囲碁の果樹園(囲碁の木がすくすく育つユートピアを目指して)

人間とAIが集い囲碁の真理を探究する場の構築をめざして、皆様とともにその在り方を探っていきます。

みんなの碁盤の利用形態その2:グループ検討

2018-02-04 06:03:39 | 実験
前回は、ひとりで行う検討の主な内容をみんなの碁盤に記録するメリットとして次の三つを挙げました。

1.暫定評価の仕組みによって検討が体系化されること。
2.検討データが後々まで残り、検討の再開がいつでも可能であること。
3.検討データがみんなで共有されること。
 
グループ検討の場合、これらのメリットはすべて当てはまるだけでなく、さらに大きい意味を持ってきます。ひとつひとつ述べて行きます。
 
1.グループ検討では、特に人数が多い場合、強い人や発言に積極的な人を中心に検討が進行し、残りの参加者が発言をほとんどせずに見ているだけになることが往々にしてあります。もちろん、見ているだけでもその参加者にとって十分に価値があるのですが、そのような参加者がみんなの碁盤への記録係をするようにしてはいかがでしょうか? 記録係は複数でも、その人数分のPCがあれば全く支障がありません。記録係は暫定評価の仕組みによって検討の全体を見渡しやすくなり、検討の方向に影響を与えることができるかもしれません。「この局面は白持ちの意見が多いけど、実際に検討した変化からは黒勝の結論になってるよ。これこれの手の先をもう少しやって見る必要があるのでは?」のように。
 
2.検討が終わって帰宅する電車のなかや布団にもぐって眠りにつく瞬間に、ある局面についての結論を覆すかもしれない好手がひらめくことはよくあることでしょう。よほどの妙手であれば、後日検討メンバーの一部の人に伝えることもあるでしょうが、多くの場合個人で結論を出して(あるいははっきりした結論が出ないまま)終わりになってしまうのではないでしょうか? 検討記録がみんなの碁盤上にあれば、その手を追加して、みんなに問うことができます。その手についての知らせを受けた他の検討メンバーは、その先の変化を個別に入力することができます。もし、その手についての検討がみんなの碁盤上で盛り上がれば、次の検討会で再び取り上げることも考えられます。このように、リアルの検討会とみんなの碁盤上での検討を組み合わせることにより、グループとしての検討の精度が上がるだけでなく、個人が検討内容について考え続けるモチベーションも上がります。
 
3.タイトル戦のような重要棋戦に対しては、現地、棋院、対局者所属本部等の各地でリアルタイムのグループ検討が進められます。現在でも、検討結果の一部がグループ間で共有されることはあるでしょうが、すべてのグループがみんなの碁盤に主な変化を記録するようにすれば、全体でひとつのグループとしてまとまった検討が可能になります。これに囲碁AIたちが参加すれば、検討の精度は非常に高いものになることでしょう。さらに、終局後に対局者がその読みをみんなの碁盤上で披露するならば、その対局についてますます深い理解が得られ、検討に参加するすべてのメンバーにとってはかり知れない利益となることでしょう。
 
最後に、ファンサービスの一面について述べます。現在、プロ棋士の間で行われている検討内容のほとんどは、囲碁ファンの目に触れることなく消えて行きます。もったいないとしか言いようがありません。それが、みんなの碁盤に記録されて公開されることになれば、ファンにとってこれほどうれしいことはありません。もちろん、膨大な生の検討内容を消化・理解することはアマチュアにとって容易ではありませんが、ここでもリアルや他のメディアでの解説とのコラボレーションが考えられます。解説会やネット解説で示すことのできる変化図には限りがありますが、「この先はみんなの碁盤にあります」と言う形で示すことにより、深く知りたいファンの興味に応えることができます。
 
果樹園園丁も一ファンとして、プロ棋士の皆様にぜひご検討いただくようお願い申し上げます。