今回の記事は『ザ・ファイター』(2010年、監督:デヴィッド・O・ラッセル)です。
実在のアイルランド系ボクサー、ミッキー・ウォードの波瀾のボクシング人生を映画化した伝記ボクサー映画。
主演にマーク・ウォールバーグ、共演にクリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス。
主役となるボクサーだけでなく、その家族にも焦点を主役並みに当てたストーリーは熱く感動的。
実はアカデミー賞ノミネート、助演男優・女優賞W受賞をしている評価の高い映画です。
■内容紹介 ※goo映画より
マサチューセッツ州ローウェルに住むプロボクサーの兄弟。
兄のディッキーは町の期待を一身に背負う名ボクサーだが、その短気で怠惰な性格からすさんだ毎日を送っていた。
一方異父弟のミッキーは、地道な性格。
兄と母に言われるがままに試合を重ねるが、どうにも勝つことが出来ない。
そんなある日、ディッキーが薬物に手を出し逮捕されてしまい、ミッキーはリングから遠ざかっていく。
しかし恋人シャーリーンの支えもあり、ミッキーはもう一度リングに上がる決意をする。
頂点へ。
■感想
苦境から栄光を掴むまでの道を描いたボクシング映画は実に熱い。
この映画も、実在のボクサー、ミッキー・ウォードの挫折を乗り越え、再起、果ては世界チャンピオンになるまでを描いた映画でありとても熱い。
また迫真のボクシングシーンは骨太な迫力があり、血沸き立つ興奮を感じる。
つまりボクシング映画としての魅力はしっかり詰まっている。
それだけでも十分面白くなり得るのですが、『ザ・ファイター』には、そうしたオーソドックスな要素に加えてもうひとつ大きな特徴がある。
それは主役のボクサーだけでなく、彼を支える家族やトレーナーにまで焦点を大きく当てたストーリー展開で進んでいくという点。
特に大きいのが兄・ディッキー(クリスチャン・ベイル)の存在。
映画の主役はミッキー(マーク・ウォールバーグ)なのですが、物語はそのミッキーに負けないぐらいの掘り下げで兄のディッキーにもクローズして描かれている。
ここまで家族ありきで描かれたボクシング映画は初めてで新鮮に感じました。
(多くのボクシング映画はボクサーの試合がメインであることが多いのですが、『ザ・ファイター』では試合シーンはむしろサブ的で、メインは試合外の家族の物語だったように思う)
映画で強く印象に残ったのは、終盤でミッキーが吐き出す心からの本音です。
兄のディッキーにも、恋人(シャーリーン)にも、家族にもオキーフ(警官のトレーナー)にも居てほしいという言葉はあまりに真っ直ぐで心打たれました。
ボクサーとしての損得なんてどうだっていい。
確執があるのも知っている。
けれど自分のためにみんなに居て欲しい。
ミッキーが吐き出す初めてのわがままは直球で胸を打ってくる。
真っ直ぐな言葉って本当に心に響く。
振り回されながらも兄のことが好きなのだなぁと思えるミッキーの行動は良かった。
警官に殴られている兄をすぐ助けに行ったり、行動の所々に兄を大切に思う優しさを感じます。
兄ディッキーの主役はお前だというセリフも心打ってきます。
そしてやっぱり最後の試合は胸が熱くなる。
少々地味な印象が強めなのですが、主演のマーク・ウォールバーグの演技はさすがに上手い。
とにかく自然体でまったく演技しているということを感じさせないほどリアルに役柄にはまっています。
けど一番驚かされるのは、ディッキーを演じているクリスチャン・ベイル。
クリスチャン・ベイルってあの『ターミネーター4』のジョン・コナーや、『ダークナイト』のバットマンを演じていた俳優さんです。
おそらくこの2役からは、『ザ・ファイター』のディッキーの人物像を想像することは出来ない。それほどまでに違う役になり切っています。
しかもマーク・ウォールバーグに負けないぐらい自然体で。これは凄い。
ミッキーの恋人シャリーンを演じたエイミー・アダムスもとても新鮮に感じました。
役柄としてはけっこう我の強いしっかりした現代的な女性役で、これまた『魔法にかけられて』のジゼルや、『ナイトミュージアム2』のアメリア、『ジュリー&ジュリア』のジュリーとは全く違った印象を受けます。
アカデミー賞作品賞受賞の『英国王のスピーチ』は世間で話題になったけれど、作品賞ノミネートの本作はあまり話題にはならなかった。
けれどこの映画、アカデミー賞では助演男優賞(クリスチャン・ベイル)、助演女優賞(メリッサ・レオ※母親役)とW受賞しており、監督賞、脚本賞でもノミネート。
実はけっこう評価が高い映画だったりします。
興味を持たれた方はご覧になってみるのも悪くない隠れた良作です。
↓貼り残し
⇒img1(ミッキーとシャリーン)
⇒img2(前2作からは考えられないちょい悪ダメ汚れ役を演じるC・ベイル)
⇒img3(ただならぬインパクトを放つ姉妹達)
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒ザ・ファイター - goo 映画
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実在のアイルランド系ボクサー、ミッキー・ウォードの波瀾のボクシング人生を映画化した伝記ボクサー映画。
主演にマーク・ウォールバーグ、共演にクリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス。
主役となるボクサーだけでなく、その家族にも焦点を主役並みに当てたストーリーは熱く感動的。
実はアカデミー賞ノミネート、助演男優・女優賞W受賞をしている評価の高い映画です。
■内容紹介 ※goo映画より
マサチューセッツ州ローウェルに住むプロボクサーの兄弟。
兄のディッキーは町の期待を一身に背負う名ボクサーだが、その短気で怠惰な性格からすさんだ毎日を送っていた。
一方異父弟のミッキーは、地道な性格。
兄と母に言われるがままに試合を重ねるが、どうにも勝つことが出来ない。
そんなある日、ディッキーが薬物に手を出し逮捕されてしまい、ミッキーはリングから遠ざかっていく。
しかし恋人シャーリーンの支えもあり、ミッキーはもう一度リングに上がる決意をする。
頂点へ。
■感想
苦境から栄光を掴むまでの道を描いたボクシング映画は実に熱い。
この映画も、実在のボクサー、ミッキー・ウォードの挫折を乗り越え、再起、果ては世界チャンピオンになるまでを描いた映画でありとても熱い。
また迫真のボクシングシーンは骨太な迫力があり、血沸き立つ興奮を感じる。
つまりボクシング映画としての魅力はしっかり詰まっている。
それだけでも十分面白くなり得るのですが、『ザ・ファイター』には、そうしたオーソドックスな要素に加えてもうひとつ大きな特徴がある。
それは主役のボクサーだけでなく、彼を支える家族やトレーナーにまで焦点を大きく当てたストーリー展開で進んでいくという点。
特に大きいのが兄・ディッキー(クリスチャン・ベイル)の存在。
映画の主役はミッキー(マーク・ウォールバーグ)なのですが、物語はそのミッキーに負けないぐらいの掘り下げで兄のディッキーにもクローズして描かれている。
ここまで家族ありきで描かれたボクシング映画は初めてで新鮮に感じました。
(多くのボクシング映画はボクサーの試合がメインであることが多いのですが、『ザ・ファイター』では試合シーンはむしろサブ的で、メインは試合外の家族の物語だったように思う)
映画で強く印象に残ったのは、終盤でミッキーが吐き出す心からの本音です。
兄のディッキーにも、恋人(シャーリーン)にも、家族にもオキーフ(警官のトレーナー)にも居てほしいという言葉はあまりに真っ直ぐで心打たれました。
ボクサーとしての損得なんてどうだっていい。
確執があるのも知っている。
けれど自分のためにみんなに居て欲しい。
ミッキーが吐き出す初めてのわがままは直球で胸を打ってくる。
真っ直ぐな言葉って本当に心に響く。
振り回されながらも兄のことが好きなのだなぁと思えるミッキーの行動は良かった。
警官に殴られている兄をすぐ助けに行ったり、行動の所々に兄を大切に思う優しさを感じます。
兄ディッキーの主役はお前だというセリフも心打ってきます。
そしてやっぱり最後の試合は胸が熱くなる。
少々地味な印象が強めなのですが、主演のマーク・ウォールバーグの演技はさすがに上手い。
とにかく自然体でまったく演技しているということを感じさせないほどリアルに役柄にはまっています。
けど一番驚かされるのは、ディッキーを演じているクリスチャン・ベイル。
クリスチャン・ベイルってあの『ターミネーター4』のジョン・コナーや、『ダークナイト』のバットマンを演じていた俳優さんです。
おそらくこの2役からは、『ザ・ファイター』のディッキーの人物像を想像することは出来ない。それほどまでに違う役になり切っています。
しかもマーク・ウォールバーグに負けないぐらい自然体で。これは凄い。
ミッキーの恋人シャリーンを演じたエイミー・アダムスもとても新鮮に感じました。
役柄としてはけっこう我の強いしっかりした現代的な女性役で、これまた『魔法にかけられて』のジゼルや、『ナイトミュージアム2』のアメリア、『ジュリー&ジュリア』のジュリーとは全く違った印象を受けます。
アカデミー賞作品賞受賞の『英国王のスピーチ』は世間で話題になったけれど、作品賞ノミネートの本作はあまり話題にはならなかった。
けれどこの映画、アカデミー賞では助演男優賞(クリスチャン・ベイル)、助演女優賞(メリッサ・レオ※母親役)とW受賞しており、監督賞、脚本賞でもノミネート。
実はけっこう評価が高い映画だったりします。
興味を持たれた方はご覧になってみるのも悪くない隠れた良作です。
↓貼り残し
⇒img1(ミッキーとシャリーン)
⇒img2(前2作からは考えられないちょい悪ダメ汚れ役を演じるC・ベイル)
⇒img3(ただならぬインパクトを放つ姉妹達)
映画データ | |
---|---|
題名 | ザ・ファイター |
製作年/製作国 | 2010年/アメリカ |
ジャンル | ドラマ/伝記/スポーツ |
監督 | デヴィッド・O・ラッセル |
出演者 | マーク・ウォールバーグ クリスチャン・ベイル エイミー・アダムス メリッサ・レオ ジャック・マクギー メリッサ・マクミーキン ビアンカ・ハンター エリカ・マクダーモット デンドリー・テイラー ジェナ・ラミア フランク・レンズーリ マイケル・バッファー シュガー・レイ・レナード、他 |
メモ・特記 | 実話をもとにした映画 PG12指定 アカデミー賞:助演男優賞(C・ベイル)・助演女優賞(M・レオ)受賞 ゴールデン・グローブ:助演男優賞(C・ベイル)・助演女優賞(M・レオ)受賞 NY批評家協会賞:助演女優賞(M・レオ)受賞 |
おすすめ度 | ★★★★ |
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方々で、家族愛という、ボクシングメインではないとささやかれていましたが、やはり、格闘系は苦手で・・・
WOWOWでの放送を待ちたいと思います。
確かに、クリスチャン・ベイルの役の作りこみというか、ディッキーとしての病的な体型作り、予告や番宣で見て、すごいなぁと思いました。
この映画のクリスチャン・ベイルの役柄には本当に驚かされますよ。
前2作がヒーロー的な役柄だっただけに、この作品での荒んだ役柄にはびっくり。
自然体の演技でとても上手く惹きつけられてしまいます。
今回は厳しいコメントに なります。
問題児な母親と兄貴でしたね。母親を演じたメリッサ・レオがアカデミー賞の助演女優賞と兄貴を演じたクリスチャン・ベールが助演男優賞を受賞した演技力は さすが!
・・・が、ウォルバーグ演じるミッキーに関わりすぎたために重荷にさせてだいぶチャンスを潰したのは まぎれもない事実。急遽代役の相手選手は体重差がありすぎな無茶な対戦を組ませたり 特に兄貴は 薬や暴力沙汰で 足をひっぱりまくって・・・・
ミッキーは家族に甘過ぎですよ!それが元で前の奥さんと別れて娘との親権も無いんでしょうし、トレーナーや恋人のシャーリーンにも散々迷惑かけて・・・・
無茶な試合を見かねて ミッキーに声を掛けてくれた最初のプロモーターは
「このままじゃチャンスを潰すぞ!私のジムに来るといい、練習中も金を払うから心配するな」
一度目のチャンスは断った。もったいなかった。
二度目のプロモーターは親父さんが連れてきてくれてチャンスに乗ったが "厄介者はお断り"が条件。あたりまえですよね・・・・それを快く思わない母親は親父さんに当り散らしたり恋人のシャーリーンを罵倒して気分が悪かったです。
"家族は家族、 ボクシング・ビジネスはボクシング・ビジネス"の区分けはしないと・・・・
ボクの小さいときの知り合いのレストランのご主人とその息子さんもそうでしたが 息子さんが後を継ぎたいと言った時 父親であるご主人は・・・
"よそで メシ食ってこい"と言ったそうです。身内がそばばにいては しがらみや甘えが出て 腕を磨くのに妨げになるから よそで修業して一人前になってこいって事です。
母親と兄貴は そう言うべき立場なんです!