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These Foolish Things

何気ない日常の中に見つけたいろんな素敵なものの記録

トミノの地獄

2013-01-11 | 不思議な噺
トミノの地獄   西條八十 詩集「砂金」より

姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、
可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、
地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、
鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、
無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、
金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、
無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、
暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、
可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に
妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、
狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、
可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、
針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、
可愛いトミノのめじるしに。


西條八十(1892~1970)は、大正から昭和にかけて活躍した詩人です
26歳の頃、鈴木三重吉の創刊した「赤い鳥」に、「唄を忘れたカナリヤ」を発表して一躍有名になりました
27歳で処女詩集「砂金」を発表して、一気に象徴派詩人としての名声を高めました
詩「トミノの地獄」は、この詩集「砂金」に収録されています

このトミノの地獄は非常に解釈の難しい詩だと思います
それ故にか、都市伝説ではこの詩を黙読するには良いが
声に出して朗読すると呪われ、死を招くとも言われています

さて、この噂は本当かどうか?
わたしは言霊というのを信じています
ですから声に出して読むと・・・というのには何かしら不思議を感じます
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