囲碁の果樹園(囲碁の木がすくすく育つユートピアを目指して)

人間とAIが集い囲碁の真理を探究する場の構築をめざして、皆様とともにその在り方を探っていきます。

みんなの碁盤の利用形態その3:対局?

2018-02-11 06:34:06 | 実験

みんなの碁盤は碁盤ですから、対局に使用することも可能なはずですが、普通の意味の対局には向いていません。しかし、その代わり、という話をします。

AさんとBさんが、みんなの碁盤を使って遠隔対局をすることにしました。約束の時間に、あらかじめ決めておいた先番のAさんが初手を打ちます。Bさんは、みんなの碁盤の「次手表示」のモードを「すべて」にして、空の盤面で待ち受けています。しかし、待てど暮らせど何もおきません。Aさんの打った手が、すでに登録されている星打ちだったから、次の手のリストに変化がないのでした。

AさんとBさんもこれはわかっていましたから、スカイプでつながり話せるようにしていました。「打ったよ、右上隅星」。Bさんは、言われた通りに黒の手を右上隅の星に打ち、白の手を打ちます。しばらく、お互いに着手を正確に言葉で伝えなければいけない状態が続きますが、ほどなく碁盤は未知の世界に突入します。そうなると、スカイプの連絡は「打ったよ」だけで足りるようになります。相手が次手表示を更新すれば、ただ一つの手が表示されるからです。一手一手局面の登録をしなければいけないのはちょっと面倒ですが、無料なのでがまんします。

中盤の戦いでAさんがポイントを挙げ、勝利を確信したので登録時に「黒勝」の評価をしました。それまでは、お互いに「互角」の評価をしてきたのです。Bさんも、劣勢は承知なので「黒勝」の評価をしながらも、まだまだ投了はしません。

ここまでは、曲がりなりにも普通の碁盤として使えているようですが、普通の碁盤にはあり得ないことも起こり得ます。Cさんは、みんなの碁盤サーフィンをしていて、AさんとBさんの対局が独自の手順をたどる入口の局面にたどり着きました。暫定評価が「黒勝」であることに疑問を持って、その手順をたどっていきます。たどるだけの方が、対局者よりもはるかに速いので追いついて、Bさんが考慮中の局面にたどり着きました。Cさんは白の良い手をみつけたので、その手を登録します。対局中の局面であることなど、知るべくもありません。やがて、Bさんが着手して「打ったよ」。Aさんが次手表示を更新するとあら不思議、二つの手が現れます。「どっちなの?」「えっ、ちょっと待って」。Bさんが確認すると、たしかに二つの手があり、自分が考えた手でないほうが良さそうです。Aさんにはどちらが本当の自分の手だかはわからないはずだから…。

このように、みんなの碁盤は、対局に使おうとすると助言自由の碁盤になってしまいます。

それならいっそ、とここで飛躍します。みんなの碁盤上で対局するときには、ルールを変えてしまったらどうでしょうか? 助言自由、待った自由。待ったは何手遡ってもよいことにします。待った自由にすると勝負がつかなくなるので、ポイント制にします。黒番のAさんにとっては、自分の登録した局面(黒の着手後の局面です)で暫定評価が黒勝になっているものの個数がポイントです。白番のBさんについても同様です。現在のみんなの碁盤には残念ながらポイント管理の機能はない(個人を特定しない現在の方式では不可能です)ので、別に記録・管理する必要があります。

このようなポイント制にすると、形勢不利で粘ることが不利になります。一手打つごとに相手にポイントを与える可能性が高いからです。早く待ったをして、互角あるいは形勢不明の局面まで戻る方が得策です。

そうです。これは全く別のゲームです。「検討ゲーム」とでも呼ぶべきでしょうか? 対局では、形勢不利の時に、いかに局面を難しくするかに醍醐味があります。検討ゲームの目的は高いポイントを挙げることなので、非勢の局面に見切りをつけるこが重要になります。

囲碁の果樹園では、まったく未開発の分野である検討ゲームの娯楽性についても追及して行きます。あらゆる棋力レベルの打ち手に検討の楽しさを知ってもらうことによって、囲碁界全体の底上げに貢献したいと考えています。

いずれ時期が熟せば、みんなの碁盤の参加者のうち、希望者に対してユーザー登録とポイントの記録ができるようにすることも検討します。