ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の話他、幕末〜明治維新の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮などの話も。

敵か?味方か?生成AIはどの程度「使える」か

2024年08月25日 | がんばれデジタル侍
久しぶりのデジ侍です。


「人は一度便利な道具を開発すると、それがどんなに危険なものであろうが
完全に捨て去ることはない」

らしいです。英国のSF作家だったと思うけど詳しいこと忘れた。

ずっと漫画を描いてて、いわゆる「天才」を目の当たりにすると
「こらたとえ3000年生きても、この人に追いつく事はない」
と、自らの才能の限界に絶望的になります。

「もしかして道具を買えばうまくなる?」と勘違いしては
次々と画材を買っては試し、また絶望して辞めて
その繰り返しの果てにデジタルツールがあった気もします。

手書きの手紙より何倍もタイピングしたが早く綺麗
テンプレート定規の合うカーブ探して描くより
デジタル曲線の方が何倍も速い失敗しない…とか。
(「速さ」を求めてしまうのは、時間が無いからです)

いかにして速く上手く…
だんだんそうなる。


そこに登場したのがAIです。究極や…


「もうこれ、AIに描かせた方が上手いんでない?」

と、いうくらい
最近の「絵柄」を駆使して描いてくるAIイラスト。

それも1分もかからない。普通に描いて3日かかるんではという
アナログならもっとかかる。
一体、何をどう我々は「努力」してるのか
人生何だったのかとか。
泣けてきますよな…


そこでもう「じゃ、開き直って全部AIに描かせたら楽では」
と全面降伏のサインを出しまして


「説明文を入れて、たとえばうちのキャラ
真殿編集長とかをイメージ通り+αに描いてくれたらいいのだ」


と、思いましたが。

AIって…集合知?ですか。
これが案外、できない。作れない。


いや…


大事なことに気づきました。


生成AIは、これは厳密には創作に値しないと。

つまり
マクドナルドのメニューから「テリヤキバーガーを選ぶ」
ようなものです。
もしマクドのテリヤキバーガー買ってきて「手作りなのよ」
て言う女が彼女なら残念ですが、別れた方が賢明です。

いやはや、絵柄を
数パターンから選ぶことはできても
完全にこちらの要求を満たすレベルには、まだまだなようです。

「それっぽい絵柄を何も考えずただ消費するだけの人」
には向いてますが。
「なんでもいい」なら簡単に埋まるでしょう。
まあ世の中、「なんでもいい」は予想以上に溢れてはいますけども。

全て「なんでもいい」ならテレビ番組なんぞもう、
朝から晩まで通販番組を見ていればいいですよ。



たとえば、AIはどうも日本史には超弱いようです。
chatGPTに新選組隊士を描いてもらいました。

こうなんですけど


顔が…池上遼一アシの弟の絵柄に似ててびっくり(爆)でしたが
これは…「歴史ファンタジー」になら使えそうだけど
このままは無理かも;いや、ムリだな。
だったら弟に依頼してあげてくださいよ!
という感じです…。

そうだろうね、そうだよね
資料なんかネットで拾えると思うなよ。
古本屋や古書市を巡り、図書館に言って迷惑がられながら取り寄せ
コピーできんからipad駆使して撮影したりメモしたり
わざわざ資料館、歴史博物館に遠出したりしてるんですよ。
暇さえあれば資料本読んでるんですよ。
好きでないと頭おかしくなるだろうよ。
(いやもうなってるからそうしてんのかw)


他、AI彼氏系のオリジナルキャラが作れる
アプリで試しましたが
もう…そもそも誰も和服を着なかった😆
入力した文章はAIが解釈するために書き換えられてしまったようで
和装っぽいものは出てきますが
韓服やらチャイナやら柔道着、浴衣が合体。
(画面キャプチャが禁止されてるのであげられないけど)


どうもまだ、脳内イメージ完全再現はできないようです。
そしてChatGPTの場合、たとえば
「手塚治虫風」という、具体的作家の絵柄でというのを禁じているらしいです。


AIはあくまでまだ「選択肢」であって
たとえば、ゲーム初期設定でアバターを作るようなものです。
用意された素材で選んで、それっぽくしていくか…
無ければ妥協していくか。
でも妥協を繰り返してるうちにどんどん違っていくような。

完全自由やこだわりを見せたいなら、やっぱり自分で描くしかないです。


とはいえ、創作も
どこかで絵柄タイプはチョイスすることにはなるのですけど。
でも、どのタイプで描いてみようが
完全に他の誰かの絵柄にはならないと思います。

ジョルジョーネはティツィアーノの師匠で絵柄が似てますが
やっぱり違う。
国芳と芳年も。
アシスタントだった人は師匠の絵に似るけど
体格、筋肉、感性、趣味、癖、そんなものまでは似ないから。
二次創作で原作絵を重視した人なんかはその壁にぶつかったかもしれないです。
当然、二次創作とはいえ「自分絵」をどこかで探す必要はあるんですが。


もしーーー「自分自身」なんていう大事なものを
たとえば経済や社会の為に完全にぶっ壊すか棄てて
「全部あなたがたの言いなりです、どうでもいいです、おっしゃる通りに」
と全て、機械のようになるのなら、AIにお任せでもいいかもしれませんが。
人は意志と主体を失えば精神を病みますよ? 
そこに創造は存在しません。


ここで私見ですが

もしかしたらAIの登場は、我々に

より自分らしいこだわりを見つけて示せ、それこそが人間である

と、言ってるのかもしれません。




しかしAIは簡単な遊びやシミュレーションにはもってこい。


今のところそうだと思います。
それっぽいキャラでちょっと実験するとか
一人で行き詰まったような時に、アイデアや演出の補足をするとか

生成AIでキャラ作ってチャット、のアプリで遊んでいますが
ストーリーを追うことまではできないので
何か言えば返すのみ、という感じであくまで遊びです。


まだ当分、
いや、自分というものを失わない限り
AIにお任せでは無理らしく
なら逆に言えば安心して
自分の作品を追求できそうだなあと思ってます。
楽ではないけど。

生成AIに取って代わられる?
そんなことがあるならば
写真が誕生した時に美術なんかとっくに消えていましたよ。
コメント
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