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好きなもの、好きなひと

思いつくまま・・・

津原泰水『11 eleven』

2011-06-19 10:12:54 | 

津原さんは、『綺譚集』があまりに素晴らしかったので、

なかなかあれは超えられないんじゃないか、と危惧して

いたが、新作『11 eleven』は『綺譚集』に並ぶ

出来だと思う。

 

特に「土の枕」は、これだけの内容をギリギリまで簡潔な

文章にしていて、圧倒される。

「五色の舟」の評価が高いようで、自分も感動して

号泣したのだけれど、「津原さんってこういう話を書く人

だったっけ?」という戸惑いもどこかにあり・・・。

個人的には『クラーケン』が妙に好き。

 

美しく磨かれた文章は気分を高揚させる。

続けて『綺譚集』を再読。

『天使解体』の破壊力は凄い。

やっぱり『アクアポリス』の切れの良さが好きだ。

 

『瑠璃玉の耳輪』、読もうかな。


『魔女の館』

2011-06-08 13:21:15 | 

シャーロット・アームストロング『魔女の館』読了。

こちらもテンポのいいサスペンス。

『風船を売る男』のように、心理的に追い込まれる感じはないので、

軽快な仕上がり。

登場人物ひとりひとりの描写が、簡潔でうまい。


『虚栄の肖像』

2011-06-01 18:19:58 | 

北森鴻『虚栄の肖像』。

『深遠のガランス』の続編だが、こちらの方が格段に面白い!

冬狐堂シリーズともリンクし、作者の豊富な絵画の知識が

生かされている。

この続きはぜひ読みたかった。

北森さんは、どの作品にもとことん工夫を凝らし、

職人技を見せてくれた。

亡くなったことが残念でならない・・・。


『風船を売る男』

2011-06-01 18:09:09 | 

シャーロット・アームストロング『風船を売る男』読了。

さすがはサスペンスの名手、最後までハラハラさせられる。

主人公の女性の自立して生きようとする姿が清々しい。

40年以上前の作品とは思えないほど新鮮で面白い!

 

古い作品と今の作品を分けるとしたら、

携帯やインターネットのあるなしだろうか?

情報のあるなしでサスペンスやミステリのプロットも

大分違ってはきている気がする。


麻耶雄嵩『メルカトルかく語りき』

2011-05-26 09:31:55 | 
麻耶雄嵩『メルカトルかく語りき』を読む。
相変わらず邪悪なメルカトルは嫌いじゃない。
話は、本格推理の極北?という趣き。
正直、ここまでやられるとついて行けない。
ロジックの中で閉じすぎている。
読むからには何かしら「物語」がほしい。

でもこれも麻耶雄嵩の試行錯誤なのだろう。
(と思いたいw)
次が出たらまた絶対読みますよ!

『漱石先生の事件簿 猫の巻』

2011-04-13 11:48:23 | 
柳広司『漱石先生の事件簿 猫の巻』

この作者の作品はあまりハズレがない。

『我輩は猫である』のパスティーシュであるこの作品も、
ほのぼのとした面白味があって好き。
最後は泣かせる。

漱石はあまり読んでいないが、『我輩は猫である』は
中学生の頃読んで、「妙に」面白かった記憶がある。
この作品を読んでいたら、原典の登場人物やエピソードが
活き活きと蘇ってくるのに自分でもびっくりした。

同じ作者の『贋作「坊ちゃん」殺人事件』もぜひ読みたい。

『パイは小さな秘密を運ぶ』

2011-04-13 11:36:57 | 
アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』

コージー系は苦手なのだが、主人公が化学好きの少女というのに
興味をひかれて読んだ。

探偵役の一人称なので、ちょっと違和感。
まあ、主人公がかなりハードボイルドな?生活を送ってるので
合ってるのかもしれないがw
魅力的な設定なのだが、キャラが立っていないのでもったいない。
主人公の姉2人(音楽の才能のある長女と、文学好きな次女)を
もっと絡めて活躍させればいいのに。
いくら頭のいい少女とはいえ、11歳でこの文章は書けないだろうと
思ってしまう(原文で読むと違うのかもしれないけど)。
ミステリ部分もいまいちかな。

ハルチカシリーズのような活きの良い語り口の小説が読みたい。

『浅田真央 さらなる高みへ』

2011-02-27 11:25:46 | 
『浅田真央 さらなる高みへ』吉田順(著)を読んだ。
浅田真央選手が生まれてからこれまでのできごとを、
インタビューを交えて丁寧に綴っている。

真央ちゃんと言えば、いかにも軽やかにジャンプを
飛べてしまう天才、と思っていた。
でもここ数年でそのイメージとかけ離れた表情を
見るようになり、同時に豊かな表現力を感じられるように
なった。

彼女の苦悩、それを支えた周りの人の暖かさが
心に沁みてくる。

真央ちゃんは20才になっても、邪気のなさを保ち続けている。
そしていつも演技に品格がある。
これからもずっと浅田選手の美しい演技を見続けたい。

・・・書いてるうちに涙が出てきた。
真央ちゃんは、とにかく特別な存在です。

(*きのうのデモは、花粉症のため断念。
署名だけでも送りたい)

『失踪家族』 リンウッド ・バークレイ

2011-02-19 19:06:57 | 
これは文句なく面白かった!

14才の時に自分以外の家族が失踪してしまった女性。
その女性と結婚した「わたし」の視点で物語は
描かれていく。
失踪から25年目のテレビ出演から不可解なできごとが
起こり始め、夫婦も信頼と疑惑の間で揺れ動く。
前半はそういう心理が丁寧に描かれ、後半になると
思わぬ人物の登場もあり、話がダイナミックに
動き始める・・・

ネタ的には「クイーンのあれだな」と途中で
わかるのだが、犯人像の描き方や小道具の使い方も
秀逸で、ぐいぐい読まされた。

後味も爽やかでいい。
オススメです。

恩田陸『猫と針』

2011-02-06 12:33:31 | 
題名と「密室心理サスペンス劇」というのに惹かれて
中身も確認せず買ってしまったら、まんま戯曲だった・・・

正直内容が薄いし、オチも「それだけ?」という感じ。
この人は結末を考えずに書き始めると聞いたけど、
それが悪い方向に出ている気がする。
独白はなくていいんじゃないかと思う。
実際の舞台ではどうだったんだろう?

初期の恩田陸はとても好きだったけど、『ユージニア』
あたりからあまり読まなくなった。
『六番目の小夜子』、『球形の季節』、『木曜組曲』
とかが好き。
テンポの良い会話がうまい人なので、もっと饒舌な
戯曲を書いてもらいたいなあ。