ステラギターの修復の続きでございます。
前回はボディーを剥がし、内側にナラ材で作った単板をもう1枚貼って補強。その上に反り防止の補強材を接着って所まででした。
単板を剥がしたから、中が丸見えの状態。なかなかアコースティックギターの内部を見る機会もないんで、シゲシゲと眺めていると、、、
いやー、ネックとボディーエンドの所がなんか弱そうだな。よく70年近くももったもんだ。
せっかくなんで、ここも角材でしっかり補強しましょう。
ボディーの縁に沿って木工ボンドを流したのは、裏側の単板の剥がれを防止するため。効果があるかどうかは謎ですが(笑)
あ、因みに木工ボンドは乾くと透明になります。多分この当時の木材の接着は、ニカワという接着剤をつかってるはず。それよりは木工ボンドの方が強力なんだけど、、、音の影響はありそうな気がしますね。なんとなく。
ここでちょっと、どうでもよい雑談。
1940〜1950年代の廉価版ギターを見てて思ったけども。
しかしアメリカの工業力というか、大量生産する時の徹底的な効率化とコスト削減は、古くからよく考えられてるなぁと思う。良い悪いは別にしてね。
自動車のオートマチック車って、実は戦前には実用化され生産、販売されてるし、もっといえば
第2時世界大戦中、重要な戦力とされた航空母艦(いわゆる空母)という軍艦の生産力は、大戦中のわずか5〜6年間の間だけで比較しても、日本は20隻程度しか作れなかったのに対し、アメリカは140隻近く生産してる。
こんなのが140隻。そりゃ負けるわ。
うーん、話が変な方向になってきた(汗)
今でこそ我が日本だって先進国だけども、部品1つとっても古くから職人文化というか、その道の達人じゃないと作れないって事を、重んじてきた日本の文化の差なのかな?と思ったりする。大量生産には向かないけど。
でも自分達の仕事もそうなんだけど、職人文化ってのは未来にも残って欲しいなぁと思うよ。
訳の分からん事を思いながら、接着乾燥を待ってる間、ギターのツヤの無さがフト気になる。
もしかして?と、試しに塗装のツヤを出すコンパウンドをボロ布に付けて拭いてみると、、、
ボロ布にまっ茶色のヤニ、汚れが!!
って事で、僕の大好きな地味で単純な作業(笑)乾燥を待ってる間、ネックの所をボロ布でコシコシと磨く作業を。
分かるかな?ツヤが出てきたの。
いいですねぇ〜。古い時代のラッカー塗装が見えてきました。
この時代のラッカー塗装に使われていた塗料は、今アメリカでは、労働基準だか環境だかの法律で使用禁止なんだよね。確か(違ってたらゴメンなさい)
そして、いよいよ!!今回のメインイベント!!
ボディー単板の貼り直し作業。
少しづつ合わせながら、
接着していきます。
って、あっさり書いているけど、実はこの作業がメチャクチャ大変だった!!
一度、単板を剥がしたもんだからギターが歪んちゃってね。まあ、古いギターってのもあるけど、合わせるのが一番苦労しました(汗)モタモタしてると、木工ボンドが乾いてきちゃうし(汗)
これでまた一晩放置して、、、
出来ました!!
その後、ブリッジの位置がズレていたんで、ナットから12フレットの長さと、同じ長さになるように位置を調整して、
なんとか完了。でも写真を見れば分かるけど、ボディーにも汚れやら、接着の時にはみ出たボンドの跡とかがあって、かなり汚い。
なので、今度は全体をコンパウンドで磨く作業。
「キレイや、キレイやでぇ〜」と呟きながら(ほぼ変態)、コシコシと磨いてると、、、
いいですねぇ〜。分かるかな?以前は汚れで見えなかったけど、ラッカー塗装された古いギター特有のクラック(塗装のヒビ割れ)が見えてきました
以前所有してた、1960年製のギブソンES-330にも、このクラックがびっしり入っててね。これを見ながら、酒が飲めるくらい大好きなんです。クラックが(まあ変態)
また話は脱線。
個人的に楽器(特にギター)は、ラッカー塗装の方が絶対に良いと思う。
自分の仕事の家具製作も同じなんだけど、製品としての見た目の品質を重視すれば、数年経てばヒビ割れがはいるラッカー塗装はダメなんで、トラブルの少ないウレタン塗装が今では一般的。
けど楽器としての音を考えたら、硬くパリッとしたラッカー塗装の方が共鳴は確実に良い。硬い塗膜だから、ヒビ割れは起こるんだけどね。
1度、その音の違いを自分のグレッチギターで試したいなぁ。でも、パーツを全部外すのが面倒臭くて(汗)
そんなこんなで、外したパーツを元に戻したり、フレットの高さの擦り合わせなんかの細かい作業を経て、完成です。
肝心の音はというと、、、
あれ?音質は変わらないんだけど、若干音量が少なくなった気がする(汗)
まだ馴染んでないから、何とも言えないけど、、
もしかしたら、ボディー単板を厚く補強した事によって、音の共鳴が少なくなったのかな(汗)
ま、まあ、ネックの反りも無くなってかなり弾きやすくなったし、チューニングの狂いもなくなったし、補強もしたんで(実はかなり動揺してる 汗)
あと、最低でも50年は弾き続けられる楽器になったって事で、良しとしましょう!!ピックアップを付けて、エレキギター的に使うのもアリな気がしますね。
ステラギター復活大作戦、ひとまず終了。
長々とお付き合い、ありがとうございました。
前回はボディーを剥がし、内側にナラ材で作った単板をもう1枚貼って補強。その上に反り防止の補強材を接着って所まででした。
単板を剥がしたから、中が丸見えの状態。なかなかアコースティックギターの内部を見る機会もないんで、シゲシゲと眺めていると、、、
いやー、ネックとボディーエンドの所がなんか弱そうだな。よく70年近くももったもんだ。
せっかくなんで、ここも角材でしっかり補強しましょう。
ボディーの縁に沿って木工ボンドを流したのは、裏側の単板の剥がれを防止するため。効果があるかどうかは謎ですが(笑)
あ、因みに木工ボンドは乾くと透明になります。多分この当時の木材の接着は、ニカワという接着剤をつかってるはず。それよりは木工ボンドの方が強力なんだけど、、、音の影響はありそうな気がしますね。なんとなく。
ここでちょっと、どうでもよい雑談。
1940〜1950年代の廉価版ギターを見てて思ったけども。
しかしアメリカの工業力というか、大量生産する時の徹底的な効率化とコスト削減は、古くからよく考えられてるなぁと思う。良い悪いは別にしてね。
自動車のオートマチック車って、実は戦前には実用化され生産、販売されてるし、もっといえば
第2時世界大戦中、重要な戦力とされた航空母艦(いわゆる空母)という軍艦の生産力は、大戦中のわずか5〜6年間の間だけで比較しても、日本は20隻程度しか作れなかったのに対し、アメリカは140隻近く生産してる。
こんなのが140隻。そりゃ負けるわ。
うーん、話が変な方向になってきた(汗)
今でこそ我が日本だって先進国だけども、部品1つとっても古くから職人文化というか、その道の達人じゃないと作れないって事を、重んじてきた日本の文化の差なのかな?と思ったりする。大量生産には向かないけど。
でも自分達の仕事もそうなんだけど、職人文化ってのは未来にも残って欲しいなぁと思うよ。
訳の分からん事を思いながら、接着乾燥を待ってる間、ギターのツヤの無さがフト気になる。
もしかして?と、試しに塗装のツヤを出すコンパウンドをボロ布に付けて拭いてみると、、、
ボロ布にまっ茶色のヤニ、汚れが!!
って事で、僕の大好きな地味で単純な作業(笑)乾燥を待ってる間、ネックの所をボロ布でコシコシと磨く作業を。
分かるかな?ツヤが出てきたの。
いいですねぇ〜。古い時代のラッカー塗装が見えてきました。
この時代のラッカー塗装に使われていた塗料は、今アメリカでは、労働基準だか環境だかの法律で使用禁止なんだよね。確か(違ってたらゴメンなさい)
そして、いよいよ!!今回のメインイベント!!
ボディー単板の貼り直し作業。
少しづつ合わせながら、
接着していきます。
って、あっさり書いているけど、実はこの作業がメチャクチャ大変だった!!
一度、単板を剥がしたもんだからギターが歪んちゃってね。まあ、古いギターってのもあるけど、合わせるのが一番苦労しました(汗)モタモタしてると、木工ボンドが乾いてきちゃうし(汗)
これでまた一晩放置して、、、
出来ました!!
その後、ブリッジの位置がズレていたんで、ナットから12フレットの長さと、同じ長さになるように位置を調整して、
なんとか完了。でも写真を見れば分かるけど、ボディーにも汚れやら、接着の時にはみ出たボンドの跡とかがあって、かなり汚い。
なので、今度は全体をコンパウンドで磨く作業。
「キレイや、キレイやでぇ〜」と呟きながら(ほぼ変態)、コシコシと磨いてると、、、
いいですねぇ〜。分かるかな?以前は汚れで見えなかったけど、ラッカー塗装された古いギター特有のクラック(塗装のヒビ割れ)が見えてきました
以前所有してた、1960年製のギブソンES-330にも、このクラックがびっしり入っててね。これを見ながら、酒が飲めるくらい大好きなんです。クラックが(まあ変態)
また話は脱線。
個人的に楽器(特にギター)は、ラッカー塗装の方が絶対に良いと思う。
自分の仕事の家具製作も同じなんだけど、製品としての見た目の品質を重視すれば、数年経てばヒビ割れがはいるラッカー塗装はダメなんで、トラブルの少ないウレタン塗装が今では一般的。
けど楽器としての音を考えたら、硬くパリッとしたラッカー塗装の方が共鳴は確実に良い。硬い塗膜だから、ヒビ割れは起こるんだけどね。
1度、その音の違いを自分のグレッチギターで試したいなぁ。でも、パーツを全部外すのが面倒臭くて(汗)
そんなこんなで、外したパーツを元に戻したり、フレットの高さの擦り合わせなんかの細かい作業を経て、完成です。
肝心の音はというと、、、
あれ?音質は変わらないんだけど、若干音量が少なくなった気がする(汗)
まだ馴染んでないから、何とも言えないけど、、
もしかしたら、ボディー単板を厚く補強した事によって、音の共鳴が少なくなったのかな(汗)
ま、まあ、ネックの反りも無くなってかなり弾きやすくなったし、チューニングの狂いもなくなったし、補強もしたんで(実はかなり動揺してる 汗)
あと、最低でも50年は弾き続けられる楽器になったって事で、良しとしましょう!!ピックアップを付けて、エレキギター的に使うのもアリな気がしますね。
ステラギター復活大作戦、ひとまず終了。
長々とお付き合い、ありがとうございました。
今はある程度鳴るようになってきましたが、やはりそうかもしれないですねぇ。