写真はニューヨーク在住・イサヲさんから。イサヲさんが日本を出発する前の昨年10月3日に
英彦山(ひこさん・えひこさん)で撮影したもの。番外編として送られてきた。
イサヲさんは山登りが好きなようである。
私も30代なかばから10年ほどよく登った。いちばんよく登ったころ、地元の福智山か、ちょっと遠出して九重連山に毎週通っていた。8~10日間の夏休みをとって5年間、北アルプスにも登った。北穂、奥穂、槍、常念、燕、白馬、そのまた北部の山。山行は大概ひとりだった。カメラも持たなかった。
毎年正月になると、弟と妹が家族連れで帰ってくる。私の正月休みは、母を手伝っての食事作りと掃除・洗濯でいつも終わっていた。
いつの正月だったか、姪の
和子たちが来ていた。ちょうど雪が降って、私は山に登りたくて仕方がなかった。両親は、女は元日に出歩かないものといって私たちを育てた。2日の朝、山登りに出かけるとき、和子が、お姉ちゃん、うれしそうだねと言った。
朝いちばんのJRで英彦山を目ざした。バスを下りて、奉幣殿(ほうへいでん)から表参道を登り始めた。積雪10センチと聞いていたが、山の雪は深かった。犬がいっしょについてきた。この日、私より前に登った人はひとりで、足跡が残っていたが、雪が降るのでその足跡がよくわからなくなった。はじめて会った犬が案内してくれた。ひょいひょいと雪を蹴って走り、私のほうを見ては先に進むのである。犬の目がそのうちに赤く充血した。
山頂のお宮に着くと、犬が夏あいだだけ営業している売店のほうに消えた。さあ下りますよ、と声をかけても、犬は出てこなかった。雪もやんでいた。
帰りの彦山駅のホームからそう遠くない畑に紅梅がみごとに咲いていた。
英彦山は表参道、鬼杉経由、また奥の高住神社からとルートを変えて何度も登った。半分は友人たちといっしょだった。
写真4枚目はヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)、5枚目はリンドウ(竜胆)。