WSJTの新バージョンの話題はJT65‐HFの運用を中心としたこのブログでのテーマとしては相応しくないかも知れません。しかしJT65‐HF等の微弱信号通信方式の将来をを夢みるのも面白いと思い、あえて取り上げることに致しました。
前の記事「WSJT等のバージョン・アップ」(2012-10-31)でWSJT9.3とWSJT‐Xについて紹介しましたが、今日はその時概説したWSJTに追加された新しいModeについて考察したいと思います。
先ずWSJT9.3で追加された新しいサブ・モードISCATA、JT65B2、及びJT65C2については、何れもS/U/VHF帯で使われるモードの送受信レートを30秒と高速化をはかったもので、航空機散乱通信、EME通信でのQSOの効率化等を目指したものです。この送受信レートの高速化については、主としてHF帯で使用するJT65Aについても開発が望まれると考えます。
次にWSJT-X JT9のサブ・モードについては主としてMF/LF帯で使用されるモードとして追加されたもので、信号帯域を大幅に低減しS/N Thresholdを改善したものです。JT9のSubmodeの主要パラメータを表-1に示します。
表-1 WSJT-X JT9の主要パラメータ (出典:WSJT‐X Quick-Start Guide)
表-1でお分かりのようにJT9-1はJT65Aと比較して送受信レートは同じ60秒ですが、帯域幅は約1/10(JT9-1:15.6Hz、JT65A:178Hz)、S/N Shresholdが(JT9-1:-27dB、JT65A:-25dB)-2dB改善されています。驚くべきはJT9-30では送受信レートが30分と極端に長いのですが、帯域幅 : 0.4Hz、S/N Threshold : -42dBと驚異的なものとなっています。
Net 時代の昨今、ブロードバンド等帯域幅を拡大し大量/高速な通信が主流な中、微弱信号通信方式のように極限まで帯域幅を圧縮し、極限的に劣悪なSN比での通信に挑戦しているDr.Joe Taylor等に敬意を表し拍手をおくりたいと思います。そしてこの技術は宇宙システム(超遠距離Data伝送etc.)、各種監視システム(交通、環境、放射線のData伝送ets.)、等々多くの分野で活用可能ではないでしょうか。
なお これらWSJTのNew ModeについてはJH3ECA/中島OMが主宰するSchedule QSO(JH3ECAのブログ:http://30.pro.tok2.com/~jh3eca/参照)で先日来テストされていますし、JT9についてはJT65‐HF-Google グループでも意見交換が始まっております。 興味を持たれた局はぜひご参加下さい。
「JT65-HF運用解説書」のURL : http://okdeq.lolipop.jp/jt65
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