瀝瀝(れきれき)散歩道

瀝瀝というのは「水が音をたてる様子/風が音をたてて吹く様子」つまり、「ありのままの風景」ということでしょうか。

誰もが気をつけたいハラスメント防止(2)

2023-03-31 16:07:17 | 特別職国家公務員
大手企業などでハラスメント教育や相談対応に当たってきた吉本恵子さん。
組織でハラスメントが起きたときの対処などについてうかがいました。



■被害者も加害者も、まずは相談を

──実際に職場でハラスメントが起こってしまったら、どうすればいいのでしょうか。

吉本さん:人と人が集まる以上、衝突やコミュニケーションの食い違いが起こるのは避けられません。
そこでもし、職場でハラスメントが起こってしまったらどうしたらいいのか。ハラスメントの被害に遭った場合、まずは相談することが大切です。

特に大きな組織では、ハラスメント通報窓口など、自社内に体制が整備されている場合も多いでしょう。
ケースによっては、働き方の問題に詳しい最寄りのハローワーク、労働基準監督署に相談も可能です。
一人で抱え込まないことが大事です。

相談するときは、自分が一番相談しやすい方法を選んでください。
もともと人と会うのが苦手な人もいれば、気持ちが落ち込んでいるときは、「人に会うのが嫌だなぁ」と思うこともあります。
そんなときは、メールや電話でも大丈夫。最近はLINEで相談できる機関も増えています。自分自身が最も使いやすい方法を選んでほしいと思います。

「加害者」とされた場合にも、まずは相談です。
自分のことを客観的に見るのは難しいですから、自分が本当にハラスメントに当たる行為をしたのか、第三者の意見を聞くことが必要です。







■ハラスメントで悩む人に気づいたら「見る」「聴く」「つなぐ」

──もしハラスメントで悩んでいる人を見かけたら、何をしたらよいのでしょうか。

吉本さん:ハラスメントで悩んでいる人に対して、周りの人ができることもあります。それが「見る」「聴く」「つなぐ」です。

「見る」では、まずその人の様子をさりげなく観察してください。元気があるか沈んでいるか、髪型が乱れていないか、服装は以前に比べてどうか、
会話が少なくなっていないか、会話を単語レベルで話そうとしていないか、などが心身の不調のサインです。

「聴く」のフェーズでは、ちょっと声をかけてみましょう。相手が応えてくれたらチャンスです。
相手の話を徹底的に「傾聴」しましょう。ここでは口を挟まずに最後まで集中して「聴く」ことが重要です。

途中で自分自身の経験談、たとえば「自分もそれは乗り越えられた、君も絶対大丈夫だよ」なんてアドバイスしたら、信頼関係が破綻することがあります。
相手は自分の話を聴いてもらいたいだけなのですから。

最後が「(専門家に)つなぐ=リファー」。カウンセラーなどの専門家ではない場合、その人の深い悩みになかなか対応することはできません。
そんなときは社内、社外の専門家につないでほしいと思います。

この「見る」「聴く」「つなぐ」は、ハラスメントに悩む人の周りにいる誰でもができることです。






■企業のトップは組織風土を「つくる」

──会社としても、ハラスメント対策は喫緊の課題です。組織としては、何が求められているでしょうか。

吉本さん:企業や組織のトップ、あるいは管理職の人たちのハラスメント防止に対する意識も大分変ってきました。

国は、職場でのハラスメントの防止を目的として2020年6月に「労働施策総合推進法」を改正し、パワーハラスメントの防止措置を事業主に義務付けました。
いわゆるパワハラ防止法です。
大企業はもとより、2022年4月からは中小企業にも適用され、「ハラスメント防止研修の実施」や「相談窓口の設置」など、対策を講じることが強く求められています。

このような背景もあり大企業ではハラスメント防止の対策がかなり進んできましたが、中小企業ではまだまだ整備が追いついていないところもたくさんあります。

「私が作った会社で、私のやり方でここまできた。これがパワハラだって言われても……」と話す町工場の社長さんもいます。
これまでのやり方を引きずってしまうそのような会社では、どうしてもハラスメント対策は後ろ向きになりがちです。

一方で、「ハラスメントは決して許されない。ハラスメントはときとして死に至るまでの危険行為だ。
会社からハラスメントを絶対になくす」と言って、さまざまな施策を続けてきた大企業のトップもいます。

企業においてハラスメント防止が進むかどうかは、トップの決断が大きいのだと思います。
トップの宣言は、ハラスメントを含めた職場のトラブルを未然に予防する抑止の意味でも効果が大きいですし、
従業員にとっても「大切にされている」と感じられ、労働意欲の向上に大きくつながっていくと思います。

ハラスメントを防止するには、まずは職場のコミュニケーションを良くすることが必要です。
風通しの良い職場の風土を作ることを意識してほしいですね。

次に、そこで働く人すべてが、「ハラスメントはいじめであり嫌がらせだ。危険行為でもある」としっかり理解することが重要です。
この理解が徹底されていれば、職場でのハラスメントを見たときに、何か行動に移す人が出てくるはずです。

最後に、過去にハラスメントをしてしまった人たち、あるいは「ハラスメントに当たるかもしれない言動を取ってしまった」と悩む人たちもいると思います。
そんな人たちは、今日からそれをやめていただければ、いいのです。

トップから社員まで、組織を構成するすべての人の協力があってはじめて、組織は変わります。
自分も組織を良くする一員なのだということを、ぜひ覚えていてほしいですね。

PROFILE 吉本恵子さん

株式会社キャリア・ストラテジー代表。大学卒業後、商社で中国貿易に従事し、フリーランスの中国語通訳として独立。40代で大学院に進学し、日本語学校や大学、大学院などで多くの学生を指導している。産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、精神保健福祉士の資格保有。多くの組織でハラスメント防止研修や相談対応を行っている。

誰もが気にしたいハラスメント防止

2023-03-30 09:38:36 | 特別職国家公務員
“ハラスメント”の意識が変わった「Z世代は… 」と嘆く前に【専門家に聞く】 3/27(月) 11:31配信






「ハラスメントは駄目だ」。社会にそんな認識が広がっている一方で、実際の相談件数は年々増加傾向にあります。
そこで今回は、自衛隊や大学、大手企業といった大規模組織でハラスメント教育や相談対応に当たってきた株式会社キャリア・ストラテジー代表の吉本恵子さんに、
ハラスメントが起きる理由や世代間ギャップとの付き合い方をうかがいました。


■昭和の価値観”を受け継いだ人たち

──陸上自衛隊では2022年、極めて悪質なハラスメントが発覚しました。これは自衛隊を動かしただけでなく、世間の注目を集めましたよね。

吉本さん:私の周囲の人たちからは、「あんなひどいハラスメントが起きるのは自衛隊だからですよね」と言われることがよくあります。
でも、本当にそうかなあ、、実は、そうだと言えない部分もあると思うんですよね。
もちろん自衛隊ならではの特殊な事例もありますが、ハラスメントの本質は自衛隊でも民間企業でも、あまり変わらないと感じています。

どのハラスメントも結局は、「人間関係の中で起こるいじめや嫌がらせ」に集約されるのだと私は考えます。
私たちの身近でも、ひどいハラスメントの事例はたくさんあります。人が集まれば、どんな組織であってもハラスメントの芽がどこかに隠れていることが多いのです。

一般的には、「ピラミッド構造の組織ではハラスメントが起こりやすい」と思われがちです。
ただ実態としては、ピラミッドであるかどうかよりも「上下関係の厳しい組織でハラスメントが起こりやすい」というのが、正確な表現だと思います。





──そもそも、どうして職場でハラスメントが起こるのでしょう。

吉本さん:ハラスメントが起きる大きな原因のひとつは「職場の風通しの悪さ」です。皆さんの職場を思い浮かべてください。
毎朝、明るく挨拶が交わされていますか。あるいは冗談を言ったり、個人的なトピックスを話したりできる雰囲気があるでしょうか。
何を言っても安心して話せる職場、これが「風通しの良い職場」の特徴だと思います。


また、職場内の世代間のギャップも大きく関係してきます。大きな企業では、職場内に10代から60代までの社員が働いていることもありますよね。

たとえば私は昭和世代、いわゆるX世代の人間です。
「24時間働けますか?」という言葉と共に猛烈に仕事をした世代で、私の上司は「俺についてこい!」という感じの強権型のリーダーでした。

ところがいまの若者、つまりZ世代は「それぞれが持つ個性を活かそう」「テクノロジーを使って合理的に働こう」という価値観を持っています。
X世代の人間が昭和を引きずったまま、自分が受けてきた「俺についてこい!」のような指導を若い部下にしてしまうと、受ける方は「え、なに、この人?一方的!」と驚いてしまうのです。


──いつの間にかコミュニケーションのあり方が変わったことに気づけていないんですね。

吉本さん:そうですね。実は、ハラスメントをしている人は、多くの場合「自分はハラスメントをしている」とは思っていません。
自分とは違う価値観を持つ部下を受け入れられず、厳しく叱ってしまう人もいます。
「組織のため、部下のためを考えてやっている」と心から思っているし、「自分は間違っていない」と確信している、そんな人もいます。

しかしハラスメントを受ける側は理不尽な叱責を受けたと感じ、傷つきます。
上下関係がある場合は、言い訳もできず、さらに悩んでしまうのです。ハラスメントは、被害者と加害者の思いが食い違っているケースが多く見られます。

上司に激しく叱責されると、部下は恐怖感から一生懸命働きます。
その結果、一時的に業績が上がることがあります。
そのため、上司の中には自分が「効果的なマネジメント」をしている、と錯覚してしまう人も出てきてしまうのです。

また周囲の人たちも、強権的な指導で業績が上がるのを見て、「ああこんなやり方もあるんだ」と同じことを繰り返す。
ハラスメントは「見て、学んで、継承される」ものなのです。






■若い人もベテランも、みんなが気を遣っている

たとえばある大学の研究室での話です。その研究室の教授は研究に熱心で、探究心の強い人でした。

一方で、その研究室では毎年数人の学生が長期の病欠、休学や退学でいなくなってしまうんです。あるとき、教授がしんみりと話してくれました。

「自分は学生時代、自分の恩師から厳しく指導されました。それこそ1年365日、盆暮の数日しか休みがなかったんですよ。
同期や先輩も、みんなそれが普通だと思っていたし、激しい叱責にも耐え抜きました。
だから自分が教授になったとき、自分が経験したのと同じように学生を厳しく指導しました。
そしたら、学生が研究室に来なくなってしまったんです」

この教授は私と話した後、しばらくの間は言動に気をつけ、学生にとって「いい先生」になったそうです。
ただこの研究室の学生の報告によると、「3か月ぐらいでまた元通りに戻ってしまいました!」とのことです。

ハラスメントは継承されるもので、それを断ち切ったり、解決したりするのはすごく難しい、と感じた事例です。



──世代間ギャップが生まれてしまっているのですね。

吉本さん:私はいくつかの企業で、ハラスメント防止研修を担当させていただいています。
管理職の方向けの研修が比較的多いのですが、「若い世代、特に20代の部下とのコミュニケーションに苦労している」
「どうやって若い人と接していいのか迷う」などの悩み事を聞きます。
「注意しても無視されたり、ハラスメントだと言われたりするのがプレッシャーで、最近あまり注意やアドバイスを部下にしなくなった」という方までいました。

ところが一方で、若い世代の人たちも同じように悩んでいるのです。
「40代、50代の上司とのコミュニケーションがうまくいかない」「話す時にとても緊張してしまう」などの声を聞きました。

あれ?これっていったいどういうことなんでしょうか。オフィスの中で、若い人も年配の人も、お互い相当に気を遣いながら仕事をしている、なんて。
双方から話を聞いて、私はそう思いました。

■「業務中に携帯使用で取り上げ」、これってパワハラ?

私がハラスメント防止研修に取り入れているクイズの一例を紹介します。ぜひ一緒に考えてみてください。

20歳の社員Gさんは、休憩時間を過ぎても、5分、10分とゲームをしています。田中課長が注意すると『ゲームじゃないですよ。
携帯で調べながら仕事をしているんですよ!』
と強めに言い返してきました。田中課長は黙ってGさんの携帯を取り上げました。

これはハラスメントに当たるでしょうか。
参加者に話し合ってもらうのですが、管理職たちの意見交換はかなりの盛り上がりを見せます。
実際に現場で起こっている身近な問題だからです。

答えは「ハラスメントではない」です。

労働者は契約上、労働時間中には職務に専念する義務を負っています。
田中課長がGさんに「仕事中にゲームをしないように禁止する」ことは適法です。

一方で、「黙って携帯を取り上げた」というところに問題も感じます。
「きちんと説明してから一時的に預かる」であれば、Gさんの気持ちも時間が経てば収まったかもしれません。
また「法律では取り上げるのは罪ではない」と法律を振りかざして言ってしまえば、それで二人の関係は修復不可能な壊滅的状態になります。
対話による解決法が、この場合最も適切ではないか、と思います。

ちなみにこれは実際の事例を基にしています。
Gさんは、「携帯の中のネットワークには、何百人もの友だちがいます。だから携帯を取り上げられるってことは、
友人といきなり引き離されることと同じなんです」と言い、最終的には会社を退職しました。貴重な人材が1名流出してしまったわけです。


20代のZ世代の人たちにとって、携帯とはどのような意味、価値があるのでしょうか。

ある組織の若手社員500名にキャリアコンサルティングを行い、退職を希望している人たちに退職理由を尋ねたところ、
「携帯が自由に使えない」「自由がない」という理由が上位にあがりました。

Z世代は買い物や娯楽、学習といったライフスタイルの大部分をデジタルデバイスを使って完結させる傾向にあります。
また、コミュニケーションもSNSなどのオンライン上で活発に実施。情報の収集から発信まで、彼らの生活の中心には「デジタル技術」が存在しています。

X世代の私たちに、Z世代と同じようにデジタル技術をマスターして、Z世代に歩み寄れ、というのは、かなりの無理があります。
そのような違いお互いを理解したうえで歩み寄ってみることが、「ハラスメントのない風通しの良い職場風土」を作るのに大切なのではないかと、最近強く思っています。




PROFILE 吉本恵子さん

株式会社キャリア・ストラテジー代表。大学卒業後、商社で中国貿易に従事し、フリーランスの中国語通訳として独立。40代で大学院に進学し、日本語学校や大学、大学院などで多くの学生を指導している。産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、精神保健福祉士の資格保有。多くの組織でハラスメント防止研修や相談対応を行っている。

2023年のワクワクドキドキ

2023-01-01 23:46:15 | 日記


明けましておめでとうございます。新しい1年がやってきました!今年もどうぞよろしくお願い申し上げます!
さて、
最近、時間がものすごく早く流れる感じがします。
NHKの『チコちゃんに叱られる』のチコちゃんによると、大人はワクワクドキドキする気持ちがなくなると、時間が早く過ぎていく、と感じるようです。
「えっ!」ですよね。
「昨日は何をしていましたか」と大人に質問すると、大抵の人が「昨日の出来事を思い出すのにすごく時間がかかる」のだそうです。
確かに、私にも覚えありです。あまり印象的なことがなかったからでしょうか?

一方、こどもたちは「1週間前何をしていた?」と聞くと、
「○○ちゃんの家に遊びに行って、ゲームの後で、ふたりでコンビニへ行って、おやつを買ってきた。おやつはめちゃくちゃ美味しかった。
夜、その話を家族全員に話したけど、お兄ちゃんはちゃんと聞いてくれなかった」みたいに詳細に答えられます。
こどもたちの生活はワクワクドキドキに満ちていて、何もかもがおもしろく、興味を持ってその出来事を観察するのです。
1日にたくさんの出来事が子どもたちのまわりで起きます。それを考えると、時間はとても長く、もう少し長くてもいいと思うぐらいだそうです。

今年は、子どものようになれないにしても、毎日を楽しく記憶に留めながら過ごしたいなあ、と思っています。

2022年が終わる

2022-12-24 21:42:13 | 日記


2022年が終わりますね。

激動の一年といえば激動でした。

今年は親しい方が亡くなりました。
このお別れは、ちょっと辛かったです。
涙が出ました。

また、大学の先生たちが、病気で職を離れました。
お世話になった素敵な先生たちです。
また涙が出ました。

次男が長野から東京に戻りました。
ずっと心配でした。東京に戻ってきて少しホッとしました。
長男が結婚して家を離れました。
そうなんだ、、、嬉しいけれど、ちょっと寂しい、そんな気持ちです。

結婚したり、別れたり。
人の縁は不思議です。
でも、周りの人間はいつもハラハラしています。
笑顔で励ましているけれど、実は心の中では泣いています。
とても心配で心配で、、、

周りを見ると、私の友人たちはもう誰も働いていません。
私はこんなに働いていいのだろうか、もう好きなことをしてもいいのでは、と悩みました。
身体もあちこちが傷んでいます。

辞めようと思った仕事を5年更新しました。
もう少し一緒にお願いします、と言われたら、ちょっと断りにくかったからです。
でも、私がもっと歳をとって、周りの人に気を遣われて、仕事をするのは嫌だなあ、、、
昔の業績を自慢するような人に(なりそう?)いえ、そうなりたくないから。

人生は思ったようには進みません。
すごく皮肉。
でもまたそれが面白いともいえます。
面白いと思えるようになるまで、何十年もかかるのですが、、、。

そして人生はまた続いていく、、、。

自衛隊、ハラスメントとたたかう

2022-12-19 12:11:37 | 特別職国家公務員



「自衛隊ハラスメントと戦う」

元女性自衛官のセクハラ事件の加害者5名に対して、陸上自衛隊は「懲戒免職」の処分を昨日発表しました。
今週、海上自衛隊でもパワハラを続けていた1等海佐他に対して、2階級降格等の処分が行われました。
自衛隊、徐々にですが、動き始めましたね。

自衛官に聞いてみると「5人も一度に、英断だ」という人がいます。
一方で、民間人なら「ずいぶん時間がかかったね」と思う人も多いでしょう。

以前、私が学んだ大学院で、教授が女子学生にセクハラ行為を行い、即日解雇となりました。
もう20年近く前のことです。峻烈な判断、即決でした。

昨年10月より陸幕で行っているハラスメント防止教育ですが、来年度からは東武方面総監部ほか、いくつかの場所で実施されます。
まさに「自衛隊ハラスメントと戦う」ですね。



激動の時代を走り抜けた高杉晋作(長州藩)

2022-10-04 20:08:03 | 特別職国家公務員


高杉晋作をご存知ですか?私自身は少し前まで、ほとんど気にも留めなかった明治時代の人物です。
ところが私が住んでいる品川宿の歴史に目を向けると、意外なところで高杉晋作とつながってきます。


旧東海道品川宿。この品川宿に幕末の志士たちが集まる旅籠屋「土蔵相模」がありました。
土蔵相模は品川でも有数の規模と格式を誇った妓楼で、高杉晋作、伊藤博文ら幕末の志士たちが密談を行った場所、隠れ家、尊王攘夷の拠点でした。
長州藩士は遠い遠い長州藩(山口)から徒歩で品川までやってきたのですね。
疲れた脚をここで休め、ちょっと遊び、密談したのでしょう。

文久2年の長州藩士による英国公使館焼き討ち事件の際は、ここ土蔵相模から藩士が出発しました。
リーダーは高杉晋作です。副リーダーは久坂玄蕃、火付け役が伊藤博文、井上馨という、錚々たるメンバーです。
幕府が建設している英国公使館はまだ建築途中で、夜中、人は誰もいませんでした。そこに火をつけ、、すぐさま撤収。
相模土蔵に戻って、今度は遠くで燃える英国大使館の炎を見ていたのかもしれません。



さて、高杉晋作の幕末での大活躍はご存知の通りです。
晋作は激動の幕末を走り抜け、その才能を発揮して活躍しましたが、29歳、明治の新しい時代を見ることなく、短くも激しい人生を終えました。

高杉晋作の辞世の句
「おもしろこともなき世をおもしろく すみなしものは心なりけり」
辞世の句の内容を斟酌するのは大変難しいところがありますが、
「面白いと思えることのない世の中を面白く。それを決めるのは自分の心ひとつだ」
「心のありようで世界は面白くもなるしつまらなくもなる、心の持ち方、心の有り様でいかようにも世界を捉えられる」

下の句の「すみなしものは心なりけり」は病床の高杉に代わり、福岡の勤王女流歌人・野村望東尼が結んだといわれています。
面白くもない世の中を面白くしてきた、という高杉晋作に対して、つまりすべては心の持ちようだ、と返したのです。



写真は山口萩の高杉晋作生家、晋作の像が建つ公園、萩城下、

山口県(長州)萩

2022-10-04 20:00:08 | 特別職国家公務員


山口県防府市での仕事の前に「萩」に足をのばしてみました。

萩は毛利氏の萩城を中心とした城下町です。
「萩」の名前の通り、お城の城壁の周りには「萩の花」がいっぱい咲いています。



誰もいない海岸、海に面した萩城は山城のようです。
萩には吉田松陰先生(←町の人は松陰先生と呼んでいます)の松下村塾があり、
そこの門下生には久坂玄蕃、高杉晋作、伊藤博文等、明治維新で活躍した錚々たるメンバーがいます。

「萩」小さくて美しい町です。自転車で30分も走れば、町の端まで行くことができます。2日間レンタサイクルを借りて、かなりじっくり萩の町を見て回りました。
萩は新山口(空港のもより駅)から高速バスで1時間。2日目の夕方、新山口に戻り、防府市に移動しました。






古井先生

2022-09-22 15:18:22 | 日記


シャカ、シャカ、シャカ、シャカ
正門の方から、腕をしっかり振って、歩いてくる男性がいました。歩いてくる、というより、体操の時間の行進のような感じで、かなりのスピードが出ています。
こんな歩き方をする人は、東工大にはただ1人しかいません。
もちろん古井貞熙先生です。何百メートルと離れていても、あ、この歩き方は古井先生だ、とわかるのです。
先生は私に気づくと「こんにちは!」と挨拶しながら手を挙げて、シャカ、シャカ、シャカ、と、また真っ直ぐ前を見てずんずん歩いていきました。

ある時、先生は「最近の若いもんはけしからん、メールの返信が遅い!」と、若干、おかんむりでした。
「若いもん」とは学生からスタッフまで、先生より年下の者ということです。
50を超えて、若いもん、と言われるのは悪くははない気持ちですが、、、
「先生、メールの返信はどれくらいで出せばよいのでしょうか」と聞いてみると
「3時間以内ですね!」スパンと答えられました。
ああ、きかなければよかった!
古井先生からのメールはこれから、3時間以内にお返事しないといけないんだ、、と少々後悔をしました。

インドネシアに行った時のことです。移動中、ある町のホテルに1泊しました。
このホテルの近くにジャコウ猫のコーヒーを売っている掘っ建て小屋のコーヒー販売所がありました。
「なんだなんだ、なにがあるんだ」という感じで、学生数名でそこにいきました。古井先生も後ろの方から、シャカ、シャカと歩いてきました。。
ジャコウ猫のコーヒーは「コピ・ルアク」と言って、非常に高価なコーヒーです。
掘っ建て小屋の隣にはジャコウ猫(と言ってもとびっきり大きいネズミ、という感じです)が、四段ぐらいに積み重なったケージに入れられて、飼育されていました。
こんな狭いケージに入れられて、とすごくかわいそうな気持ちになりました。
「かわいそう、、、」と古井先生もつぶやいています。
でもそのあとすぐに「100グラムのコーヒー二つ」とサラッとコーヒーを注文されていて、ちょっと笑いました。





古井先生とご一緒させていただいた学外での学習のひとつに「福島第1原発」関連がありました。
すでに東日本大震災から4、5年が経っており、さまざまな復興プロジェクトが立ち上がって、若いリーダーを中心に活動が続いていました。
そのグループとの意見交換が一つの目的でした。
あるグループはその地方に合った海岸線、そして防砂林を作ろうとしているグループ。東工大の卒業生の方が中心になっていました。
小さな子どもを持つお母さんたちの支援、漁業の活性化を図るグループ等、リーダーたちは、課題や成果等、たくさん復興について、語ってくれました。
福島第一原発を遠望できる、荒荒と広がる草ぼうぼうの場所を訪ねた時は、皆しばらく黙ってそこに佇んでいました。
点々と船や家の残骸。
ただ、そこにいるだけで、被災者の悲しさや虚しさを感じ、心がいっぱいになったと思います。
古井先生は特に何も話しませんでしたが、古井先生の教室を飛び出した野外クラスは、言葉はなくても大きな何かをみんなの心に与えました。


古井先生といえば、学生とメンターが一緒に話したり、ゲストをお迎えして交流するAGLカフェのかなり常連に近いメンバーでした。
もう何度ぐらい参加してくださったでしょうか?
AGLを離れてアメリカの大学に行ってからも、日本に戻ってきたらAGLカフェに参加してくださいました。
「古井先生来たる!」というメールをさまざまな人に送りました。
先生は参加している学生に「君は何を専攻しているの?」「ほう、それはすごいね、、、」と語りかけて、
学生の話題に合わせて、コメントをしてくれます。
相手中心の会話を続けるというのは、なかなかできない「技」です。
人はつい自分のことを話したくなってしまうのですが、古井先生は常に学生の話を「聴く」ことに集中していました。
そして2時間ぐらい経つと、「じゃあ、これで」と言って、ススっと帰っていきます。
そのスパっとした感じが、なんだか「古井先生らしい!」

愛すべき古井先生。先生は本当に多くの学生に愛されました。
先生の素晴らしいところはたくさんあるけれど、なんと言っても学生にもスタッフにも「公平」であった、ということです。厳しい時は厳しく、優しい時はめちゃくちゃやさしく、
ご自身の意見を上手に、周りの人に伝えました。だから何かあれば、みんなが古井先生の
周りに集まってくる。やっぱり、そして本当に古井先生は「大した」先生です!



古井先生は東京工業大学の栄誉教授。今年の春、がんで帰らぬ人となりました。
ものすごい業績のある先生でしたが、偉ぶることなく、誰にでも親しみを持って接してくださったと思います。
実はとてもお茶目な一面もあり、、、忘れられない先生のひとりです。

ふと、気づくと60代なかば

2022-09-19 10:36:56 | 特別職国家公務員


最近、私の周りで亡くなった方が数名、病気等で体調を崩す人も多くなってきました。
50代から60代。人生の疲れが出てくるころかもしれませんね。
私自身も以前のようにがむしゃらに仕事をすることができなくなりました。すぐ疲れちゃう、、!からです。
無理すると途端に身体がだるくなり、あちこちが痛くなります。

嬉しいかな、悲しいかな、年金をもらう年齢になり、ふと周りを見ると、同じ年齢の友人で働いている人は数えるほど、女性では私以外は見当たりません。
だから、私も上手に仕事を辞めるタイミングを考えています。少しずつ仕事を外していくのか、スパン!とやめてしまうのか。

政府は70歳まで働いて!と勧めていますが、実際に70に近づいてくると、簡単に70まで働きましょう!なんて、言えません。
そこまで続けて働くには、それ相応の体力と自己管理、環境を整え、理由(動機)も必要だからです。
みんなができるわけではありませんよね。

数年後に仕事を辞めたら、やりたいことがいっぱいです。
私の趣味はマニアックで明治45年前後の擬洋風建築の重要文化財、登録文化財を訪ねることです。





家族は誰もこの趣味にはついてこられないので、結局いつも一人旅です。
運転免許がないので、飛行機、鉄道、レンタサイクルと徒歩の旅です。
これまで明治45年前後の歴史的建造物で重要文化財の建物を5分の2ほど見学しました。
80歳になるまでに全ての建造物を見たいなあ、というのが私の希望です。

とはいうものの、今はめちゃくちゃ忙しいです。
今週も来週も、10月初めまで仕事が詰まっていますし、出張もあります。
忙しいから、時々、辞めてからのことを考えるのが、私の楽しい息抜きかもしれません。

盛岡の赤煉瓦

2022-09-05 23:07:54 | 日記

盛岡に行きました。
実はそこそこ盛岡を通っているのですが、これまでじっくりと街歩きはできませんでした。



盛岡、岩手銀行赤煉瓦館。東京駅をつくった辰野金吾の設計です。とても美しい建物で、保存、修繕もしっかりしています。
明治時代の建物ですが、なんと!窓部分にシャッターがあるので、当時の歪な、だけど味わい深いガラス窓が残っています。
多分、壊れたらもう同じ手法で作ることはできないでしょう。









現代にも通じる、かわいい鳥のモチーフ🦆のドア飾り、おしゃれですよね。





曲線の美しい階段の欄干、まあるさが見事!





盛岡にはよく寄るのですが、久しぶりにゆっくりと、魅力ある建物を見ました。




いつまでも変わらない、素晴らしい歴史的建造物です。