事業の定義は、組織全体に周知しなければならない。
組織が若いうちは容易である。
しかし成功するにつれて、組織は事業の定義を当たり前のこととし、特別の意識をもたなくなっていく。
やがて杜撰(ズサン)になる。
手を抜くようになり、正しいことよりも都合のよいことを追いかける。
考えることをやめ、疑問を発しなくなる。
答えのほうは覚えていても、何が問題だったのかを忘れる。
事業の定義が体質となる。
体質が規律の代わりをつとめることはない。
事業の定義は規律である。
事業の定義は検証していかなければならない。
石板の碑文ではない。
仮説である。
常に変化するもの、すなわち社会、市場、顧客、技術についての仮説である。
したがって、自己変革する能力もまた、事業の定義のなかに組み込んでおかなければならない。
事業の定義のなかには、長く生きつづける強力なものがある。
しかし、あらゆる事業の定義が、やがて陳腐化し実効性を失う。
これがGMとAT&Tに起こったことだった。
IBMにも起こった。
日本の系列にも起こりつつある。
:「未来への決断」
事業の定義が体質となる。
このことは、あらゆる組織に起こる。
組織がイノベーションを必要とする所以である。
すでに起こった未来を見ながら先頭に立つことを心掛ける。
その答えは、正しいか?
問題は変わっていないのか?
正しいとしたら、その方法は正しいか?