isorokuのこころの旅路

遊行期に生きる者のこころの旅路の記録です

トランプ政権の動向について情報収集

2016-11-12 14:01:38 | Weblog

トランプ氏の動静を見る限り、この人物は良くも悪くも歴史的転換をリードできる人物だと感じました。自分の価値観で判断するのではなく、冷厳にその動向を観察していきたいと思います。

◆ウオールストジャーナル11月10日の社説

・トランプ氏の支持基盤は不満を抱えた民衆の力の証しだ。その多くがフロリダ、オハイオ、ウィスコンシンといった、4年前の共和党候補ミット・ロムニー氏が制することのできなかった州の有権者だった。

・オバマ大統領はまるで彼らのニーズや望みが非論理的であるかのように統治することが多すぎた。有権者に対するこうした軽視が政治的な挑戦を生む土壌を形成した。

・政治の専門家が学ぶべき教訓――本紙も含めてだが――は有権者の心情と、戦わずして景気低迷を受け入れることはない一般国民の拒絶反応にもっと敬意を払うことだ。

・彼は「歩く不満」なのだ。この国にできる精一杯のことは現状維持であるかのように景気停滞に無関心なリベラル派全般に対する非難を体現したのがトランプ氏だ。

・選挙の翌朝、トランプ氏が国を結束させ、全ての国民の「可能性」を解き放つと約束したのは適切だった。

・1865年にエイブラハム・リンカーンが2期目の就任演説を行った際、「誰に対しても恨みを抱かず、すべての人に慈しみを持って」和解と家庭内の平和に向けて歩もうと「同胞諸君」に呼びかけた。この16代大統領の言葉はどんな時でも思い起こすに値する。だが、8日のような長い夜の後ではなおさら価値がある。

 ◆毎日新聞11月12日記事(トランプ氏100日行動計画より)

・共和党主流派のライアン下院議長や上院のトップのマコネル院内総務と会談後、トランプ氏は強調した。「我々にはやるべきことがたくさんある。移民問題と医療保険を重視して取り組む。そして雇用だ」。

・法人税率を35%から15%に下げることで企業に投資を促し、10年間で1兆ドルをインフラ整備に投じ、こうした政策を通じ「少なくとも2500万人」の雇用を創出する。・・・共和党は本来「小さな政府」を志向するだけに、議会との調整が難航しそうだ。

◆東京新聞11月12日記事(暴言封印公約のためより)

・トランプ氏は十月下旬南北戦争中リンカーンが有名な演説を行った激戦地ペンシルべニア州ゲネティズバーグで、大統領就任後の「百日行動計画」を発表した。

・「子供が二人いる中間層の家族には35%減税する」といった大幅減税や、医療保険制度改革法案(オバマケア)の廃止に加えて、TPPからの脱退や国連の温暖化対策への資金拠出撤廃なども盛り込まれている。

 <所感>

・ウオールストリートジャーナルの社説に「政治の専門家が学ぶべき教訓――本紙も含めてだが――は一般国民の拒絶反応にもっと敬意を払うことだ」という言葉が現れたことに、今回の事件が歴史的転換期だということがわかります。

・フロリダ、オハイオ、ウィスコンシンという多様なアメリカを典型的に反映する重要な州で3つともトランプ氏が勝ったことは、ニューヨークやサンフランシスコ・ロサンゼルスといった大都市でヒラリー氏が勝ったことよりも影響が大きいという事実は、アメリカ合衆国を理解するうえで重要なことだと思います。

・トランプ政権の誕生は揺り戻しのない歴史の転換の始まりだと感じます。日本の社会もこの大波にこれから大きくゆさぶられるのだと思います。

 

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トランプ大統領をめぐるウオールストリートジャーナルの記事は参考になった

2016-11-10 12:07:57 | Weblog

トランプ大統領決定の翌日、いろいろな記事を読んだが、最も参考になったのは、ウオー

ルストリートジャーナル(日本版)の記事でした。特に参考になった論述は次のとおり。


・トランプ氏は単にクリントン氏を打ち負かしただけではない。一瞬にして共和党を自身が

イメージする党へと変貌させた。同党が最も大切にしてきた政策や理念を書き換えた。

・トランプ氏はさまざまな政策において、共和党にとって全く新たな立場を提唱してきた。貿易面では自由貿易協定に意欲的になるのではなく懐疑的になること。

・移民政策では経済的な繁栄を支える労働力として移民をとらえるのではなく、深刻な経済的・社会的脅威として不法移民に焦点を絞ること。

・諸外国への介入についても同様で、共和党の前大統領はイラク侵攻を命じたが、それ

を大きな過ちだと呼んだ人物が党のかじ取りを担っている。

・給付金制度に関しても、かつての共和党は高齢者に対する給付金を削減するという苦い薬を飲む準備をしていたが、現在は逆の方向に導かれている。

・トランプ氏の勝利は、ワシントンだけでなく米国全体に深い分断と激しい憤りを残すだろう。彼の出馬は、米国の政治・金融システムが自分たちのニーズや懸念を無視していると考える人々を喜ばせた一方で、暗い情熱も喚起した。

8日の選挙で数千万人の支持者を動員したのはこの戦略だ。トランプ氏は支持者と同じくらいの激しさで自身を嫌悪する数千万の国民を味方に付けることができるのか。それが大統領としての最初の大きな試練になるだろう。

<所感>

・アメリカ議会が上院・下院ともに共和党が過半数となっているので、その共和党が従来の共和党でなくなったとするならば、トランプ革命はまさに歴史的転換期となるかもしれません。(課題1・・・共和党の従来の幹部が思想・信条の違うトランプ路線におとなしく従うだろうか?)。

・成功したトランプの選挙の戦略の負の部分をどう解消するか?(課題2・・・数千万人の嫌悪感)

・当選確実となった時のトランプの演説を見聞した印象では、トランプは上記の二つの課題を何とか克服していけるような印象を覚えました。(自らの陣営に対する感謝の表明姿勢にトップマネジメントとしての器量を感じました)。

<翌日の追加所感です>

・テレビでニュースを見ていると、オバマとトランプがオバマの執務室で2人だけで1時間半も会談し、終わってから記者の見ている中で握手して、お互いを尊重している姿を見せていました。また両夫人の会談も放映されていました。

・ニュースでは、共和党の首脳と融和的に会談を続けている姿もありました。そして、ニューヨークをはじめ大都市におけるトランプ反対のデモも放映されていました。

・トランプの動静を見ていると、課題に迅速・的確に対応しているように見えます。どうやら只者ではないようです。


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小泉元首相インタビューに感銘する

2016-10-22 10:04:36 | Weblog

10月22日東京新聞で、小泉元首相の共同通信社単独インタビュー詳報を読みました。日本の著名な保守政治家に、こうした意見を述べる人が存在していることにあらためて感銘しました。

多くの項目にわたった発言の中で、私が注目した項目のポイントを列挙します。

◆原発と政治

▼記者の質問・・・新潟、鹿児島両県知事選で、原発再稼働に慎重な候補が勝利した。

・目に見えない、うねりが出てきた。原発に対する不安、懸念がいかに強いかを表している。衆院選挙に影響がある。野党が候補を一本化し、原発ゼロを争点にしたら、自民党が勝つか分からない。野党が勝つのではないか。

▼記者の質問・・・郵政民営化と比べるとどうか

・郵政はもっと厳しかった。自民党も反対、全政党が反対だった。非常識と言われながらよく勝った。野党は原発ゼロに反対していない。自民党は民意を無視している。民意を無視する政党が、政権を持続できるわけがない。

▼ポスト安倍はどうすべきか

◆原発政策

・野党が原発ゼロを争点にしたら、自民党は有権者に敏感な政党だから、候補者の岸田文雄外相や石破前地方創生担当相は(どう対応するか)わからない。自民党総裁選にも大きく影響してくる。

▼記者の質問・・・即原発ゼロか

・もちろん。(東京電力福島第一原発事故から)五年。稼働中の原発はほとんどゼロだ。自然エネルギーで賄える。核燃料廃棄物は有害性が消えないのに、処分場がない。新規制基準は米国よりも甘い。避難計画もテロ対策も弱い。原発を攻められたら日本はおしまい。

・東京電力が支払えず、政府が(いったん肩代わりする形で)支援する賠償額は五兆円で足りず九兆円に引き上げられた。原発は金食い虫だ。原発推進論者の「安全、コストが安い、クリーン」とのスローガンは全部うそだ。

◆改憲

記者の質問・・・首相は改憲を実現できるか

・できない。基本は九条改正だが、国民に変える雰囲気がまだない。日本はとっくに解釈改憲している。九条以外を変えるのは意味がない。

<所感>

・現実を素直に見つめ、それに基づく主張を率直に述べる姿を拝見し、日本の保守的な政治家にもこうした人物が存在していることに改めて感心しました。

・戦争中中学4年生で勤労動員された時代に、大本営発表のウソ情報の真っただ中で、父親が海軍の将校だった友人からひそかに聞いた真実の厳しい情報に接したときの衝撃的な感覚を思い出しました。

・残念ながら、当日の毎日新聞では、5面の中ほどに2段記事で要約が掲載されただけでした。

 

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象徴天皇制についての新しい論述をめぐって

2016-09-07 10:52:36 | Weblog

◇印象に残った新聞記事のポイント

 ▼毎日新聞9月7日1面記事 政府、今春「退位は困難」

・「生前退位ができるか検討したが、やはり難しい」。今年春ごろ、首相官邸の極秘チームで検討していた杉田和博内閣官房副長官は宮内庁にこう返答した。

・チームの結論は「摂政に否定的」という陛下の意向を踏まえた上でなお、「退位ではなく摂政で対応すべきだ」だった。

・陛下がおことばを表明する数日、宮内庁から届いた原稿案を見た官邸関係者は、摂政に否定的な表現が入っていることに驚いた。・・・政府にできたことは、表現を和らげることだけだった。

・おことばには「象徴天皇の務めが安定的に続いていくことを念じ」ともあり、典範改正を望むようにも読み取れる。政府は、退位の条件などを制度化するのは議論に時間がかかるとして、特別立法を軸に検討している。

<所感>

・陛下のおことば発表の後の安倍首相の発言をテレビで拝見しましたが、その内容と表情、態度に違和感を感じておりましたが、なるほどこういう背景があったからだなと、納得しました。

 ▼毎日新聞9月7日9面記事 

・「天皇像自問自答」 象徴としての在り方

おことばは、象徴としてのあるべき姿を実践してこられたことが強調されている。陛下は国事行為に含まれない活動も象徴として行ってきた。

・陛下の被災地や避難所へのご訪問は50回以上に上る。陛下は即位してから15年目の2003年までの間にすべての都道府県を訪問している。こうした活動を陛下は「人々への深い敬愛をもってなし得たこと幸せなことでした」と振り返った。

・「信頼と敬愛」は、昭和天皇が46年1月の「新日本建設に関する詔書(人間宣言)で用いた文言だ。「終始相互信頼と敬愛とに依りて結ばれ、単なる神話と伝説とに依り生ぜるものに非ず」と述べた。

<所感>

・昭和20年日本の主要都市が焼け野原となり、広島・長崎に原子爆弾がおとされ、満州や北方諸島にソ連軍が侵入し、劣悪な武器で戦うしかない本土決戦で一億玉砕が叫ばれるという、亡国の淵に立った日本が採用した道が、ポツダム宣言受諾でした。その結果としての象徴天皇制、昭和天皇の人間宣言だという背景を日本国民は忘れるべきではありません。

 <参考資料>

▼毎日新聞9月3日 時の在りか 2・26事件から80年の夏 伊藤智水(編集委員)

・軍部の大陸侵略も日米開戦も止められなかった昭和天皇の下した数少ない決断が、2・26事件鎮圧とポツダム宣言受諾だった。

・だが、青年将校の無法を許さなかったことは正当でも、戒厳令による蜂起制圧は、軍の官僚派勢力をかえって増長させ、「天皇あって天皇なしというべき軍部独走、戦線拡大に弾みをつけた「逆クーデター」とされるゆえんでえある。

・ポツダム宣言受諾は、天皇の言うことを聞かなくなった軍の解体と引き換えに、天皇家存続(国体護持)を保証してもらう条件取引だった。日本国憲法にはその「証文」の意味もある。

・そうしたいきさつを今日、だれよりも肝に銘じているのは、天皇、皇后両陛下であろう。父天皇の名の下に戦ってあれだけの大敗を喫し、無数の死者を出した以上、本来なら「王家断絶」も避けがたい。

・延命した天皇家の当主として、今度こそ天皇自ら民と丁寧に心通わせ、家の祖先に礼を尽くし、何よりも戦争で亡くなった多くの人々を国籍を問わず慰霊する。それが象徴としての務めだと、天皇は8月の「お気持ち」表明で懇々と説かれた。語り口は柔らかくても固い信念が伝わった。

・今の天皇が、象徴的行為の中でも、戦没者慰霊を特に重視している。・・・昭和天皇にはかなわなかった海外慰霊の旅をやり遂げた暁に、父天皇に代わって自分が「生前退位」を決断しよう。子の代になっても責任は果たそう。そんな言葉にできない秘めた意思の表明、と私は聞いた。

・来年は象徴天皇制70年、戦前と断絶し、国柄継続させる難役を今の天皇は父天皇と違うあり方で示された。元首でなく象徴だったからできたのだろう。

<所感>

・敗戦後延命した天皇家の当主として、「今度こそ天皇自ら民と丁寧に心通わせ、家の祖先に礼を尽くし、何よりも戦争で亡くなった多くの人々を国籍を問わず慰霊する。それが象徴としての務めだ」とする今上天皇の固い信念が国民敬愛の源泉となり、象徴天皇制が確立されてきたゆえんだと思います。

▼9月2日毎日新聞 証言でつづる戦争 大戦の教訓 憲法に反映

・「戦時中の天皇と軍のあり方を見て、これはもう明治憲法ではいけない。天皇制というものから権力を取ってしまい、国民の良識によって政治をやっていく時代をつくる」との思いを抱いた」。

・ これは岩淵と親交のあった寺師睦宗が著書で、岩淵の当時の思いを紹介した一節である。(岩淵辰雄は東京日日新聞(現毎日新聞)や読売新聞の政治記者で、戦争中近衛文麿と一緒に終戦工作をした。岩淵は吉田茂らと相談し近衛に持ちかけ、近衛を説得、昭和天皇に終戦を進言(上奏)した。岩淵はその草稿を任され た)

 ・岩淵は雑誌の執筆陣らでつくる民間の憲法研究会に参加。45年12月26日に58項目の「憲法草案要綱」を発表する。1日本国ノ統治権ハ日本国民ヨリ発ス 2天皇は国政ヲ親ラセス国政ノ一切ノ責任者ハ内閣トス 3天皇ハ国民ノ委任二ヨリ専ら国家的儀礼を司ル。 

・この要綱に「象徴」はないが、研究会の森戸辰男は連合国軍司令部(GHQ)のエマーソンとの会話で、「天皇は単なる道徳上の象徴」という考えを伝え、米国は要綱を高く評価した。

・岩淵の終戦工作と憲法作りの論文がある東大学術研究院の福島啓介(44)=国際政治学は言う。「米国が恐れていたのは天皇制の廃止で日本混乱すること。岩淵らの要綱は渡りに船で、今憲法のひな形の一つと言えます」。

・ 岩淵は、統治機構の欠陥や明治以来のしがらみを熟知していた。戦争の教訓があったからこそ「象徴天皇制」にこだわった。岩淵は寺師にもらした一言がある。 「占領軍の圧力がなかったら、おそらく日本人による憲法改正はなかったろう。その言葉にはGHQの圧力を利用して、日本人の手で新生日本の指針となる民主的な憲法を作ることにかかわった誇りがにじみ出ている。

<所感>

・「現行憲法はGHQの押し付けだから改正すべし」という論述は、帝国日本の在り方の失敗の反省に立つ岩淵ら日本人の動きの影響を軽視する見解だと思います。

<参考資料>

・明治憲法的発想にとらわれるグループを基盤とする安倍政権が、今上天皇のおことばに反して摂政制を唱え、それに加担する学者の見解が東京新聞に2回掲載されました。しかし私はその論述に説得力を感じませんでした。

▼東京新聞8月30日 生前退位をこう考える 慶応大教授 笠原英彦「天皇の地位不安定化懸念」のポイント

・陛下は憲法に定める告示行為のほかに、象徴天皇として行う公的行為(象徴的行為)に当たってきた。公平性維持の観点から公務は簡単に減らせないとした上で、象徴的行為を安定的に次世代に受け継いでもらいたいというのが陛下の考えだ。

・一番驚いたのは、陛下が望む象徴的行為の維持が、重患や重大な事故の場合に置ける摂政によっては解決できないとされた点だ。摂政の制度と「生前退位」は別次元の問題であるとの認識を示されたのだろう。

・だが、安易な制度化は危険だ。「生前退位」は天皇の終身制に終止符を打つことになる。明治の皇室典範を踏襲している現行の皇室典範の制定過程においても、終身制がすんなりと決まったわけではなかった。・・・いづれ皇室典範改正も視野に入れ た本格的な検討も必要だろうが、今回は皇継承問題と切り離して論じないと、肝心の「生前退位」問題が吹き飛んでしまいかねない。

・生前退位には高いハードルがあり、実現は難しいだろう。なぜなら、天皇の政治利用が懸念され、天皇の地位が不安定化するからだ。

・象徴天皇制度の趣旨からいっても、天皇と前天皇の二人が共存することは国民の混乱を招きかねず好ましくない。前天皇に権威があると、いつまでも新天皇は「国民統合の象徴」たりえない。

・冷静に考えれば、摂政の規定の柔軟な解釈と運用は可能だ。皇太子殿下も陛下のお言葉を重く受け止めたと報じられているが、それが新天皇の考えを完全に拘束するわけではない。

<所感>

・「生前退位に対する高いハードル」についての笠原教授の論旨に説得力を感じません。今上天皇が全身全霊で公務に努められた結果国民の敬愛が高まり、象徴天皇制が安定しました。その陛下が高齢のため従来のように公務ができなくなっていわば引退され、新天皇が公務を引き継がれて活躍される状態に対して、なぜまたいかにして国民が混乱するのでしょうか?

・前天皇に権威があっても公務から引退されるので、新天皇が公務を活発に行われれれば、新天皇の権威も増大します。象徴天皇の権威は万世一系の皇祚ヲ踐メルという存在だけではなく、今上天皇がはぐくまれた公務によって安定しているわけです。その公務を引退される今上天皇と並列して、皇祚を継ぐとともに公務に努められる新しい天皇は立派に国民統合の象徴になれます。生前退位が天皇の地位を不安定化する懸念は杞憂だと思います。

 ▼8月18日 東京新聞 九州大学名誉教授(憲法学)横田耕一「公務とは」まず問いたい

 この記事は私のブログですでに取り上げていますので、論述を省略します。

 

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象徴天皇制を巡って共感できる論述

2016-08-24 17:30:23 | Weblog

今日8月24日(水)毎日新聞夕刊で田中優子法政大学総長の「江戸から見ると」欄で、「象徴の主体的創造」と題する論述を拝見しました。大いに共感しました。ポイントは下記のとおりです。

・中世以降、武家集団は天皇を徹底的に利用した。秀吉の朝鮮侵略時御陽成天皇を明の皇帝に据えようと計画した・・・。徳川政権は天皇家を伊勢に移すことを検討したが・・・。明治以降の天皇制はむろん、政治と軍事のためにつくられた。

・今回の天皇陛下のお言葉は、このような政治利用の歴史を超えるものに思える。戦後の憲法が定めた「象徴」の実質的な意味を自ら主体的に捉え直し、自ら行動し、それを自らの言葉で語られたからである。

・「人々への深い信頼と敬愛をもって」「国民を思い、国民のために祈るという務め」を成し得たと語られた。そしてその務めとは「人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添う」ことであった。

・そしてこのたびのお言葉は、「国民と共にあり,相たずさえてこの国の未来を築いて」いくためにはどうすれば良いのか、という国民への問いかけであった。

・象徴とは、政府や官僚組織に自らの運命をゆだねることではなく、市井の人々に直接つながり直接対話し、そこからともに方法を考えていくこだという発見が、ここにはある。

・国民はもはや天皇を、政権に利用される存在にしてはならない。私たちもこれを「主権」を深く考える機会にしたい。

<所感>

・日本という国はその歴史的成り立ちから、政治権力が天皇制の権威をすべて吸収することができなかった。文化風土がそれを許さなかったのだと思われます。

・昭和の軍を中心とする天皇親政を旗印にした軍・官・民の一部の専制政治は、連合軍の武力で崩壊しましたが、その専制ぶりに対する一般国民の不満は内部からの崩壊圧力として潜在しておりました。

・昭和天皇の人間宣言や全国ご巡回、今上天皇の28年にわたる国民に寄り添った心からの行動が、連合国の外圧や国民内部の専制政治への不満を克服し、天皇制が象徴天皇制として存在を高めたことは、戦後70年を生きてきた者の実感として間違いない事実だと思います。

・戦前回帰の天皇利用は決して実現されてはなりません。

 

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