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とーびょうヲヂさんの好きなマンガたち

元うつ病&現パーキンソン病(笑)のヲヂさんの好きなマンガと闘病(豆苗ではない)記録を徒然に書き綴ってます

幸福の都市/かづさひろし

2013年03月03日 16時41分59秒 | 思い出の読み切り作品
誰にでも
思春期という時代があります。
そんなものは、歌の台詞だと思っていたのですが、
残念ながら、私にもそういう時代があり、
まさにその時に自覚をしてしまいました。

どうして自覚したなどと言えるのか?
答えることはできません。
むしろ、
ここに書き綴っている時代が
私にとっての思春期の時で
心に深く刻まれているのです。

そして、
その思春期の真っ直中に
心を揺さぶられたのが
このマンガです。



例によって
誰も記憶にないかもしれないマンガです。
小学館の新人漫画賞の入選作でした。
このときの特選作が
岡崎つぐおの「2年A組星子先生」でした。
しかたないよね、この作品なら負けても。
とはいえ、
私にとっては、
この「幸福の都市」こそが人生のバイブルと言えるのです。

近未来の都市に原因不明の病気が流行していました。
その病気は子供に発症します。
・・・生きることを拒否するかのような病気
両親は子供のために
子供の気分が変わるように
アンドロイドをリースしました
小型の 子供と同じ目線を持った人型アンドロイド

わがままな子供は
アンドロイドを困らせます
それはわがままを言うだけではなく
大人の「常識」をプログラムされた
アンドロイドでは対応できないような
子供の疑問
常識への疑念
社会に対する避難



やがて
アンドロイドは自分の感情が
-感情というものがあるならば、ですが-
わからなくなってきて
子供の言うことが正しく思えてきます。

心を持ったアンドロイド・・・

やがて、病状が悪化した子供は・・・
そして、アンドロイドは・・・



なぜ
わたしはこのマンガを読んだとき
あんなにも泣いたのでしょう
それが
思春期だと、自覚して納得しました。
でも
それだけではなかったと
今 思えばわかります。
今でも
このマンガを読めば涙が出てきます。
わたしたち 人間が心を失っていって
アンドロイドがロボットが心を持っているからです。
人間が
エゴや欲に浸ってしまって
殺人や事件を起こすという
単純なことを言いたいのではありません。
このマンガも語ってますが
人間の都合のいいように自然を変えてしまうだけで
そこにいたはずの動物や植物や 生き物は消えてしまうのです。
そうして
人間は知らず知らずのうちに
エゴの中に包まれて
安穏と暮らしているのです。

そして
子供が 無垢な子供の心が
それを見抜いて 暴いてしまうのです。
わたしたちは
わたしたちの心は
汚れているのかもしれません
曇っているのかもしれません。


残念ながら、かづさひろしは
メジャーではそれほど売れずじまいでした。
時代はこういうマンガを受け入れられなかったのでしょう。
少々説教くさいところもあります。
それが思春期のわたしには
ちょうど心に響き渡った
それだけのことです たぶん。


追記
東京三世社刊「シティモニカ」でも
同じような主題の作品が収録されています。
ご興味があれば ご一読下さい。
こちらのほうがマンガとしての完成度は高いのですが
その分 予定調和的な印象があり
ストーリーの先が読めるところがありますね。


○幸福の都市/かづさひろし/少年サンデー,S55, 28号(たぶん)
○シティモニカ/かづさひろし/東京三世社
☆お勧め年代:ん~難しい・・・

酔いどれアンナ/野田たみ樹

2009年11月27日 22時45分26秒 | 思い出の読み切り作品
誰が知ってるねん( --)ノ
知っている人だけ読んで下さい。

野田たみ樹という人は
この後に見たときには野田琴里というペンネームに変わっていました。
どういういきさつかは知りません。

知らないからすっ飛ばす。

野田たみ樹は、私のかすかな記憶では、
少年マガジンに時代物の劇画を描いていたように記憶しています。
野田琴里の単行本「影野郎 風を斬る」を読んだときに、
昔の記憶が蘇ってきたので確かだと思います。
忍者だとか素浪人だとか、かなりハードな劇画作家です。

で、このマンガは、
私が中学生の頃に少年マンガに掲載された読み切りです。

誰が知ってるねん!
1回きりやろ!

当時、このマンガが掲載されたときかなりの反響があったようで、
しばらくして同じような雰囲気のマンガが読み切りで掲載されていました。
それも好きでした。

それっきりマガジンに掲載されることがなかったのは、
たぶん対象年齢層が少年マンガ向けではなかったためでしょう。
野田琴里は、
その後ヤングマガジンに作品を発表しているようでした。
私は当時ヤング誌を読まなかったので、
上記の単行本を買うまでは
どういう作品を書いていたかはほとんど知りません。

「酔いどれアンナ」というマンガは、
少年誌向けではない、と言えますが、
何もヌードや性描写が露骨であったわけではありません。
ただ、少年マンガではやや禁忌な性的な雰囲気が漂っていただけです。

内容は、
ある高校の話です。
転校生の男子が入ったクラスに一日中飲んだくれている女子アンナがいました。
だらしない、ややハレンチ(死語)な雰囲気の美少女でした。
転校生はその少女に惹かれます。
そして酒をやめて更正できるように仕向けます。
アンナの心も徐々に揺らいできます。
しかし、そこに割り込んだのが、ワルのリーダーだったのです。
「アンナは俺の女だ」

要するに、薬を盛ってアンナを犯して自分の女にしただけなのですが。
それに1回犯されて言いなりになるアンナも、
今となっては変な気がします。

それはおいといて。

転校生とリーダーのケンカが始まります。
転校生は前の学校でケンカで相手をケガさせて、
それで転校せざるを得なくなったのです。
リーダーを追い詰める転校生。
そして、ケンカを止めるアンナ。
アンナの心は・・・。
ハッピーエンド。

性的な雰囲気がないといえばないのですが、
小中学生にはやや刺激が強かったかもしれません。
でも繊細な心理描写は、さすが女流マンガ家ならではと言えるでしょう。

パート2として書かれた「汚れた天使」もまた
シチュエーションとしては似ています。

この人の描く女の子は可愛いかったですね。


○お勧め年代:今回はパス。。読める機会はほとんどないでしょうから。。

(追加)こちらに写真を載せました。

木星ピケットライン/あさりよしとお

2009年11月02日 21時58分25秒 | 思い出の読み切り作品
さて、知る人ぞ知る あさりよしとお のデビュー作です。
少年サンデーの新人賞入選であるこの作品は
あさりよしとお短編集に収録されているため
今でも読むことのできる読切です。

時々、無名作家や新人作家の
いい読切作品というのを見かけたんですが、
残念ながらそこそこ人気のある作家しか単行本には収録されません。
したがって、それっきり陽の目を見ない作品もたくさんあります。
昔は、そんなものを雑誌からむしり取って
大事に保管していたんですよね・・・。

関係ないことは
こっちへ置いといて。。

この作品もサンデーからむしり取って保管しているものです。

何が面白いといって、
計算されたギャグ!
納得させられる科学理論!
そして、
笑いは間だ!

ストーリーは単純です。
某国宇宙開発機構は地球に接近する小惑星の存在を検知。
間違いなく地球に衝突する!
それを迎撃する極秘任務のため地球を旅立つ勇者!
木星近辺で確認した小惑星は
予期せぬ代物で迎撃は不可能と計算された!
地球は救われるのか?!

う~ん、
これだけ読むと
一時代前の本格SF。

しかしながら、随所に散りばめられたギャグは
全体の緊張感を損なわない程度に配慮され、
時代遅れを感じさせないSF設定は
適度に少年の好奇心をくすぐりました。

この主人公である山本五十六は
私に非常な影響を与えたキャラクターで
日常の私の話に、つい、ギャグが入ってしまうのはこいつのせいです。

ほんまか?!

いまだに忘れられないキャラというのはたくさんいますが、
単行本として読めることもあって
こいつは私の記憶から消えそうもありません。


追記
このマンガに使われているコンピューター“春”が
HALのパロディだと知ったのはずいぶん後でした。
他にもずいぶんパロネタがあるんでしょうが、
初めて読んだときにそれに全て気づいていれば
もっとこのマンガは面白かったんでしょうね。
そんな方おられます?

ちなみに、
あさりよしとおの「宇宙家族カールビンソン」に関しては
Wikipediaに解説が載っているので
それを見るとわかります。
って、濃すぎてよくわからんかった・・・。



○「あさりよしとお短編集」(徳間書店)に収録
△お勧め年代:(いい意味で)マンガの基本を学びたい学生へ


Lのララバイ・プランテーション/柴田昌弘

2009年05月20日 22時58分08秒 | 思い出の読み切り作品
カックイイ!
それが初めての感想でした。

1985年、少年チャンピオンが
低迷の打開策として発刊した雑誌
「I’mチャンピオン」創刊号のエースマンガでした。

この当時、少年サンデーは「少年サンデー増刊号」を
少年マガジンは「マガジンスペシャル」を
発行していて、
これは単に週刊誌の月刊版ではなく、
新人をテストする
2軍リーグのような存在でした。
(少年ジャンプがこの手の雑誌を出したのはもうちょっと後)
低迷期から抜け出せなかった少年チャンピオンも
あえて新しい雑誌を出したというわけです。

残念ながら、取り立てて優れた新人がいたわけでもなく、
私もこのマンガしか記憶に残っていません。

このマンガは、近未来の荒廃した日本で
ブラッディクイーンと呼ばれる少女が
人殺しをしてでも生き抜く姿を描いたものです。
近未来版の西部劇というパターンなので
それほど目新しくはないのですが、
その描かれ方が、ダイナミックな絵柄とマッチして
味があるのです。
少年マンガ、特に古いパターンが好きな私にとって
このマンガはかなりショッキングでした。

ブラッディクイーンシリーズは
タイトルの2作だけで終わったので
読み切り連作という体でしかないのですが、
その奥にはまだまだ描かれていなかった世界が感じされられます。
どこかで連作を書いているのではと期待していましたが、
これっきりのようです。

このマンガにショックを受けて
パロディストーリー(2次利用マンガというのか?)を考えたことがあります。
どんどん世界が広がり、自分でわくわくしていたことを思い出します。
味のある深い世界を含んだマンガです。


○柴田昌弘珠玉作品集「イズナ」に収録/少年チャンピオンコミックス

△お勧め年代:昔の少年たち向け



あまりちゃん/福本伸行

2009年04月18日 22時07分03秒 | 思い出の読み切り作品
「下手な絵のマンガ家」
ということで有名な福本伸行のデビュー当時の作品です。

これはデビュー後の短期集中連載だったと記憶しています。
当時、少年チャンピオンは低迷時代に突入していて
しかも、新人マンガ家が登場しない
という最悪の状態でした。

好きなマンガはまだあったので
一応少年チャンピオンを続けて読んでいましたが
運営が空回りしているのが
中学生の私にもはっきりとわかりました。

それにしても、
この頃の福本伸行の絵は
本当に下手だった・・・

主人公のあまりちゃんは
あさりちゃんでもアラレちゃんでもなく
(しょーもな)
普通の女の子でした。
ただ、
人より一生懸命で
人よりひたむきだったのです。

なんでかこのマンガが気に入ってました。
なんでだろう?

それが福本伸行のセンスだったのです。

当時の私はよくわからないままに
このマンガを切り抜いて保存してしまいました。

その後、
少年マンガしか読んでいない私の知らないところで
福本伸行は
賭博マンガで大ヒットを連発していきました。
ご存知のように、
微妙な心理描写や
簡単には先の読めないストーリー展開が
読者を惹きつけるのです。

絵は下手でも
マンガ家としてのセンスを持った書き手が待望される。
いつの時代もそうなのでしょう。


でも、
普通はだんだん絵がうまくなるものなんですが・・・。
最近のマンガはうまくなってますが、
なかなかうまくならなかった珍しいマンガ家です。
(失礼m(_ _)m)


○あまりちゃん/福本伸行/少年チャンピオン連載(1980年)

△お勧め年代:・・・・・・・・・



電化製品(アンドロイド)に乾杯/椎名高志

2009年04月15日 22時12分52秒 | 思い出の読み切り作品
恥ずかしながら、
このマンガを読むまでは
椎名高志というマンガ家は知らなかったのです。

いえ、
少年サンデーに4コマを書いているのは見ていたのですが、
特に注目はしていなかったのです。
「へ~、結構おもろいやんけ」程度でした。


それが
このマンガを読んで非常に大きなショックを受けたのです。

うまい・・・

サンデーの特別増刊だったかな、
他のマンガが読みたくて買ったのですが、
このマンガがピカイチで
それ以来、サンデーの「教育的指導」も愛読するようになりました。
この当時はほとんどサンデーも読まなくなっていたので
この人の才能を見極めていなかったのも仕方ないですよね。
(ちょっと弱気)

その後、サンデー増刊号に読切を連発し、
ついには週刊で大ヒットを飛ばしたのです。
残念なのは、
週刊サンデーの「ゴーストスイーパー美神」というのは
×××向けの××××マンガになっていて
しかも、ジャンプによく見られるような
×××主義の××××状態だったので、
私は連載が始まってから結構早くに飽きていました。

伏せ字が多くてわからん!

それより増刊で書かれていた
「ポケットナイト」「乱派SS」の方が気に入ってました。

それよりも
この「電化製品に乾杯」はよかったのです。

パソコンが一家に一台になった時期に合わせて、
近未来の家庭には一家に一台アンドロイドを買っているという設定で
パソコンのパロディとしてアンドロイドをギャグで動かしたり、
あるいは
主人公の少年のように
『彼女がいない代わりに女性型アンドロイドを買う』などという
一歩間違えば・・・

言うのはやめよう。

このマンガでは
小さな会社が作った出来の悪いアンドロイドが
ドジを繰り返しながらも
ひたむきにお客さんに尽くし、
そのひたむきさに心を打たれた少年が
なけなしの金をはたいてそのアンドロイドを選ぶという
非生物・無機的な機械製品に対して
血の通った感情を持ってしまうまでの顛末がとてもうまいんです。
しかも
最後のオチが
保証期限が切れたとたんに壊れてしまい、
病床に臥せっているアンドロイド(ミソッカスといいます)に
「俺は幸せだったぞ!」と叫ぶさまは
涙なくしては笑えません。

この人の短編はいずれも秀作ぞろいでした。
「美神」の好きな方も
是非とも短編集もお読みください。



☆(有) 椎名百貨店(全3巻)/椎名高志/少年サンデーコミックス
 Wikipediaに解説がありました(すごい・・・)
 (リンクがうまく張れなかったのでお手数ですがwikipediaで検索して下さい)

△お勧め年代:少年マンガの好きな人たち向け