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トランスフォーマー小劇場

*着彩はリミックス

2008年12月18日 | 書評
本棚に押し込んだ大量の本の中に、「コピックワールド 美術手帳一九九九年九月号増刊」(美術出版社発行ムック、A5版1890円)という一冊を見つけました(僕はコピックを使わないのですが……)。

「コピックを使ってみよう」「プロのテクニックに学ぼう」「コピックをよく知ろう」という三段構成。どうやら単行本として再発行されたらしく、まだAmazonで買えるようえすが、技法書としてはお勧めしません。Amazonのレビューにもありますが、基本インタビュー本です。

ちなみに「使ってみよう」&「よく知ろう」の作例は翠川しん氏で、30枚近いイラスト(1ページまるまる使ったイラストは7枚)があります。お好きな方はいかがですか。

それはともかく、プロのコピックユーザーとして紹介されているうちの一人、漫画家の上條淳士氏の言葉が印象深いので言及します。

記事によれば、他に大家の多い水彩やカラーインクに行き詰まりを感じていた上條氏は、発売されたばかりのコピックを使い、主線を活かした自分なりの描き方を確立しようと考えた、とのことで、
原稿ができ上がると、そこまでで一工程なんです。それが完成といってもいい。だから彩色はまた別の作業。完成したものをどういうふうにアレンジするか、リミックスに近い作業なんです。
(上條淳士 スミベタを活かしたハイコントラストな独自の絵づくり
そう締めくくります。

着彩はリミックス。

このフレーズが僕の頭にこびりつきました。CG彩色は、コピックよりいっそうその側面を強めています。

線画さえ抽出しておけば、厚塗りだろうが水彩塗りだろうがエロゲ塗りだろうがいくらでも試すことができます(前二者はあくまでもコンピュータ上のシミュレートにすぎませんが)。必要なのは電気代だけ。線画をトレスする手間もカラー画材を買うコストも大幅に引き下げられました(AdobePhotshopは下手なPCより高額ですが)。あらかじめ着彩レイヤーを細かく分けておけば、色調補正だけで簡単にカラーリングを違えることもできます。まさにリミックス。

そして気付くことは、CG技法書が「リミックス方法」ばかりに目を向けているということ、技法書それ自体がリミックスのように同工異曲的になっているということです。

上條氏の言葉が、技法書における僕の判断基準の礎になった、というお話でした。

書評になってないな。

あとでもうちょっと書き直すかもしれません。


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