夏休み。
小さい頃、大阪に住んでいたわたしたちは、夏休みになると加賀の祖父母の家に遊びに行くのが常でした。
真夏の強い日差しの下、祖父母宅の前にいい香りをのぼらせて、梅干しのザルがたくさん並んでいました。
これが、わたしが梅干しを作ろうと思った時に一番の手掛かりとなった風景です。
また、食事の時などには祖母がなにかうれしそうに、「ぬか漬け出そうか」と言って、勝手口のあたりに置いてある、確か大きめの木の樽をかき回し、ぬか床からあがったばかりのぬか漬けを出してくれました。
口にすると、ぴりぴりぴり・・・とするような、あの美味しいぬか漬け・・・。外では蝉がたくさん鳴いて、夏の食卓の忘れられない風景です。
もちろん、わたしにとってはこれが世界一の美味しいぬか漬けです。
数年前から祖母が台所仕事もできなくなって、叔父や叔母にレシピを残しているそうです。
わたしも昨年、自分で精米して出した糠で、ぬか床をつくりました。
定番のつくり方で普通に作って冷蔵庫で保管していました。
味は・・・まあまあ美味しいのだけど、なんだか味わいがおばあちゃんの味と全然違う。そしてぬか床は、なんだかいつまでも茶色っぽく、キメも粗い感じ・・・。
もっと芳醇なたまらない香りで、白っぽく、しっとりキメが細かかった・・・!となんだかしっくり来ず、ぬか床が少なくなってきたら、そのまま畑の肥やしにしてしまいました。
そして今年。
やっぱり、キュウリやナス、ズッキーニなどの実ものの夏野菜が獲れ始めると、ぬか床が欲しいなあと思います。
◆今年はやっぱり常温で保存したい!
◆今年はやっぱりどこかからぬか床をちょっともらって、新しいぬか床に足してつくりたい!
・・・この2点にトライしてみたくなりました。
そして名古屋生活クラブで加賀のお漬物屋さんで、無農薬野菜の販売もされている「風来(ふうらい)」さんのぬか床セットを、初めて注文しました!
糠:500g、風来さんのぬか床:100gくらい、加賀の湧水500ccに塩60gを溶かしたもの、風来さんの畑の無農薬野菜:キュウリ2本。
家でつくればお金もかけずにできるけれど、おばあちゃんの家がある加賀の湧水や、あの風来さんのぬか床を分けてもらえるということでやっぱりこれで作ろうと思いました?
そして、1号のカメに仕込みました。
普通捨て漬けしますが(初めはしょっぱすぎるから)、いきなりこのキュウリを漬けましたが、既に美味しいです!
そして、この高温多湿に常温保存はちょっとドキドキだけど、やっぱり冷蔵庫(せめて野菜庫にすればよかったですね)保存とは発酵が雲泥の差でした。
1~2日で芳醇なあのしっとりキメ細やかで白っぽいぬか床になりました。
【つくりかた】
①糠を厚手の鍋で軽く炒る。(糠はすごく焦げやすいので、火加減にちょっと注意しながら、鍋のそばから離れないほうが無難だと思います・・・!)
②食塩水を別の鍋で沸騰直前まで煮立たせる。
③両方の鍋が冷めてからゆっくりと②を①に加えていく。
④足す糠を加え(写真のちょっと白っぽく見える部分です)、さらによく混ぜ合わせる。
味噌や天然酵母みたいに、ちょっと前からのものを足すと発酵がうながされ、さらに美味しく♪
⑤カメなどの保存容器に入れる。
塩をして5分くらいたったキュウリの水気を拭きとってから、ぬか床に入れる。きれに表面をならして、フチやカメの壁についた糠を布巾できれいに拭きとっておきます。
8時間くらいできゅうりのぬか漬けができます・・・♪
わたしは適当に切って表面を拭いた昆布と、鷹の爪3本をぬか床に入れておきました。
やっぱりぬか漬け美味しいです!外出していると、ふとぬか床のニオイが嗅ぎたくなって、ぬか漬けも食べたくなります。
このあと、常温保存で何か問題が出てきたら、追って記事にしますね☆
・・・昨年7月、風来さんにうかがった時の記事はコチラ。
http://blog.goo.ne.jp/hudo-mau/d/20120731
これまた昨年、「うかたま」などでおなじみの、農文協さんでわたしのつたない百姓しごと(漬けもの)を「現代農業」という雑誌で取材してもらって、同じ特集に風来さんも大きく掲載されていた時の記事はコチラ。
http://blog.goo.ne.jp/hudo-mau/d/20121229
風来さんは、元々加賀のお漬物屋さん。ご長男の源さんが、あとを引き継がれ、種から無農薬野菜を育てて、その野菜でお漬物をつくり販売されています。
「種から語れるお漬物屋さん」です・・・!
昨年の記事「ゆるやかにはじまった、ぬか漬け生活」はコチラ。自作でつくるぬか床レシピです。ちょっと塩分高いかな?風来さんは糠に対して塩の分量は12~13%くらいだと思います。
http://blog.goo.ne.jp/hudo-mau/d/20120619
※8月2日追記
名古屋、高温多湿の日が続き、カメをあけるといいにおいに混じってかすかにアルコール香りがしました。発酵が進みすぎるかなと思い、以前使っていた琺瑯の容器にぬか床を移し、野菜室で保管しています。この暑さが過ぎるまで、野菜室保管にしたいと思います。やっぱり常温の方が早く美味しく漬かるような気がするので、秋に常温に戻したいなと思っています。
塩麹と同様に、ぬか床がいい調子にできあがるまでは、冷蔵庫ではなく常温で発酵させた方がいいなと思いました。