犬もおだてりゃ人捜す

偶然見た「犬あげます」のチラシ。そんな出会いから迎えた子犬が、災害救助犬になったのだ!

ありがとう!

2007年06月12日 | 捜索
このトシになりますとね、涙もろくなることはあっても、何かに感動する機会なんてのは徐々に減ってくるもんです。ま、感受性の問題なので個々に違いはあるものでしょうけど。
人吉で3日間、みっちり練習させてもらいまして、最終日には我が子ながら花ちゃんに感動いたしました。前回とは違って、すご~くいい気分で帰りの飛行機に乗りました。
みなさん、ありがとうございました。

初日の金曜日に、早速午後から捜索訓練に山へ連れて行ってもらいました。
ここ最近、花は捜索に意欲的になり、調子がよかったもので、鈴をつけたらピューっと走っていくかな?と思っていましたが、やはり初めての場所で、移動疲れもあったのでしょうか、地面のニオイを嗅いだりして、どうも勝手が違う様子でした。
しかし、今回は試験に来たわけではありませんから、結果どうこうではないのです。
なので、途中いろいろ質問したりして、犬の見方、風の読み方、練習方法などを教わりました。
翌日の土曜日は、朝からオビディエンスを教わり、その後、午前と午後に分けてそれぞれ違う山に入り訓練させてもらいました。
このときも、意欲的とは言いかねる内容でしたが、そんなときの対処法を教わりました。
訓練は、それはもう手取り足取りで、山の中を歩き回って体はクタクタになりましたが、とても充実した内容でした。

そして日曜日。
この日も朝からオビディエンスを教わり、その後山へ。
前の2日に比べて、花が良くなってきているのがわかります。
午前の訓練を終え、一度訓練所に戻って人間たちはお昼ご飯を食べ、犬たちは休憩したあと再び午前とは別の山に向かいました。
午後の部では、帰る時間の都合もあったので、林道の捜索は花ちゃんを一番手にやっていただきました。

全長500メートルほどの間に、隠れ役のヘルパーさんが2人という設定です。
どこに隠れているのかは、もちろん全くわかりません。
鈴を付けて花を送り出し、後から追従します。
我々の前方5mほどのところを、顔を上げシッポを立てて花が歩いていきます。
その姿は、明らかに「誰かを探している」という様子が見て取れました。
花が足早になり、「ニオイを見つけたな」と思うと、右に左に動き回りニオイの発生源を探しています。クンクンと高鼻を使うや林道から土手を下って川原に降りていき「ワンワン!」と元気よく鳴いてくれました。一人目発見です。
おやつをもらってゴキゲンな花を呼び戻し(中々、帰って来ないんですよね~)「さぁ、もう一人いるよ」と再び先へ進みます。
比較的平らな林を抜けて、急な山の斜面の下でまた足早になりました。
どうやら、その斜面のどこかにいるようです。ですが花ちゃん、体がちいさいので、登れる場所を探してしるようでした。
花にとっては斜面もキツイし、草ボーボーでしたから「これはムリかな?」と思いました。
すると、ピョンと斜面に取りつくや、サササっと登っていきました。
下からは見えません。どこにいったんだろうと思ったころ「ワンワンワン!」と聞こえてきました。
すご~い!2人目も発見です。
私はただ後を付いて歩いていただけなのに、花はそのときの自分の持てる100%の力を発揮してくれたのです。

あのビビリの花が、望まれない出産の末「あげます」の張り紙ひとつで貰われてきた花が、オシッコちびってピーピー泣いていた花が、シーソーに乗れるまで1ヶ月もかかった花が、自転車のバネを飲み込んで大騒ぎした花が、甘えん坊でソファに座ると必ずベッタリくっついてくる花が、3月に来たときには全くやる気のなかった花が、ボールに執着しないから訓練出来ないと言われた花が、こんなことが出来るなんてと頭の中をいろんなことが駆け巡り、感動でウルウルになりそうでした。
(とはいえ、その場では平静を装ってましたよ)
追従してくださったハンドラーの方のお一人が、「すごいね、無駄な動きが全くなかったね。あんたたちは自分たちで訓練してるんでしょ?よくここまでしたね」と言ってくださいました。

これはひとえに、熱心に指導してくださった人吉の訓練所の方々、そして励まし、アドバイスし続けてくれたCheeママさんのお陰です。
この状態を維持できるように、そしてさらに向上すべく今後もがんばります。
そして、この感動をみんなにも味わってもらえるように、仲間たちと訓練を続けていこうと思います。

K所長さん、M訓練士さん、隠れてくれたS君、Mちゃん、救助犬協会のみなさん、お世話になりました。ありがとうございました。
今度はみんなで合宿に行きます。

そして花ちゃん、お前はエライ!
私ゃ、すっかりうなぎの味忘れちまったよ。