飼い猫の遠吠え

とにかく気持ちは前向きに寝る間を惜しんでほふく前進・・・

シネマ!「罪とか罰とか」

2009-03-12 01:49:20 | 読書・映画のたしなみ
前回、車のトラブルにより見ることの出来なかった映画『罪とか罰とか』。

こちらにいらっしゃる殆どの方は、タイトルすら知らないと思われるマイナー路線一直線の映画ですが、前回ちょこっと感想を書いた『少年メリケンサック』同様、主演の力もあってか、結構アチコチで上映されているようです(※ 全国ロードショーです)。ただ、邦画も最近見直されている良い傾向の中でも、案の定といいますか、興行成績なとどは別路線のようですので、今週あたりで上映終了となる映画館も多いようですね。

しかし、『少年メリケンサック』より面白いんです!!


監督は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ。
最近では、ちょっと前に緒川たまきと入籍をした事で有名になっていましたが、演劇の分野では、ケラ様として崇め奉られるほどの有名人。テレビの方では、『時効警察』あたりで名前を聞いたことがあるかもしれませんが、『帰ってきた時効警察』の第四話(脚本・監督)にて、TV受けしない不条理極まりない演出をして、突出した回を作ってしまったことで有名(?)・・・と、書いて分かる通り、普通に生活をしていると中々出会えないという、まぁ、そんな感じの方です。

『売れないアイドルがひょんなことから一日警察署長に抜擢されるが、担当刑事の元彼は殺人鬼だったり、なぜか事件を解決しなければならなくなったりと、しっちゃかめっちゃかなポリスコメディ』

と、あらすじはこんな感じ。
ブラックユーモアということでしたので、相当の不条理路線を覚悟しましたが、思いっきり踏み外した演出も無かったので、訳分かんない感はありません。ただ、「殺人鬼が警察官になれるかよ!」とか「バレないわけないやん!」とか「人を撥ねておいてそれは無いだろ!」、そういったストーリーにディテールを求めてしまう方には、全くもってついていけません。そんなことを忘れて、ただ頭を空っぽにして非日常世界を楽しんでみると、とにかく面白いこと請け合いです。劇団ナイロン100℃の面々をはじめ、演劇の方が多数出演していることもあって、笑いの間に関しては、申し分ありません。ただ、そんな中に入ってしまうと、そんな世界に慣れていない成海璃子&永山絢斗の主役級に物足りなさを感じてしまいます。あのたどたどしさも演出といわれれば、そうなのかも知れませんがね。

そのあたりを差し引いても、馬鹿笑いをしたい人にはオススメの作品です。エンドロールを見て驚くのも楽しく、エンドロール後も飽きさせません。そう、演劇を見に行くことを考えれば、1,800円なんて有難い限り金額ですから・・・。


<おまけ>

そうそう、今回見に行ったときには、大体30名位の人が入っていました。
会場が広かったからか、一人客が多かったからか、とにかく映画館は静かで、なぜかみんなヒソヒソ声で話をするような緊迫ムードというか気を使いムードに包まれておりました。自分も飲み物を買ったものの、なんか音を立てるたびに緊張する始末。なんだ、この変な空気・・・。
そして、映画が始まって、しばらくした所で、主演:成海璃子が登場したのですが・・・誰もが息を呑む位に、立派に成長しておられました。色々噂には聞いていましたし、各CMを見てもちょっとふくよかになったかな? と感じてはいましたが、いやいや動いているのを見ると、自分がイメージしているのをはるかに凌駕する位のデ・・・ボリューム感。あまりのインパクトに、最初の頃は、

「これは、今回の役作りってことでいいのかな? いいんだよね?」

映画の内容そっちのけで心配してしまう始末。この方がある程度、今回の役柄には合っていたことは間違いありませんし、走る姿にもコミカルさが生まれてしまうのには、違う意味で笑えましたが、『1リットルの涙』で見せたあの姿がどうしてもオーバーラップしてしまい、どうにも心配でなりませんでした(と、人の事を言えない自分がいうのもどうかと思いますが・・・)。

映画の中身に関しては、某所では、大爆笑となったという話も聞いていましたが、そんな不思議な雰囲気のこの会場では、どうも素直に笑っていいのか悩ましい感じなのです。後ろの人もその雰囲気を感じ取っているのか、なぜか笑いをかみ殺しているようで、時折、

「・・・くぅ」「・・・ぷっ」

という声が漏れ聞こえます。
耳を澄ませば周囲もそんな感じのようで、とにかく奥ゆかしい方が多いのか、まるで笑ってはいけない○○のような雰囲気なのです。それはまるで、「こんな所で笑うんだ~」と無言のプレッシャーを感じるが如く。それから、当然自分も含めて、笑いのかみ殺し大会が繰り広げられていったのでした。ただ、さすがに最後の工場シーンでは、周囲も自分も「かいねこ、アウト~」的な笑いを連発してしまいましたが・・・別に笑ってもいいんですけどね。


「罪とか罰とか」 ★★★★ (5段階)


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6 コメント

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ドロンジョも見たい (dahan)
2009-03-12 22:00:37
あ、『罪とか罰とか』ちょっと気になってましたけど、タイトルに引いてしまいました。
笑いのかみ殺し大会、なんか雰囲気わかる~。
メリケン~は楽しく観て来ました。メ~よりも面白いのかぁ。なんかホルモーも映画になるそうですよ。




ドロンジョ見たいですね (かいねこ)
2009-03-12 23:55:15
>dahanさん

この内容にコメント頂ける山ヤの方がいらっしゃるとは、嬉しい限りです。有難う御座いま~す。
演劇者なので哲学的な感じになってしまうんでしょうね。内容的には…って、罪と罰の内容なんて大学時代からすっかり忘れていますから、比較できませんが(汗)。自分としては、メリケン~よりも良かったと思いますが、一般受けは間違いなくあちらなので評価は分かれますかね(ストーリーはこちらの方がまともかも)。興行成績は比べるべくもありませんが…。

鴨川ホルモー、映画化ですね。好きな作品がドラマ化・映画化となると、作品に忠実を望みながら、それ以上も期待してしまいますから心配です。現在も二十世紀やバチスタの悲しい例もありますし、なかなか難しいですよね。ただ、期待は、意外や意外のヤッターマン。どうにか羞恥心を捨てて、見に行きたいです。
Unknown (監督@KTM)
2009-03-13 10:51:16
ふ~ん、ケラリーノ・サンドロヴィッチって名前に惹かれますね。是非観てみたいですが、再来週までやってますかね?
メリケンサックは、私には佐藤浩一のキャラがいかにがんばってもちょっと違うなって思いましたが、あおいちゃんがとにかく目茶可愛いので他は全部許すってとこっですね。
最近観た映画では、「ポチの告白」がダントツでした。警察機構の闇を告発するもので、かなりリアルに怖いです。もっと反響あってもよさそうな映画なのに静かですね。
多趣味 (かいねこ@デー○中)
2009-03-14 15:22:15
>監督さん

今は、海外ですか。コメント有難う御座います。m(_ _)m
再来週までは、ちょっと厳しいかもしれません(涙)。
おおっ、監督さんに興味を持っていただけるとは…といいますか、結構ご覧になられていますね(笑)。映画好きより演劇好きにはたまらない作品ですので、演劇にも興味があるようでしたらオススメです。鳴海さんのプヨな可愛さもいいものです。
ポチはようやく広告を見るようになってきましたね。相棒には負けないように頑張って欲しいです。お堅いの見ないのですみません(汗)。
なるほど、メリケンサックより (監督)
2009-03-25 23:25:25
>演劇にも興味があるようでしたらオススメです

私、演劇はどういけません。いかにも演じてますって感じのわざとらしい調子のセリフを聞くのがいやで、TVで劇場中継などやってても、すぐチャンネルを変えてしまいます。劇場へ行ったこともありません。なのでちょっと心配だったのですが、この映画は文句なく面白かったです。ということは逆に演劇も自分の食わず嫌いで実は楽しめる作品もあるのかな?と思いはじめました。

ただ、一見関係なさそうないくつかのシーンが、時間が前後しながら展開していくうちに全体として関連付けられていくこの手法、前に(去年か一昨年?)ケーブルTVの深夜番組で見たのアメリカ映画そっくりでした。そちらはまったくお笑いの要素はなかったのですが、交通事故、殺人、コンビに強盗などが最初は無関係に見えて全部関連ずけられていく構成で、偶然に途中から見て引き込まれ最後まで見てしまいました。その映画の名前もスタッフも何も覚えていませんが、よくできた映画でした。この日米の両映画が互いに無関係か、どちらか一方が他方を模倣したのかはわかりませんが、作品の完成度はまず同等、個人的には「お笑い」がある分「罪とか罰とか」の方に軍配をあげます。とにかく俳優さんがみんなめちゃうまいですね。個人的には、コンビニ強盗の姉さんと、芸能マネージャーのおばさんが好みです。
感激! (かいねこ)
2009-04-17 14:42:25
>監督さん

コメント頂いていまして、失礼いたしました。しかも、ご覧になられただなんて…感激です(涙)。
演劇は、教育テレビあたりでやっているような高尚なものは、自分も苦手ですが(笑)。最近のドラマにもその手法が多く採用されていますし、上手な役者さんはテレビ露出が増えましたから、違和感なく楽しめると思いますよ。
それ系で思いつくのは、パルプ・フィクションあたりですが、ちょっと違いますね。個人的には、以前こちらのブログにも書いた「運命じゃない人」が秀逸です。DVDになっていますから是非!
俳優さんは、演劇のメンバー揃えてますから、脇役がしっかりしていていいですね。強盗ねえちゃんは、すっかり女優な奥菜恵。マネージャは、犬山イヌコですね。自分の世代ですとマキバオーやニャースの声の人でおぼえてます(笑)。

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