岩澤の梵鐘・銅像

梵鐘・銅像造りや京都の話題を綴っていきます。

晴れもよし、雨もまたよし~天水尊の教え

2013-05-31 07:01:55 | 銅像

今年は全国的にも例年より早く、梅雨入りとなりました。梅雨と言えば、蒸し暑く、洗濯や食べ物の管理など過ごしにくい季節に思います。「猛暑を目前にして、雨なんか降らなかったらいいのに」と、つい思いがちです。

雨について、仏教では「甘露の法雨」という言葉があります。、お釈迦様がお生まれになったのを大変に喜んだ(水の神の使いである)竜の王が、天から甘くて清らかな雨を降らせ、それで誕生したばかりのお釈迦様が産湯(うぶゆ)をつかった、という伝説に基づいています。同じ雨でも捉え方によっては、恵みの雨となるのですね。

 

さて、当社では、そんな恵みの雨を貯めておく、青銅製の「天水鉢(天水桶)」を制作しています。お寺の本堂の脇に置かれている、鉢や桶などの形をしたものです。本堂の屋根に降った雨がトユを伝って、天水鉢に溜まっていきます。防火用水を溜める目的に使われ、特に火事の多かった江戸時代には、よく置かれたそうです。

写真は鉢状のものが口径2尺5寸(約75cm)、桶状のものが口径3尺5寸(約105cm)のものです。

ちなみに、天から降った恵みの雨を溜めるという意味で、「天水尊」という別名もあります。

そういえば、先日、お参りした中国地方のお寺様から「晴れもよし、雨もまたよし」というお言葉を頂きました。何事にも前向きに捉えると、心が澄み渡っていくのでしょうね。


関東出張記2~千葉 誕生仏クリーニング

2013-05-17 19:27:11 | 銅像

草木の緑がますます濃くなる季節になりました。5月の京都はお祭りが目白押しです。15日に京の三大祭の一つ、葵祭が行われました。そして19日の日曜日には平安時代の舟遊びを再現した嵐山の三船祭が行われます。

さて、仏教では5月にお釈迦様の生誕を祝って、花まつりが行われます。4月8日がお釈迦様の誕生日なのですが、4月8日の日付が旧暦のため、月遅れの5月に行われるお寺もあります。

お釈迦様は生まれてすぐ、七歩歩き、右手で天を、左手で地を指差し、「天上天下唯我独尊」と叫んだと伝えられています。

そのお釈迦様のお姿を表した、青銅製の誕生仏のクリーニングをさせて頂きました。場所は千葉県、手賀沼の近く、白井市の延命寺様です。七福神の一つ、大黒天のゆかりのある平安時代から続く名刹です。

お納めしてから35年の歳月が経ち、自然の緑青とともに積った汚れが付着しておりました。まず、ブラッシング、洗浄液にて汚れを落としました。すると、自然の緑青と本来の銅の色が発色してきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にコーティングを施し、クリーニングを終えました。汚れを落とすと、お釈迦様のお顔がはっきりし、天然の緑青が吹く、古色仕上げの誕生仏に変わりました。

 

快晴の天空に向かって、指差すお釈迦様のお姿は小さいながらも堂々とされていました。なぜか、そのお姿に背中を押されたように勇気づけられた、そんな気になり、京都へ帰路に着きました。


関東出張記①~群馬 高崎 梵鐘納入

2013-05-10 20:14:30 | 梵鐘

 

ここ数日で急に日中は夏場の暑さになり、朝夕の寒暖差のある気候となりました。

 今回の出張では群馬は高崎に、梵鐘をお納めしてまいりました。高崎は、だるまで有名な群馬県有数の都市ですが、古くからオーケストラの先駆けとして群馬交響楽団が置かれ、「『音楽』のある街」としても知られています。(群響は日本でNHK交響楽団に次ぐ、歴史ある楽団でプロジェクトXにも取り上げられたそうです)
 その高崎市内のお寺様に口径3尺5寸(約105センチ)高さ2メートル、重量450貫(約1680キロ)の梵鐘をお納めしてまいりました。

 古来から「鐘は3尺」という言葉があるように標準的な鐘の大きさは、口径2尺5寸(約75センチ)から3尺(約90センチ)です。その中で、口径3尺5寸は大鐘と呼ぶにふさわしい寸法です。
 当社での検音の結果、100ヘルツという腹に沁みいる低音で余韻も長く鳴り響く、大鐘に仕上がりました。

今年の除夜には、高崎のオーケストラに一つの新たな鐘の音が加わり、お寺でのお祈りの下、妙音を奏でてくれることでしょう。


亀岡運動公園 日中平和友好の鐘復元

2013-05-02 17:31:54 | 梵鐘

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日、今日と例年にない肌寒さが感じられますが、5月に入り新緑の季節となりました。

ゴールデンウィークを迎え、明日から4連休の方でお出かけされる方も多いかと思います。

京都のレジャースポットの一つに亀岡運動公園があります。テニスコート、体育館、野球場などがあり、夏はスライダー付きのプール、秋はコスモス園で大勢の方々で賑わいます。

復元の鐘 第二弾として、その亀岡運動公園に日中平和友好の鐘の復元をさせて頂きました。

亀岡と中国・蘇州が姉妹都市の関係にあり、以前中国で作られた鐘が贈られたそうです。その鐘が割れてしまい、今回、復元の鐘を制作する運びとなりました。

前回の久留米・鬼夜の鐘と同様に、復元の鐘を制作する場合、新たに型をお作りします。龍頭(吊り手)、模様、文字細部に至るまで、以前の鐘と同様に仕上げていきました。

緑青とよばれる錆びがかかっているのが、以前の鐘です。日本の鐘とは違い、「乳」という突起や、帯を入れないのが中国の鐘の特徴です。形も西洋のチャーチベルのように、独特です。

ゴールデン・ウィークの関西は晴れの予報です、ぜひ亀岡の運動公園にお出かけ下さい。