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今回の記事は『Dr.パルナサスの鏡』(2009年、監督:テリー・ギリアム)です。
ギリアム監督が描く少しダークなファンタジー・アドベンチャー。
名優ヒース・レジャーの遺作にして、また彼の役をジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が引き継ぐことで奇跡的に完成を遂げた話題作です。
■内容紹介 ※goo映画より
現代のロンドンに奇妙な舞台と旅芸人の一座が現れる。
1000歳以上という老人のパルナサス博士、娘のヴァレンティナ、曲芸師のアントン、そして小人のパーシーが一座のメンバーだ。
ある晩、博士の前に悪魔のニックが現れる。
博士はかつて悪魔と不死と引き換えに、「娘が16歳になったら差し出す」取引をしていた。
一方、ヴァレンティナは橋で若い男トニーを助ける。
記憶喪失の彼はそのまま一座に加わるが、それは悪魔の企みだった。
鏡の中は、
わがままな願望でいっぱい
この迷宮から、
大切なひとを救えるのか──?
■感想
※カッコ内空白はネタバレじゃないですが、映画で描かれるある点についての個人的見解なので反転にしました。
余計な認識を与えてしまいかねないので映画を観る前に読むことはオススメしません。
携帯の方は読み飛ばすのは難しい状態になってると思います。ゴメンなさい。
話題作『Dr.パルナサスの鏡』を観てきました。
この作品はヒース・レジャーの遺作として、また彼の役をジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3ビッグネームが引き継いだということで、世界から注目を浴びた作品でしょう。
ギリアム監督の映画というと、どうにも一般受けはしなさそうな印象があるのですが、映画の話題性から映画館へ足を運んだ(または観てみたいと思ってる)方も多そうです。
かくいう僕もそんな一人だったりします。
『Dr.パルナサスの鏡』は撮影半ばで主演のヒース・レジャーが急死してしまい完成が危ぶまれた映画です。
もし、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が彼の役を引き継がなければ、この作品はヒースの未完の遺作となってしまっていたかもしれない。
けれど3人が役を引き継いだおかげで、この作品はヒース1人の時とはまた別の力が加わった形で完成へと漕ぎついた。
また3人はヒースの友人として、出演料の全額をヒースの遺された娘へと寄贈しています。
この3人にはヒースの遺作をよくぞ未完で終わらせないでくれたことへの感謝と、心からの喝采を贈りたい。
ギリアム監督の映画には解釈が難しくよくわからない映画というイメージがある。
これは『ブラザーズ・グリム』を観た時に頭に焼き付いてしまったイメージです。
(『ブラザーズ・グリム』の感想はこのブログでレビューしましたが、昔の記事でかなりいい加減でお粗末な内容なのでリンクは割愛します。ただ文章レベル自体は今も当時もたいして変わってないのが何とも恥ずかしい)
この『Dr.パルナサスの鏡』も解釈は難しい映画だと思う。
けれどよくわからないなりに楽しめる映画にはなっていたと思う。
人の欲望を映す鏡の中の世界はイマジネーション溢れる幻想的な世界で楽しめるし、悪魔との取引に苦悩するパルナサス博士の親心、負い目は観客にもわかりやすく伝わってくることだろうと思う。
(細かい点は僕もよくわかってません。
鏡の中で正解となる選択をした人が鏡から出てくると何故あんなに満たされているのかとか、最終的なトニーの真意とか、よくわかっていない)
話の途中で人(顔)が変わってしまうトニーも、鏡の中で姿が変わってしまったという工夫で違和感は感じない。
この繋げ方および演出はなかなかに上手い。
4人で1役を演じるという意味が新たに生まれている。
鏡の中は入った人の欲望を映す世界となっており、入った人は心躍らずにはいられない。
そんな中で人は選択に迫られる。
ひとつは間違った選択で、もうひとつが正しい選択。
これは人によって捉え方はそれぞれでしょうが、僕は(欲望を満たす選択か、向上の道への選択の2択なのだと思った。
人は安易な快楽や、懐かしい郷愁、酔える感傷に流されやすいもの。
けれど向上や理想への思いも同時に持っていてそれらの間で葛藤してしまう。迷ってしまう。
何が正解なのか一見わからないことでも、人は実は心の奥底では自分の望む道を描き答えを決めているんじゃないかと思う。
それが鏡の中での選択の正解なんじゃないかと今は思っている。)
ヒース・レジャーについて、僕は『ダークナイト』を観るまで知らなかった。
けど、彼の演技が凄いということは今ではしっかり認識している。
この映画でもヒースの演じるトニーの一見良い人そうに見えながらもひょうひょうとしていて正体不明の役柄は大変に魅力的だった。
だから後半のダークなトニーもヒースの演技で見たかったという思いがやっぱりある。
もちろん彼の役を継いだ3人の名優の演技は素晴らしいし、作品に新たな魅力と力を与えている。
けれど純粋にヒースの映画として完成を迎えた『Dr.パルナサスの鏡』も観てみたかったという気持ちもどこかにあるんだ。
ヒース・レジャーの新しい演技を見ることができるのはこの作品が最後なのだということはやはり寂しい。
エンドロールの後に作中でヒースが使っていた携帯の着信音が鳴り響いたのがまた印象的だった。
映画は終わり現実に戻ったけれど、まだ映画の不思議な世界が終わっていないような、何とも言えない不思議な気持ちに包まれました。
映画データ | |
---|---|
題名 | Dr.パルナサスの鏡 |
製作年/製作国 | 2009年/イギリス=カナダ |
ジャンル | ファンタジー/ミステリー |
監督 | テリー・ギリアム |
出演者 | ヒース・レジャー クリストファー・プラマー ジョニー・デップ ジュード・ロウ コリン・ファレル リリー・コール アンドリュー・ガーフィールド ヴァーン・トロイヤー トム・ウェイツ、他 |
メモ・特記 | PG12指定 |
おすすめ度 | ★★★★ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒Dr.パルナサスの鏡 - goo 映画
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確かに、人間ってそういうところありますよね。
単純に、善悪で判断出来るものではなかったんですね。
ヒース・レジャーについては、ichi-kaさん同様、ダークナイトで知った俳優です。
その後、「ブローク・バック・・・」も観ましたが、ジョーカーほどの印象は、残りませんでした。
だけど、ダークナイトのジョーカーを見た後となっては、ヒースの全編演じた「Dr.パルナサスの鏡」を、観たかったですね。
内容も、もう少し変わったかもしれません。
その点では、本当に残念ですね。
鏡の中のトニーを3人の別人が演じたというのは、
成り行き上のこととはいえ、
始めから鏡の中の世界の人間を現すには、これは
面白い手法だと思いました。
コンポーネント方式とでも言いましょうか。
伏字部分は僕が映画観てからレビュー書くまでの間に色々考えたひとつの意見です。けど、映画を観て何を思うのかは人それぞれなので軽く受け流す程度で。
全編ヒース・レジャーの「Dr.パルナサスの鏡」もやはり観たかったなとも思います。
ヒースにはこれから先、もっと活躍してほしかった。
>わさびさん
確かに4人1役は成り行き上そうなったとは言え、そのおかげで映画は別の面白さも確かにプラスされたようにも思います。
ヒースで最後まで撮れなかったという残念な気持ちもありながら、同時に嬉しい形で完結させてくれたとも言えます。