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「おばあちゃん子」の悲劇…奈良母子3人放火殺人事件

2006-06-26 20:16:53 | Weblog
「おばあちゃん子」の悲劇…奈良母子3人放火殺人事件

 奈良県田原本町の自宅に火をつけ、母と弟妹3人を殺害したとして、放火と殺人容疑で私立高1年の長男(16)が逮捕された事件で、父親の医師(47)も中学生のころから、実母である長男の祖母に、厳しく受験勉強を指導されていたことが25日、近所の住民の証言でわかった。父親は長男の医学部進学に強い期待を抱き、スパルタ教育をしていたことが分かっているが、熱血指導の裏側には自らが過去に受けた厳しい教育がトラウマとなっていた可能性もある。

 長男の家系は総合病院の部長である父親だけでなく、亡くなった母親(享年38歳)も医師。医者の娘だった祖母は薬剤師。父親の姉も薬剤師の資格を持ち、勤務医と結婚しており、まさに絵にかいたようなエリート家系。その家庭環境で父親も実母である長男の祖母から、勉強に関し厳しく教育されていたという。

 近所の住民は、父親について「小学校までは近くで同級生と遊んでいるのを見かけたが、個人塾に通い始めた中学からは遊んでる様子もなかった。お母さん(祖母)は頭が良くしっかり者で、(父親に対し)医者へのレールを敷いていたと思う」と明かす。

 別の住民は「親せきは医者ばっかり。おばあさんが厳格で、お父さんも自分でなりたかったというより、将来のレールを敷かれて医者になった」と回想。父親の長男への期待を想像して「医者になれ、というプレッシャーは相当あっただろう」と話した。

 元同僚によると、父親は「患者や部下に優しい、思いやりのある先生」だという。だが、家庭では「(父親は)長男にいつも勉強、勉強と言っていた」(近所の女性)という。深夜まで付きっきりで教えることもあった。母親についても、中学時代の担任の目には「1、2年のころは、母親は父親の意向に添って長男と接していたようで、ぎくしゃくしていた」と映っていた。その後、母親は次第に父親と長男の仲立ちをするようになったが、長男は「すぐ告げ口する母も恨んでいた」と供述しているという。

 長男は、小学校以来の友人に「漫画やゲームも好きだったけど、父にやめさせられた」「成績が下がるとすぐ殴る」と打ち明けていた。「おばあちゃん子」だったという長男が凶行に至った原因のひとつが、祖母から父親へ、父親から長男へ受け継がれたスパルタ教育だったとすれば、皮肉な結果としかいいようがない。

(2006年6月26日06時00分 スポーツ報知)