先日田辺一鶴さんのお別れの会があった、師匠が初めて店に来たのはたぶん昭和47年頃だった、オリンピックの入場行進を講談にして一躍スターになっていたのであの長いひげを見てすぐに判った、師匠は将棋好きでテレビや雑誌にも対局の記事が良く載っていた、何を話したかはよく覚えていないがその後も良く来てくれた、もともと一鶴さんは田邊南鶴師に弟子入りしたがドモリが酷くてモノにならない、そこで南鶴師が日暮里あたりでやっていた古本屋を手伝わせたそうだ、うちの店の来た頃は古本屋はやってなかったが、暫らくすると自身も組合に入って本物の古本屋を始めた、その後は同業者として深い付き合いを重ねていた、誰とでも分け隔てなく気さくに付き合う良い人だった、お別れの会もみんなに惜しまれていた様子が良くわかる、しかし師匠が喜んでくれるだろう楽しい会だった。その帰りがけに携帯がなって、同業の友人が死亡した連絡が来た、一週間前に会ったばかりで元気そうにしていたのに、まだ59歳なのに急性白血病とやらであっけない死だった、昨夜は雨の降る寒いなかすごく沢山の人たちが集まっていた。お通夜に行く途中で、また同業者の訃報を聞いた、そいつとは良く将棋の話をしたし昔は良く将棋もさした程の仲で、同い年の頭の良い奴だったが、インフルエンザで体調を崩しながら風呂に入って死んだそうだ、次々と友人が逝ってしまい心にポカンと穴が開いたようだ。今日は天気がよさそうで店も混むかもしれない元気を出して商売をしよう。