☆  ファッション度☆☆

 お行儀が悪くて、筆者には大変申し訳ないのだが、去年の暮に買ったこの文庫本の一冊は居間に置き、一冊は実はトイレの棚に置いている。毎朝のトイレの数分間、この本のページをどこでもいいから無作為にぱっと開いて見る。その時「ああ、そういえば今日はどこを拭いてみようか」、と思い、イメージして、汚れに気づいたらその日に拭いたりするのである。
 筆者の紹介する部屋の写真が多く、掃除方法も要点だけ短くエッセイ風に書かれているので、さっと見るその数分間で、瞬間的に脳裏に室内のイメージを思い描くのにも役立つ。
 もちろん、この本に書いてある通りの掃除を、私が全て実行しているわけではなく、いつかやってみようかと思いつつも玉葱の皮を煮るところまでには至っていない。ただ、シンクや蛇口やドアノブや電灯の笠等は以前よりもよく拭くようになり、古タオルの洗いざらしをすぐ使える場所に備えて置くようになった。最低一週間に一回でも、全室の掃除機かけとベッドリネン交換をする、という習慣が継続できているのも、入院時や研修生活時の経験に加えて、この本のおかげだろうと思う。確かに、自分のように掃除の習慣の皆無だった者が出逢って読むべき本ではあった。
 何といっても、私が2年半前、劣悪な室内に住んでいた頃に半ば絶望的な心境で書いた疑問に対する答えが、この本には書かれていた、と一読した時に思い、驚愕したから。
 それは、「人生の半分」なのか、と。
 …よく読むと、「人生の半分は整理整頓でうまくいく」と書いてあったので、そこまでのことではなかったらしく、少し安堵した。筆者も、一回の掃除は「15分以内」、でないと続かない、と言っている。
 ただ、それを繰り返していく必要はある。
 私のこれまでの人生にはことごとく欠如していたことであったから、15分を毎度毎度累積していけば、残りの人生の全ての時間をかけてもまだ足りない位であるかもしれない。
 
 「単身赴任の始まった後輩」や「結婚して主婦になったばかりの会社員の友人」等がかつて、生活の変化を契機として“時間がなくなり、掃除が疎かになってしまう”とこぼしていたのを、思い出したりもした。自分の場合は、実家から出て一人暮らしを始めた頃から、暇だろうが忙しかろうが関係なく自分で掃除をする習慣が全くなかったので、そう感じることもなかったようだ。学生の頃から就職しても一貫して、自宅も汚く仕事先のデスクも汚いということに何の疑問も感じず、「私は性格的に、整理整頓や掃除が嫌いなのだ」と思い、掃除好き・整理整頓好きな人とは人生が違うのだろう、としか考えなかったようなところがある。

 仕事上、大量の本や資料を作業で必要とするため、物を減らすだけの整理整頓方法では解決せず、喪失感が大きいと却って自分の精神生活も保てないことは、元々実感しており、この一年の引越活動でも了解したことだった。ただ物を機械的に捨てればよいとか、いや、物は捨てずにとっておくべきだとか、その間の二者択一しかないかのような議論こそ、幼稚に思える。
 悪いのは物ではなく、人間である。物のせいにしてはいけない。

 物が無ければ掃除は確かに楽だが、物が有ろうと無かろうと、掃除はしなければいけない。だが、物を捨てられないことを罪悪と考える必要もないし、そのことと掃除をするかしないかは別の問題だ。物は、不必要だと考えるようになれば、それ自体を持たなくなるのであって、それだけにすぎない。そこを混同して、物があることを掃除をしない理由にするようなこと自体、合理的ではない、ということにも気づいた。
 
 本書の示唆する「一度に長時間の大掃除をしない」「気づいたらその場で、少しずつ」「換気をすること」等の発想には、それぞれの根拠がある。
 家の中に居る時間が「意識的」であれば、例えばサッシの窓ガラスの汚れや壁の隅の埃のたまり方も発見しやすくなり、気づけばその都度拭いたり掃いたりできる。これも意識するかしないか、知っているかいないかで、物事が随分変わってくる。掃除をすることは「一人で過ごすどんな時間も大切にする」「お客様を迎えるような居心地のよい最高の演出を、自分のためにする」ことである、と筆者は言う。このページで、他人が部屋に来るか来ないかといったことは、実は付随的な問題にすぎないのだということにも気づいた。本質的には自分の快適さや満足のためなのである。勉強すべきこと、というものは人生にまだまだあるものだ。

 習慣化していく、という行動の方法は、食生活改善で了解した要領に、非常に似ている。
 とにかく一日や一回で、ちょっと汚くなったからといって、そこで諦めないことである。多少はずれてきたら二三日で軌道修正していく、というように。
 効果は一週間や二週間たたないと出てこないとしても、素朴で形に見えるものである。長期的に見てそこそこ維持されていれば、完璧でなくてもよい、ということは、多くの問題において共通するように感じられてきた。

『スラリと美しくなる本』

2005-08-31 23:31:37 | books:参考文献
No.8
書籍名 『スラリと美しくなる本 
     ~世界の女性がうらやむ日本フィギュアリング法~』
カテゴリー 家庭医学・栄養
著者名 和田静郎  発行年(西暦)1963.11.
出版者 光文社(カッパブックス)
投稿日時 2005/08/31  本のサイズ 新書版

感想
  実用度☆☆☆ 娯楽度☆☆☆
  
 現在は絶版と思われるが、研修先の図書館の書庫内で偶然発見。No.1に紹介した『フィギュアリング・ダイエット』の著者の「義父」にあたるという、この方式の開発者・和田静郎氏の本である。
 比較して読むと、昭和のこの本からその後、どのようにこの方法が少しずつ変わり、改善を積み重ねられつつ平成の和田要子氏の本に至っていたのか、その歴史的経緯を考えることができるという意味でも興味深かった。例えば、要子氏の本での「9品目をとるために携帯できる便利な食品グラビア」の食品は、明らかに昭和30年代には手に入りそうにないもので、24時間営業コンビニや健康専門食品販売ショップなどの社会環境が一般化した平成の御世だから可能な食事であるようにも思われてくる。また、静郎氏の本ではまだ「呼吸法」「食事のスピード」についてはさほど強調されていないようである。しかし「入浴法」については、かなり初期の段階から達成されていたようだとこの本を読んで思った。
 いかにも昭和30年代の戦後・高度成長期の日本の世相の背景を感じさせる内容で、昔ロゼット洗顔パスタとか(『主婦の友』か何かに載っていたような)の記憶のある、境田昭造氏の漫画イラストも出てくる。体操や入浴の解説ページには、イラストではなくかなりリアルな御婦人の写真が登場、具体的で、わかりやすくなっている。もちろん女性モデルの入浴写真は修正入りだが余りにも具体的過ぎてアダルトな雰囲気も漂うという、さすがカッパブックス。写真の「平凡パンチ提供」とか、「1964年度ミスワールド原田美弥子さん」「ミス・スイスのマリアンヌ・モラトさん」「イカす“トランジスター美人”」にせよ、いずれも馥郁たる昭和の香りを感じさせる。マガジンハウス『フィギュアリング・ダイエット』とは時代の差に加え、「男性の視点が書く文章」と「女性の視点が書く文章」の違いもあるかもしれない。

『糖尿病の人のための 外食メニュー 食べこなしガイド』

2005-04-17 11:06:24 | books:参考文献

No.7
書籍名 糖尿病の人のための 外食メニュー 食べこなしガイド
カテゴリー 家庭医学・栄養
著者名 忍田聡子  発行年(西暦)2003.9.
出版者 主婦の友社
投稿日時 2005/04/17  本のサイズ 15cm×9.7cm

感想
  実用度☆☆ 娯楽度☆☆☆
  
 「朝夕を自宅で食べる人が、昼食の一食を外食で食べる時に、その外食をどのように注意して食べればよいのか」についての本である。すなわち、「一日トータルの食品の過不足を、朝食と夕食で調整できる」ことを条件とすれば、いろいろなものを昼食に食べられる、という考え方に基づく。
 自分の平日の昼食は現在ほとんど手弁当なので、直接この本の教えにまるまる従ってはいない。しかしP.7の「(一日に必要なエネルギーが1500~1600kcalの場合の)栄養バランス表」は頭にイメージとして置いている。特に「一食に必要なエネルギー」の「野菜」=「30kcal(生の重量で100g)」という指標はこの表を見て意識し始めたもので、調理の前に使う菜っ葉をまず台所のクッキングメーターに軽く載せてみる。それを続けていると、だいたい一握りや一把でどの程度の重さかの見当もついてくるような気がする。きっかりではなく心持ち多めに「100g強」位にして、緑黄色+淡色の野菜一日350~400g位でも大丈夫なようだ。

 しかし出張や帰省、外出時の会食などでは、外食になること必至である。糖尿病ではないのでこの本を携行するほどは利用していない。ただ、読んでおいて頭に入れておくと「一回分の食事」の「食べ方」の参考になると思う。この本も「一皿」「一品」「一材料」の栄養量ではなく、「(メニューの組み合わされた)一食分」の栄養量が出ているところが、イメージをつかみやすくて良い。
 例えば、先日映画を見に行って、上映時間が昼12時頃~14時半として先に昼食分に何か腹に入れておきたいがファーストフード店しか近くにない、さあどうする?というケースがあった。この時は普通の一番小さいバーガー1個+サラダ1(ドレッシングは半分)+コーヒー(無糖無乳)+殻付の落花生(携帯していた)10個程を、12分位かけて食べて済ませた。後で確認したところ、P.140によると大体それで一食分の分量としては適当らしい。
 この本が細かく指摘しているカロリーの数字の計算自体には元々ほとんど興味はないので、かなり目分量なのだが、何が「意外と脂っこい」ものなのか、何が「適量」か、等の感覚を習慣づけて覚えていくのにはよいかもしれない。 

 よくある昼の定食類は多分、働き盛りの成人男性のスタミナ補給を前提に考えられているのか、一食のボリュームが1000kcal前後で出てくることが多い。この本を読んでいると、私のような小さい体格の人間の場合、御飯やおかずの一部を「残さなければいけない」ケースが多く予想され、残念だ。また、外食の店によっては、味付け自体が非常に濃かったり塩辛かったりするところがある。そうしたことはこの本が悪いのではないのではあるが。
 対策として、カフェテリア方式の食堂(社内食堂や、公共機関附属の食堂など)などでは、盛り付けの方に「御飯は半分でいいです」と言うと減らしてくれることもある(もちろん定食の料金を割り引いてくれなどとは言わない)。おかずの量の過剰な分は、その夜の夕食の分から割引きする。味が濃い場合は水分補給を心掛けるなど、フォローが必要になってくる。一日二食以上、または毎日外食が続く生活(連日の出張など)の場合は、移動中の体力や体調の保持のためにも、食事の量と質をより注意するべきだ、ということも気づかせてくれる本であった。  


『1600kcalの和風献立』

2005-03-20 08:52:14 | books:参考文献

No.6
書籍名 改訂新版 1600kcalの和風献立 -バランス献立シリーズ1-  
カテゴリー クッキング
著者名 今井久美子他  発行年(西暦) 2003
出版者 女子栄養大学出版部 値段 1000円
投稿日時 2005/03/20 7: 55  本のサイズ A5版

感想
 感動度☆☆☆ 実用度☆☆☆☆ 娯楽度☆☆☆

 「単品の材料○○gごとで○○kcalになるのか」というカロリー表や、「メニュー一皿あたり○○kcal」「一食のセットあたりで合計○○○kcal」などといったことをばらばらに記した本も、書店にいくと、それぞれたくさんある。
 私の欲しかったのは、そういう本ではなかった。

 よく、ファッション雑誌の単発の「ダイエット特集」などで見かけることの多い、一食で○○○kcal、それを三食食べて、合計を積算して、結果として一日で何kcalになるか、などという考え方が、望ましいものと思われなかったからである。
 トータルの意識を欠いたまま、そういう部分を「足し算」式に考える考え方が、「○○○は低カロリーだから、食べても大丈夫」とか「△△△を食べずに残したから、□□□を食べてもいい」次第に「これも食べたいから、あれを残して代わりに食べよう」のような考えになり、そこからどんどん食べる量が膨張して、食べ方が崩れていってしまうような気がする。まさに、全体構想を無視した場当たり的な無計画さといえる。
 ついつい過食してリバウンド、などという体験談を、人様のblog等でも非常に多く見かけるが、そうしたケースの人は、その一食の美味さの瞬間に酔い、心奪われてしまうが故に、トータルな意識の思考が欠落していくからではないか、と思ったりもするのだった。

 私の欲しかった本は、一日のトータルな発想が「積算結果」ではなく、むしろ「出発点の方」にある本だった。一日あたりの全体量が1600~2000kcalの場合、と最初に考えて、それを三食で食べると、一食あたりどのくらいの量で何kcalになり、それをどう食べるか、が、そこから結果として導き出されてくる、という順序で考えたい。「一日で何を食べなければいけないから、その1/3である夕食の時に、朝食や昼食に欠けていた何を補充するのか」という発想も、そこから生まれてくる。美味しさも、その中において味わうことができればよいのではないか。
 この本は、そのような自分の目的に適う本であったと思う。 
 
 朝食・昼食・夕食ごとに基本献立例があり、それを好きに組み合わせて良い、という便利さも工夫されている。一日1600kcalに限定せず、一日1200kcalにも2000kcalにも応用できる。ただし、本書に紹介されているメニューの一食当たりの献立が何kcalになるか、というカロリー計算そのものに対しては、私はあまり熱心ではない。

 私がこの本に学んだ箇所は、むしろ各献立のカラー写真による「一食の献立の量的なレイアウトのイメージ」であり、食事一回分の材料の質量・容量である。料理一品ずつではなく、その主菜と副菜1~3位を組み合わせた「一食」が呈示されている。この写真の献立のレイアウトが、容器こそ違え、分量も皿数もまさしく、自分の記憶する病院食の一般食に近い感じなのだ。そのイメージをつかむために、料理の盛り付け写真を時々眺めることが役に立っていると思う。

 いかにも教科書的な本ではあるが、基本的に「ご飯中心の自炊派」の自分が作りやすい和食の献立であることや、所々のページに「一口メモ」的なアドバイスが載っていることも、参考になる。きちんと品目の揃った朝食ならば逆に「ワンパターンこそ朝食の王道」だ、といった文章も、「維持」を「習慣化」したい読者に精神的な安心感を与えるところがある。


『みんな、やせることに失敗している』

2004-08-12 13:10:27 | books:参考文献

No.5
書籍名 みんな、やせることに失敗している   カテゴリー その他        
著者名 森川那智子   発行年(西暦) 1994  
出版者 集英社文庫   値段 448円  
投稿日時 2004/08/12 13:10 本のサイズ 文庫本

感想
 実用度☆☆☆ ファッション度☆☆
 摂食障害の問題についてのわかりやすい入門書である。体重維持の問題を考え始めて、このような種類の本も読んでいる。肥満ではないのに痩せたいと考えがちな、特に若い人々は、参考にするとよいと思われる。

 自分は過食して吐く行為に陥ったことはないが、20歳前後の学生の頃に拒食症的な「外界との距離のとり方の困難」の症状を起こして休学したことがあるので、痩せる行為に抱く人間の依存的な幻想の心理は、思い出すことができる。そういう心持ちであったことが、ある時期確かにあった。そういう要素は、心の底に、まだどこか残っているかもしれない。他人事として嘲うことはできない。ダイエットや過食にのめりこむことが、本質的な問題に立ち向かうことに対する迂回や判断停止になっていく危険性は、あるのである。そして、そういう迂回があっても判断停止に陥ることがあっても、自分を認めて許すことから出発しよう、という。こうなると、もはや肥満の問題以上に、深刻な精神的問題になってくると思う。

 ダイエットの成功によって誰かに誉められる、愛される、ということはない。逆に、太ったからといって誉められる、愛されるということもない。本当はよく考えると、実は他にもっと大事な問題があったんだ、ぐらいの気分に、気が付いたらなっていた、程度だといいのかもしれない。ともかく行動基準が「他人の目の評価」に依存しだすと、どんどん物事が馬鹿馬鹿しくなっていく。他人の思惑や期待など、自分がどう努力したって私には最初からわかりっこない。でも現在、世の中全体がそういう「人の目の評価ばかりを気にする」風潮だから、仕方がないといえば仕方ないのかもしれないが。
 もちろん、自分はその後、食べられるようになった。《「NO」と言える》大人になった、どころか、YESとNOをはっきり言って相手を斬りまくるずうずうしい大人となって、自分の好奇心や快楽を守るために世間と折り合い我儘を通し、周囲にも憎まれ怖がられ呆れられながら、そのうち肥満した。そこからの体質改善を図っているのが、今の自分である。

 この本はむしろアンチ・ダイエット論ともいえるが、「ダイエットにはまる危険」などの箇所は非常に面白い。自分も突然昨年から、古今東西の食文化や歴史関連の文献、果ては栄養学から辻静雄に至るまでの本をむさぼるように大量に読み始めた。これも「キーズの飢餓研究」の「情緒面での変化」の爆発的な症状の一つかもしれない。
 「ダイエットに成功し、かつ9年間その体重を維持できた人の割合は、たった1パーセントぐらいとみていいでしょう」この文言が最も刺激的である。試しがいはある。別に失敗しても構わんのだがその場合は多少不便だな、と思う程度だ。いい子でいようとして人の顔色を窺う以前に、もはやがんばったところで、もう誰も私を誉めなぞしない。痩せようが太ろうが、「この私が」不良中年の道を突き進むだけである、という心境に至っている(それもそれで困ったものだが)。


『ダイエットの歴史』

2004-06-26 01:17:19 | books:参考文献

No.4
書籍名 ダイエットの歴史   カテゴリー 西洋史        
著者名 海野弘   発行年(西暦) 1998  
出版者 新書館   値段 2520円  
投稿日時 2004/06/26 01:17 本のサイズ A5版

感想
 娯楽度☆☆   ファッション度☆☆
 常に物事を懐疑的にかつ相対化し(時には等価交換も交えて)考えるのが癖になっている。何であれ、その価値を絶対的に奉って盲信するのはおかしいと思っている。味方があれば敵があり、長所があれば短所がある。効果的な方法も一方的に偏れば行き過ぎが生じ、修正が必要になる。バランスの問題だと思う。もちろん無条件な低カロリー減量礼讃はありえない。

 本書は主に、20世紀を通して、殊に欧米などでの社会風俗として出現したダイエットなるものの変遷とその背景としての社会風潮等に触れている。
 各時代の、ことに後の時代から考えると不可思議な当時のダイエットのオンパレードであるが、筆者の筆は多分に、ダイエットという流行のファッションの面や、ある時点から勧められ出す「体型の理想型への〈フィット〉」の志向、どうして人はダイエットをしたいと考えるのか、といった根本的な問題に対して、時に揶揄的に、さらに極めて逆説的かつ懐疑的・風刺的な対象化を行っている。当然、摂食障害など、マイナスの危険性の問題もかなり言及されている。次の言葉は象徴的である。

 「私はうっかり、二十世紀の女性は十九世紀のコルセットから解放されて自由になった、などと思い込んでいたが、いつのまにかコルセットがもどってきていたのであった。…今ではほとんどすべての女性が付けなければ、とても危険だ、と強迫されているのである。」

 こういう言い方が全編に見られ、意地悪で素敵だ。これからダイエットをめざそうとしている、それも普通の心優しき神経の人には、いたく突き刺さる抵抗感を与えることであろう。素晴らしい。ダイエットに臨む人間を、周囲のそう親しすぎもしない他人はこのくらいの引いた視線で見ているものだろう、と思っておくくらいの了見が、大人だったらちょうどよい。
 やみくもに、何の根拠も考えもなくただ雰囲気で痩せたがる人、痩せれば誰かが誉めてくれるだろうと期待しすぎる人、などへの警告と思って読めばよいと思う。先に述べたとおり、物事バランスが大切なのである。

 本書を読んでもくじけず(それはそれとして胆を鍛えるのも大事だ)、それでも体脂肪率を落とさないと生命維持に関わるから、ダイエットが愚かしいこととは思えない、という問題意識を持つ人は、やはりダイエットを試みてもよいだろうと思った(まあ、自分もその程度に危険に太っていたので仕方なく試みたわけだが)。ともかく、「問題の所在はどこなのか」を自覚し明らかにすること、の大事さに思い至る。

 世紀末都市文化の美術関係の先生と思っていたのだが、こういう本を書いていたのは知らなかった。読んでいて、ふと「この文体の勢いからみて、海野氏自身が、そんなに太っていない人かもしれない」と、ちょっと想像したりするのは楽しい(他のサイトでポートレートを拝見したところでは、やはりあまり肥満な方ではないように見えるが、不詳)。
 なお、私の試みたダイエットの方法については、本書では特に言及されていないように思われるのだが、どうなのか。


『肉食の思想』

2004-06-20 12:45:45 | books:参考文献

No.3
書籍名 肉食の思想 -ヨーロッパ精神の再発見-   カテゴリー 西洋史        
著者名 鯖田 豊之   発行年(西暦) 1970  
出版者 中央公論社(中公新書92)   値段 693円  
投稿日時 2004/06/20 12:45 本のサイズ 新書版

感想
感動度☆☆☆☆  実用度☆☆☆  娯楽度☆☆☆
 ダイエットで炭水化物摂取を制限するにあたり、そもそも自分の炭水化物の過剰摂取の要因は何だったのか、また、肉や魚や野菜や殊に乳製品を摂るようにする食事への切り替えは、人間の精神に何をもたらすのか、というようなことを考え始めた時に、本書を再読したので、非常にスリリングなインパクトがあった。

 西洋の気候風土から発達した「肉食嗜好」が、ひいてはキリスト教思想やマルクス主義思想ともつながっており、階級断絶の志向や社会の意識を生むに至るという、ダイナミックな展開。日本とインドの食文化や思想との比較対照も行われている。筆者の筆は静かだが、西洋に対しても東洋に対しても痛烈な批判がこめられているように感じられる。

 「食べる」ということは、個人や社会の精神の根幹を支えるものだ、ということを、改めて学べる。ダイエットをすると、却って食べ物の有難味を感じるのである。
 翻って、安易なダイエットを何度も三日坊主的に試みてリバウンドを繰り返す、ということそのものが、如何に「哲学の欠如した精神性の危機」を象徴する行為であるか、と、読後に思われてくる。

(初版:1966年)


『トルコ ヨーグルト料理 レシピ集』

2004-05-30 20:44:49 | books:参考文献
No.2
書籍名 トルコ ヨーグルト料理 レシピ集   カテゴリー 各国料理       
著者名 ブナール・トゥラン   発行年(西暦) 2000  
出版者 アスペクト   値段 1575円  
投稿日時 2004/05/30 00:44 本のサイズ A5版

感想
実用度☆☆☆  娯楽度☆☆☆
 「ヨーグルトは甘くして食べるもの」という固定観念を覆される。トルコの食文化のみならず、乳製品を常食するための豊富なアイディアを学べる一冊である。



『フィギュアリング・ダイエット』

2004-05-30 19:23:33 | books:参考文献
No.1
書籍名 フィギュアリング・ダイエット -和田式完全読本-          
著者名 和田要子   発行年(西暦) 2001  
出版者 マガジンハウス   値段 1200(+税)円  
投稿日時 2004/05/30 19:23 本のサイズ A5版

感想 実用度 ☆☆☆☆
 2003年夏頃、空港で待ち時間の折に偶然立ち読みした江原啓之氏の文庫本のページが、本書の著者の名を見た最初のきっかけである。
 2003年11月、買物途中で偶然、書店の店頭で発見して、ふと購入してみたもの。
 上田三根子さんのイラストは「おしゃれ工房」や官公庁広報ポスターなどでもおなじみ。

 方法の体験者との対談も紹介されている。著者の「シャネルの“ココ”との出会い」のエピソードなども印象に残った。
 「若くてきれいは当たり前。その後、諦めたら終わりよ」…自らを飾る美容の意識をほとんど持たない読者ゆえ、この一文のコピー(及び、そこに象徴された発想)は、考えたことのなかった事に気づかされた心地とともに、かなり響いた。
 同氏著『「一週間」ダイエット』(三笠書房、2002.3.)は文庫本で、ダイジェスト的な内容である。完全読本で基本を理解した上で、移動中の参照では軽量な文庫本を利用する、という手もある。

(※以上、「参考文献」欄は、goo HP「趣味のページ⇒本(books)」欄の書式より転載)