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とーびょうヲヂさんの好きなマンガたち

元うつ病&現パーキンソン病(笑)のヲヂさんの好きなマンガと闘病(豆苗ではない)記録を徒然に書き綴ってます

熱病加速装置/元町夏央

2010年01月04日 18時12分37秒 | マンガ現在形
このマンガを知ったのは朝日新聞のマンガ評でした。
元々は自分で面白いマンガを探さないと気が済まないのですが、
最近はマンガを読む時間も減ってしまったので、
たまたま読んだその記事に載っていた解説とイラストに興味を持ちました。
それでしばらく忘れていたのですが、
ある時思い出して本屋へ行って買って読みました。

読み切りを集めた短編集ですが、なかなか読みごたえがあります。
このマンガに描かれている感情をひと言で解説するのは到底無理です。
私が感じたのは、言い表せない緊迫感でした。
それは、
事件が起こるその予兆としての緊迫感ではなく、
若い世代が感じている日常のある一面に対する緊迫感です。
そしてそれは、
ある種の禁忌なのです。

若い故に感じる矛盾や大人を汚いと感じる感情、
それを感じながらも自らも大人へ向かってしまう矛盾。
そして、まだ子供の心を持つが故の淋しさ。
これらの感情は、いずれも
口には出せない、出してはいけない、
そして、自分では理解できていない感情なのです。

この作家は他にはない表現手法を確立しつつあるように感じます。
展開や絵柄に若干他のマンガ家を連想させるようなところもありますが、
今後期待できる描き手ではないでしょうか。

ただ、
少年マンガ好きの私としては、
こういう表現方法にはまることはないかもしれません。
何度も読み返すと
正直重苦しさを感じます。
物語の終わりがペシミスティックではないだけに
もう少し読後感の良さを与えてくれるようなマンガ家になってくれると
いいな、と個人的には思います。


○「熱病加速装置」/小学館
☆お勧め年代:高校生くらい(U-15)&マンガ評論家向け