国境の南/south of the border

ysaÿe design officeの いえ 音楽 旅

由布院 空想の森 アルテジオ

2006-03-24 17:06:02 | 絵画

休日に「空想の森 アルテジオ」というところに行きました。
目的はここのギャラリーと建築物。
湯布院の緩やかな斜面に、モダンデザインの清楚な建物が建っています。

直線的なスロープを進んでいくと、右手にレストラン、左手にギャラリーがあります。
この日は常設展の他に「アンリ・マチス展」が開催されていました(やったー)。

ウォーホルによるベートーベン、クロード・ムーランの楽譜をモチーフにした作品(ミクスト・メディア)、有元利夫の楽譜と銅板画の作品、そして壁に印字された武満徹の言葉など・・・。
この美術館は、音楽と視覚芸術を融合させようとするコンセプトがはっきりと伝わる、展示内容でした。



館内にはピアノとチェンバロがあり、実際に第2水曜日にはチェンバロのコンサートが開かれているそうです。
バッハの無伴奏ヴァイオリンが流れる静寂な空間。となりのアルテジオダイニングでは、キューバの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が流れている。この二つの対比がとても心地いい。
音楽の趣味もぴったり合う。
また、僕の大好きな有元利夫の作品にめぐり会えたのが、今回のなによりの収穫です。


ヤコブセンの椅子に座り、バッハに耳を傾けていると、ここが湯布院ではないみたいに感じる。
その証拠に、数時間後訪れた湯布院の「原宿化」した一帯は、昔の湯布院を知るものにとっては奇異に映りました。
「空想の森 アルテジオ」は湯布院にあって湯布院ではない、孤高の美しさを具えた美術館です。


由布院空想の森 アルテジオ
〒879-5102
大分県大分郡湯布院町川上1272-175


ドードー

2006-01-11 10:52:10 | 絵画


合成樹脂テンペラ(というかアクリル)の技法が気に入って、最近はずっとこればっかり。
手軽にテンペラの気分が味わえるので、とてもうれしいのだけれども、やはり時間に余裕があれば、本物のテンペラ技法をいつか試してみたい。
これは「司祭の帽子を被ったドードー鳥」
モーリシャス諸島に生息していたドードーは、ポルトガル人との接触により絶滅した。
「不思議の国のアリス」にも登場する、ユニークなそして啓示的な鳥。

こちらは「ミンククジラ」
テンペラのグラッシによる深い海の色が、写真では表現できなくて残念ですが・・・。


このことを / 内藤 礼

2005-12-10 12:00:17 | 絵画
このことを / 内藤 礼

先日、瀬戸内海の離島、直島にある「ベネッセアートサイト直島」から注文していた本がやっと届いた。
アーティスト内藤礼さんの直島での作品集「このことを」である。
内藤礼さんの作品は、絵画いわゆるタブローではなく、立体というよりも空間作品である。
繊細でか弱くて、泣きそうになるくらい儚い。ものによっては、物凄く小さい。
西洋絵画の彫刻的な筋肉やボリュームを習わされてきた自分にとっては、対極にある作品だった。

「このことを」はこの直島でアートプロジェクトとして、築200年の古民家を芸術作品に仕立て上げた作品である。
民家の中に入ると、外からの光は制限され、自然光がまるでなにかの装置のように差し込む。
ガラスや糸やプラスティックでできた小さなオブジェに、魔法のように繊細な光があたり、浮かび上がる。
土の上に置かれたナイロンの輪は、そのまま宇宙の異空間に誘う。
我々鑑賞者は、その微小なオブジェを見れば見るほど、その「大きさに」圧倒され吸い込まれそうになる。いつしか我々の「見る」という行為は反転され、「小ささ」「儚さ」といったものが実は相対的なものでしかないことに気づく。あとにはただ、絶対的な美があるだけだ。

内藤さんの過去の作品「地上にひとつの場所を」はすばらしいタイトルだ。
内藤さんは作品を作り上げたのではない、と思う。
「小ささ」や「儚さ」は、もともと空間に備わっていた属性のようなもので、内藤さんはそれを愚鈍な我々が見えるように、そっと取り出しただけではないだろうか。
もともと、空間には我々の眼に見えない何かがあった。
それはセンダックの「かいじゅうたち」であったり水木しげるの「妖怪」だったりした。
宮澤賢治の童話に現れる、狼や森や座敷童子。

私たちの社会は「大きさ」や「強さを」価値基準として成り立っている。
そのベクトルが単一方向しか向かなくなったとき、小さきもの、か弱きものは隅に追いやられ、排除されてしまう。
だから「地上にひとつの場所を」なのだ。
マイノリティを擁護せよと言っているのではない。
世界はもともと、対称性でできているのだ。どちらかが一方的に勝ってはいけないし、あろうことか、略奪してもいけない。
我々の存在する意味を「このことを」で考えてみた。
内藤さんのおかげで、この世に出現することができた「か弱き者たち」を礼賛しましょう。

テンペラ技法とアクリル絵具

2005-11-17 10:47:28 | 絵画

テンペラという絵画の技法があります。
主に14世紀イタリアのルネッサンス期に用いられた技法で、フラ・アンジェリコ、ボッティチェリなどが有名。たとえば、こんなの↓

油絵具が発明される以前の絵画技法で、顔料を乳化材としての卵黄と混ぜて、絵具を作っていました。
いい点は、水に溶ける絵具でありながら乾くと耐水性になり、重ね塗りができるという点。それと、独特のあの雰囲気。
めんどくさい点は、いちいち絵具を作らなければならないこと。そして細かいハッチング。
とにかく大量にできない絵具なので、チューブから出してドバーっと、という方には向いていません。
そういう僕も、学生時代に勉強したのですが「こりゃ、できんわ」と諦めていました。

社会人になり暇を見つけては、リキテックスのアクリル絵具で好き勝手に描いていたのですが、ある日はたと気がついたのです。
「アクリル絵具ってテンペラだよなぁ」と。

まず、水に溶ける絵具でありながら乾くと耐水性になるというのは、アクリル絵具そのもの。
アクリルは下地にジェッソという白色の下地材を使うのですが、このジェッソ、もともとは石膏という意味だったらしく、テンペラも石膏の上に描いていたらしいです。
もっと調べていくと、アクリル絵具のことを「合成樹脂テンペラ」なんて書いてある解説書もあるくらい。

ということは、リキテックスでテンペラすりゃいいじゃん!
アクリル絵具を細かい筆でハッチングし、薄く溶いたアクリル絵具のグラッシを重ねていく技法にしました。

製作途中ですが、なかなかテンペラっぽい雰囲気が漂っています。
で、このテンペラですね、この細かい作業が病みつきになりそう。


I DON’T MIND,IF YOU FORGET ME. / 奈良美智

2005-08-23 16:54:52 | 絵画

横浜美術館
奈良美智さんの個展にあわせて出版された画集です。
絵画・ドローイング・インスタレーションとほぼすべての作品が収録されています。
こんな絵。

出会いはよしもとばななさんとのコラボレーションでした。
まず挿絵以上の存在感に圧倒されひとめぼれ。
感心したのは、絵本やイラストレーションをも表現に包み込むアートとしての立脚点の確かさ。
いまんとこ日本でいちばん好きなアーチストです。
一点、実物を見たことがあるのですが、予想以上にでかい。
で、このでかさが気持ちいい。
タッチが気持ちいい。
存在が気持ちいい。
すばらしいアートにめぐり会えた喜びですね。

ミヒャエル・ゾーヴァの世界

2005-08-19 17:01:02 | 絵画

ミヒャエル・ゾーヴァの画集を買った。
こんな本。

中はこんなかんじ。
どんな絵かっていうと、

こんな絵があったりして、シュールでユーモラス。
映画「アメリ」で主人公アメリの部屋に飾ってある絵が、ゾーヴァの作品。
「アメリ」自体がまるで、ゾーヴァの世界のよう。
結構、いけるかもね。

わがやのめいけん

2005-07-23 12:17:13 | 絵画

我が家の居候をUPしました。ジェッソとモデリングペーストで下地のマチエールを作りました。
そのあと、リキテックスで彩色。製作期間・・・一晩。
こらっ!って怒られたときの目つきがそっくりだそうな。
いちおう、ダックスフンドなんですけど。