朝日新聞8月3日
できたぞ!!泥んこハウス/はりま・佐用町
自然の中で遊びながらアートを追究する「さよう子どもアートスクール」のメン
バー約20人が2日、佐用町水根の休耕田で、大きな粘土の家「泥んこハウス」
を完成させた。水根は岡山県境に近く、町の中心部から北へ約13キロ。2戸が
残るだけの山間の「限界集落」に、2年ぶりに子どもたちの歓声が響いた。
スクールの子たちは07年に初めて水根でキャンプした。その時の笑い声が忘
れられない地元の平尾一好(かず・よし)さん(67)が「またおいで」と呼びかけ
た。7月25日に土を足でこねる粘土づくりをはじめ、1日から1泊2日で計10時
間をかけてこの粘土を積み、幅約2メートル、奥行き約3メートル、高さ約1・5メ
ートルの童話に出てくるような「宮殿」をつくり上げた。
町立久崎小4年坂本和駿(かず・とし)君は「こんな大きな粘土の家は初めて。
かっこいい」。姫路市北原の市立糸引小3年永野誠也君は「みんなでつくるので
楽しかった」と話した。
指導した地元の陶芸家黒野丈治さん(59)は「子どもたちのエネルギーはすご
かった」。12月までかけて乾燥させ、縄文土器のように丸ごと野焼きする予定と
いう。
平尾さんは「久しぶりの子どもの声に元気をもらった。12月の野焼きに合わせ
て、餅つきイベントをしたい」と顔をほころばせていた。