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十三人の刺客

2010年09月26日 21時29分19秒 | 映画 英数行
評価:★★★★【4点】


ドラマは満点評価!
だが、戦が続いて行くうちに評価はどんどん下降線へと

それでも、なんとか高得点を維持できたのは
中盤までのドラマが、かなり丁寧に描かれていたことが大きい。

冒頭のシーンの痛さや、少女の悲惨な姿を
目の当たりにしたときの衝撃は、島田新左衛門のように
おもわず笑って武者震いするほどのインパクトがあった。
しかも、口筆で書かれた“みなごろし”の文字の
怖さは、黒澤映画の『蜘蛛巣城』なみのホラーを感じてしまった^^;




江戸時代末期。
将軍・家慶の弟で明石藩主・松平斉韶(なりつぐ)の暴君ぶりは目に余った。
斉韶は近く、老中への就任も決まっている男。
幕府の存亡に危機感を募らせる老中・土井利位は、
かねてより良く知る御目付・島田新左衛門に斉韶暗殺の密命を下す。

さっそく、甥の新六郎をはじめ十一人の腕に覚えある男たちを集めた新左衛門は、
後に加わる山の民・木賀小弥太を含む総勢十三人の暗殺部隊を組織、
入念な計画を練り上げていく。
しかし、斉韶の腹心・鬼頭半兵衛もまたその動きを抜け目なく察知し、
大切な殿を守り抜くべく周到な準備を進めていた…。
<allcinema>



善と悪がハッキリしてるから、とても観やすかった。
変に、裏切りとか、二転三転するような演出もなかったので
聞き取りにくい台詞だけに注意すれば、十分に感情移入は出来る。

松平斉韶(なりつぐ)の暴君ぶりって!
演じるのはスマップの稲垣吾郎ってことで、多少の不安はあったものの
これが意外と嵌まっているではありませんか(笑)
サイコなヤローを演じさせたら、右に出るものはいないと
おそらく、現代劇よりも、こういう時代劇のサイコ男を
やらせたら彼の独壇場だったりして^^;

さて、ドラマは満点とは言ったけど
細かい部分に目をつむれば!ということを前提にしている。
ひとつ、刺客となる暗殺部隊の人集めの段階で
さすがに十三人ものキャラクターを丁寧に描くことは無理なのか。
なので、『七人の侍』のように全員のキャラ作りが不足していたのが惜しい。

もうひとつ、見た目の人選で、どうにも腕の立つ侍に見えないのが
若干2名ほど居たんだが、もちろん、山男は含んではいません。

それでも、そんな細かいことを抜きにすれば
近年稀な、面白い時代劇だったように思った。
ただ、合戦シーンというか、戦のシーンで刺客たちの
作戦がまったく説明されていなかったので、見る方は
ただただ、スクリーンの展開、カメラの映す映像を追うしかなく
それも、やや冗長に感じてしまい、最後の方は飽きてしまった部分があった。


追記)
・刺客の待ち伏せまでですね。純粋に面白かったのは。
 以降の展開はグッチャグッチャになって、やたら敵が多すぎて
 シューティング・ゲームに途中で飽きたオッちゃん状態になってしまった。
 ちなみに、ワタクシ、テレビゲームはまったくやりませんが^^;

・あの、燃える牛たちが突進するヘタレなCGは、あれでいいのだろうか!

・松平斉韶(なりつぐ)のキャラはオリジナルではどうなんだろうか?
 未見なので、機会があれば是非、見くらべてみたい。
 にしても、無抵抗な人間を矢の標的にして遊ぶ猟奇度はこの時代ではめずらしい。

・夕飯に飽きたら、箸を落として、お盆に食い物をぶっちゃけ垂らし
 全部を混ぜこぜにして犬食いするのは、自分探しでもしたかったのか?
 
・ひとの痛みを知らないために、あんな暴君が生まれてしまう。
 切られたときに初めて「痛い!」「死ぬのが怖い!」と言っていたが
 できれば、もっと惨めな演出が欲しかった。

・今年の衝撃映像トップ1は、あの口筆の女性(茂手木桜子)でしょうか!
 あの画は、キョ―レツそのもの!ドラマがこれのためにかなり重いものへと。

・本作の山田くんは、かなりカッコよかったですね!
 三池崇史監督のファミリーとはいえ、こういう時代劇でも
 十分にやっていける実力を見せてもらいました。
 
・この映画でもっとも魅力的だったのは、鬼頭半兵衛(市村正親)です。
 こういう、どこか“ナンバー2”的な、佐々木小次郎、上杉謙信など
 歴史上で、「最も偉大な敵だった」と、そう言われ続けたキャラに
 不思議と魅力を感じるのはワタシだけでしょうか。
--------------------------------------------------------------
監督:三池崇史
脚本:天願大介
撮影:北信康
音楽:遠藤浩二


出演:役所広司/市村正親/山田孝之/伊勢谷友介/松本幸四郎/平幹二朗/稲垣吾郎/
    谷村美月/松方弘樹/伊原剛志/吹石一恵/

『十三人の刺客』

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
☆おおっ!☆ (TiM3)
2010-09-26 21:52:01
ワタシも観て来ました。

今、ちょこちょことまとめてまそ。
返信する
鑑賞映画がガチ!と合いましたね (ituka)
2010-09-26 22:05:09
TiM3さん こんばんは。

これは、稲垣吾朗の悪人が見たくて行って来ました^^
なかなかにサイコな印象は、かなりインパクトがありました。
あれだけやりたい放題だと、仕える側近もストレス溜まりまくりですよね~^^;

では、あとでお邪魔を~!
返信する
こんばんわーー^^ (真理子)
2010-09-27 01:16:20
いろいろ読ませてもらっています^^

参考になります。

また、お時間のある時に、訪問させてもらいますね^^

それでは、失礼します。
返信する
こんばんは。 (ななんぼ)
2010-09-27 02:05:36


こんばんは。
TBをしたのですがウチのblogはgooとは相性が悪く(汗)エラーになってしまったのでコメントのみ残させて頂きます。

私はチャンバラ好きなのでラスト50分の死闘も燃えましたが、刺客は13人いたせいか目立たないキャラも居たのは惜しかったですね。でも、オリジナル版に比べたら十分にキャラは立っていたと思いますが…。

吾郎ちゃんの暴君ぶりはあまりに非道過ぎてファンでありながら終始ムカつきっぱなしでした(笑)。オリジナル版の暴君の狂気ぶりも凄まじいのですが、あそこまで残虐な描写は無かったですからね。

あと、筆を口に咥えた娘を演じていた方は茂手木桜子さんという女優さんです。谷村美月さんは殿に暴行されたお嫁さんの役です。
返信する
真理子さんへ (ituka)
2010-09-27 22:39:04
ども!いらっしゃませ。

こんな拙ブログでも、お役に立ててなによりです。
また何時でもお越しくださいませ。
返信する
ななんぼさんへ (ituka)
2010-09-27 22:47:46
TBの件、難儀させてすみません^^;

お~!オリジナル版をご覧になってたんですね。
いろいろ比較とかできるので、一層興味深かったことでしょう^^

吾郎ちゃんの狂気はオリジナル版を凌いでいたとは・・・。
三池監督だったからこそ、あそこまで徹底させたとも言えますよね。

>筆を口に咥えた娘を演じていた方は茂手木桜子さんという女優さんです。

あらら、そうだったんですか。
これは、さっそく記事の修正をしたいと思います。
貴重な情報をありがとうございました^^
返信する
時代劇流行り (mariyon)
2010-10-01 17:50:22
最近邦画も良く観てるんですが、時代劇、昔に比べてすごい見てる。
もともと劇場に時代劇を観に行くってしたことなかった。子供のころはTVだったり、ちょっと前までは洋画全盛期。
でも、今はこんな予算をかけて時代劇を作れるんだってことがまずすごい。松方さんもうれしいだろうなぁ~~。(あのへたれな牛のCG以外は)
でも、わたしも、あの後半はちょっと長すぎました。山田君が生き残ってたから、最後まで観れたのかも(苦笑)。

横レスで、奥さん役が谷村美月!!ぜんぜんわからなかったです。あの化粧だと没個性ですね。
返信する
時代劇がブームなの? (ituka)
2010-10-01 22:43:32
mariyonさん こんばんは。

近年の時代劇は三池監督のような常識にとらわれない作品作りのせいか
なにか新感覚なイメージが、ワタシにはありますよ。
ワタシも劇場に時代劇はほとんど観に行ってません。
強いて言うなら勝新太郎の最後の『座頭市』くらいでしょうか^^

あとはテレビやDVDで黒澤映画の時代劇かな~
ちなみに、ワタシの現時点での映画最高傑作は『七人の侍』なんですよ。
これを超える映画と出会うために、映画を見続けて行こうと思っているんです(*^-゜)vィェィ♪

>奥さん役が谷村美月!!ぜんぜんわからなかったです。あの化粧だと没個性ですね。

そうそう!あれじゃ判らないですよね(笑)
そもそも白粉化粧やお歯黒じたいが、ワタシにはホラーとしか思えない^^;
返信する
電車待ちで前にたカップルが本作のパンフレットに没頭してました (ぺろんぱ)
2010-10-03 20:02:49
こんばんは。

松平斉韶を演じた稲垣クン、本作を観た友人から「本作で賞を取れるとしたら彼をおいてないのでは?」というくらいの喝采ものだったとか聞きました。茂手木桜子さんという女優さんの名も完璧にインプットされたとか。
itukaさんのレヴューを読ませて頂いて納得できました。

>戦が続いて行くうちに評価はどんどん下降線

13人のキャラ造形が十分でなかったということでしょうか。

>どこか“ナンバー2”的な

静かに“ここに存在している”的な魅力がある気がします。(*^_^*)
返信する
そのカップルの会話が気になりますね (ituka)
2010-10-04 21:49:38
ぺろんぱさん こんばんは。

これは吾郎くんの代表作になるのではないでしょうか^^
助演男優賞は稲垣吾郎くんで助演女優賞は茂手木桜子さんで決定!ですね。
この御両人は体当たり演技だったかもしれません^^;

>13人のキャラ造形が十分でなかったということでしょうか。

13人ものキャラがいると、なかの数人はまったく目立たなくなるという典型でしょうか^^;
下降線となったのは、まだいる大量の敵に対して敢えて地上戦に持ち込む理由が判らなかったことです。

ナンバー2ってどこか好きな立ち位置なんです^^
悪の軍団にしても2番手のやられ役に哀愁を感じてしまうんです(笑)
返信する

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