「井の中の蛙、大海を知らず」

ガンボチローズリーダー、アラヤのブログ。知名度はそこそこあるが、ライブに人が来ないのが悩みの種。

ステラギター復活大作戦 その2

2017-05-22 06:49:16 | 日記
ステラギターの修復の続きでございます。

前回はボディーを剥がし、内側にナラ材で作った単板をもう1枚貼って補強。その上に反り防止の補強材を接着って所まででした。

単板を剥がしたから、中が丸見えの状態。なかなかアコースティックギターの内部を見る機会もないんで、シゲシゲと眺めていると、、、

いやー、ネックとボディーエンドの所がなんか弱そうだな。よく70年近くももったもんだ。

せっかくなんで、ここも角材でしっかり補強しましょう。


ボディーの縁に沿って木工ボンドを流したのは、裏側の単板の剥がれを防止するため。効果があるかどうかは謎ですが(笑)

あ、因みに木工ボンドは乾くと透明になります。多分この当時の木材の接着は、ニカワという接着剤をつかってるはず。それよりは木工ボンドの方が強力なんだけど、、、音の影響はありそうな気がしますね。なんとなく。



ここでちょっと、どうでもよい雑談。

1940〜1950年代の廉価版ギターを見てて思ったけども。

しかしアメリカの工業力というか、大量生産する時の徹底的な効率化とコスト削減は、古くからよく考えられてるなぁと思う。良い悪いは別にしてね。

自動車のオートマチック車って、実は戦前には実用化され生産、販売されてるし、もっといえば

第2時世界大戦中、重要な戦力とされた航空母艦(いわゆる空母)という軍艦の生産力は、大戦中のわずか5〜6年間の間だけで比較しても、日本は20隻程度しか作れなかったのに対し、アメリカは140隻近く生産してる。

こんなのが140隻。そりゃ負けるわ。

うーん、話が変な方向になってきた(汗)

今でこそ我が日本だって先進国だけども、部品1つとっても古くから職人文化というか、その道の達人じゃないと作れないって事を、重んじてきた日本の文化の差なのかな?と思ったりする。大量生産には向かないけど。

でも自分達の仕事もそうなんだけど、職人文化ってのは未来にも残って欲しいなぁと思うよ。



訳の分からん事を思いながら、接着乾燥を待ってる間、ギターのツヤの無さがフト気になる。

もしかして?と、試しに塗装のツヤを出すコンパウンドをボロ布に付けて拭いてみると、、、

ボロ布にまっ茶色のヤニ、汚れが!!

って事で、僕の大好きな地味で単純な作業(笑)乾燥を待ってる間、ネックの所をボロ布でコシコシと磨く作業を。


分かるかな?ツヤが出てきたの。

いいですねぇ〜。古い時代のラッカー塗装が見えてきました。

この時代のラッカー塗装に使われていた塗料は、今アメリカでは、労働基準だか環境だかの法律で使用禁止なんだよね。確か(違ってたらゴメンなさい)

そして、いよいよ!!今回のメインイベント!!

ボディー単板の貼り直し作業。

少しづつ合わせながら、

接着していきます。

って、あっさり書いているけど、実はこの作業がメチャクチャ大変だった!!

一度、単板を剥がしたもんだからギターが歪んちゃってね。まあ、古いギターってのもあるけど、合わせるのが一番苦労しました(汗)モタモタしてると、木工ボンドが乾いてきちゃうし(汗)

これでまた一晩放置して、、、


出来ました!!

その後、ブリッジの位置がズレていたんで、ナットから12フレットの長さと、同じ長さになるように位置を調整して、

なんとか完了。でも写真を見れば分かるけど、ボディーにも汚れやら、接着の時にはみ出たボンドの跡とかがあって、かなり汚い。

なので、今度は全体をコンパウンドで磨く作業。

「キレイや、キレイやでぇ〜」と呟きながら(ほぼ変態)、コシコシと磨いてると、、、

いいですねぇ〜。分かるかな?以前は汚れで見えなかったけど、ラッカー塗装された古いギター特有のクラック(塗装のヒビ割れ)が見えてきました

以前所有してた、1960年製のギブソンES-330にも、このクラックがびっしり入っててね。これを見ながら、酒が飲めるくらい大好きなんです。クラックが(まあ変態)



また話は脱線。

個人的に楽器(特にギター)は、ラッカー塗装の方が絶対に良いと思う。

自分の仕事の家具製作も同じなんだけど、製品としての見た目の品質を重視すれば、数年経てばヒビ割れがはいるラッカー塗装はダメなんで、トラブルの少ないウレタン塗装が今では一般的。

けど楽器としての音を考えたら、硬くパリッとしたラッカー塗装の方が共鳴は確実に良い。硬い塗膜だから、ヒビ割れは起こるんだけどね。

1度、その音の違いを自分のグレッチギターで試したいなぁ。でも、パーツを全部外すのが面倒臭くて(汗)



そんなこんなで、外したパーツを元に戻したり、フレットの高さの擦り合わせなんかの細かい作業を経て、完成です。


肝心の音はというと、、、

あれ?音質は変わらないんだけど、若干音量が少なくなった気がする(汗)

まだ馴染んでないから、何とも言えないけど、、
もしかしたら、ボディー単板を厚く補強した事によって、音の共鳴が少なくなったのかな(汗)

ま、まあ、ネックの反りも無くなってかなり弾きやすくなったし、チューニングの狂いもなくなったし、補強もしたんで(実はかなり動揺してる 汗)

あと、最低でも50年は弾き続けられる楽器になったって事で、良しとしましょう!!ピックアップを付けて、エレキギター的に使うのもアリな気がしますね。

ステラギター復活大作戦、ひとまず終了。

長々とお付き合い、ありがとうございました。
















ステラギター復活大作戦 その1

2017-05-18 09:44:22 | 日記
いきなりですが、、、

長い長い旅路を経て、我が家へ辿り着いたギター

ステラ/ハーモニーというブランドのギター。モデル名はH930という名前らしいが、


流石に60歳後半のお爺ちゃん。弦の張力に耐えられなくなって、年々どんどん弦高が高くなってくる始末(汗)

それでも、オープンチューニングにしてスライドを弾いたりしてたけど、とうとうボディにヒビが!!

「こりゃいかん!」って事で、同じ会社のベース弾きとワタクシ(2人とも木工屋歴は長いが、楽器製作経験まったく無し)のコンビで、
会社で仕事してるフリをしながら(笑)、このお爺ちゃんギターを復活させたいなと思う次第です。

楽器製作に詳しい方々には「違う、そうじゃない」と、

お叱りを受けそうな、ギター修復になるかもですが(笑)なにせ素人。暖かい目で見てもらえれば幸いです。



このステラ/ハーモニーってブランド。

調べると、1920年代頃からアメリカで主に通信販売向けに楽器流通を行なっていた会社。

ステラの後にハーモニーと付くのは、1930年代後半〜1940年代初頭にハーモニーという会社に買収されたから、このダブルネームになったみたい。

ギターに限らず、バンジョーやらマンドリンなんかも販売してたみたいだけど、
そこは、やたらと広大なアメリカ大陸。

近くに雑貨屋さんや商店、ましてや楽器を売ってる店なんて無い田舎に住んでる人達も多いから、
実は通信販売や新聞の個人売買の文化は、古くから日本よりアメリカの方が根強かったりする。

しかも、価格は当時でも手に入りやすい安価で買えるから、貧しい層の人々や初心者向けの楽器として、広く普及していくんだけど

使用してるミュージシャンを見てみると、やはり!というか、やっぱり!

戦前の南部の黒人ブルースマンが使用してる。

ブラインド・ウィリー・ジョンソン


ブラインド・レモン・ジェファーソン

などなど。

新しい所では(といっても、1957年だけど 汗)

エルビス・プレスリー主演の映画「監獄ロック」の中で、
服役中のエルビスが、刑務所でギターを爪弾く場面で使われていたりする。


古い南部のブルース、監獄というキーワードを見ても、なんとなく僕にピッタリのギターの様な気がするが(笑)

実際、オープンDチューニングにしてスライドを弾くと一瞬で!!
広大な南部の綿畑で、綿摘み作業の休憩で「早く夜になんねぇかなー」と言いながら弾いてるような、、、
もしくは、ボロボロの掘っ建て小屋のテラスの椅子に座って「そこの若いの。とっておきの密造酒でも飲んでいきなよ」なんて言いながら、ギターを爪弾いてるような(なんのこっちゃ?)

そんな音がするのです(笑)まあ、要は古いブルースのレコードで聴いたような音なんだけどね。乾いたサスティンの無い音。




やたら前置きが長くなってしまいましたが(汗)

今回の修復。おおまかに言えば

ところどころ、剥がれかけてるボディーを1回全部剥がして、必要に応じて補強しながらまたボディーを貼り直すという作業。

ってことで、ボディーを剥がしてみました。


製造番号かな?あと、このギターのモデル「H930」ってあるね。


ボディーの下の細い木材は補強材。これが無いと、、、

ボディーの単板だけだと、こんなに反ってしまうのです。分かるかな?平行の線に対して、曲がってるの。

しかし、なんの材料使ってんだろ?資料ではバーチ材とあるけど、ホントかなぁ?木目が安っぽいアルダー材に見えるんだよなぁ。当時でも大量生産の安価ギターだし。

なんて事を2人で言いながら、反ってしまったボディーの内側にもう1枚、単板を貼って補強しましょうという事に。

が!しつこいようだが、我が会社は楽器製作をやってないので、
楽器に使われるような高級材、ハードメイプルやらウォールナットなんかの木材は無い。

でもやっぱり硬い木材が良いんじゃない?って事で、床の材料として一般的に使われているナラ(オーク)材を薄く削って、補強材として使用します。

そして元のボディーと接着&プレス。そして反り防止の補強材も接着。


この作業で1日目終了。「なんだ、大した事してねーじゃん!!」って思うかもしれないが、、、

周りの目を盗みつつ、仕事してるフリしながらだから(笑)大変なのよ、ダメ社員稼業も(笑)

って事で、その2へ続く。

興味無い話題で申し訳ない!!