ふざん<書道WEB>

書道は漢字文化から発生した東洋の文明=哲学文化遺産であり、芸術=ARTよりも奥が深い。(2014.2.13記載)

ふざん万葉歌②

2012-05-07 09:27:50 | ふざんの万葉歌

   参考資料たのしい万葉集


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●万葉集: 朝日を詠んだ歌
<万葉集・朝日1>「朝日照る・・」第2巻 0177
「朝日照る 佐田の岡辺に 群れ居つつ 我が泣く涙 やむ時もなし」 <作者: 皇子尊宮舎人(みこのみことのとねり)>
読み: 朝日照る、佐田の岡辺に群れ居つつ、我が泣く涙やむ時もなし
意味: 朝日が照っている佐田の岡辺に舎人たちが集まって、皆が泣いています。いつまでもいつまでも。

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●万葉集: <星>を詠んだ歌
<万葉集・星2>「夕星も・・」第10巻 2010
 「夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士」 <作者: 柿本人麻呂歌集より>
読み: 夕星(ゆふぼし)も、通ふ天道(あまぢ)を、いつまでか、仰ぎて待たむ、月人壮士(つきひとおとこ)
意味: 宵の明星も通う天の道を、いつまで仰ぎ見て待てばいいのかなぁ、お月様。
仰ぎ見て待っているのは「彦星」のようです。なお「月人壮士」は、月のことを擬人化していう言い方です。

<万葉集・星1>「北山に・・」第2巻 0161
 「北山に たなびく雲の 青雲の 星離り行き 月を離れて」 <作者: 持統天皇>
読み: 北山に、たなびく雲の、青雲の、星離(さか)り行き、月を離れて
意味: 北山にたなびいている青雲が、星たちから離れて、月からも遠くへ離れていってしまいます。

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●万葉集:<夕日/入日/夕闇>を詠んだ歌
<万葉集・夕日/入日/夕闇7>「春日野に・・」  第12巻3001
「春日野に 照れる夕日の 外のみに 君を相見て 今ぞ悔しき」  <作者: 不明>
読み: 春日野(かすがの)に照れる夕日の外(よそ)のみに、君を相見て今ぞ悔しき
意味: 春日野に照る夕日のように遠くからあなたを見ていただけだったのが、今になって悔やまれてなりません。

<万葉集・夕日/入日/夕闇6>「あかねさす・・」  第12巻2901
「あかねさす 日の暮れゆけば すべをなみ 千たび嘆きて 恋ひつつぞ居る」   <作者: 不明>
読み: あかねさす、日の暮れゆけば、すべをなみ、千(ち)たび嘆きて、恋ひつつぞ居(を)る
意味: 日が暮れて行く頃は、どうしようもなくて、何度もため息をついて、あなたのことを恋しく思っているのです。「あかねさす」は「日」を導く枕詞です。

<万葉集・夕日/入日/夕闇5>「妹が目の・・」  第11巻2666
「妹が目の 見まく欲しけく 夕闇の 木の葉隠れる 月待つごとし」  <作者: 不明>
読み: 妹(いも)が目の、見まく欲しけく、夕闇(ゆふやみ)の、木の葉(は)隠(ごも)れる、月待つごとし
意味: あの娘に逢いたいと思う気持ちは、夕闇に木陰からなかなか出てこない月を待つような気持ち。

<万葉集・夕日/入日/夕闇4>「木の暗の・・」  第10巻1948
「木の暗の 夕闇なるに 霍公鳥 いづくを家と 鳴き渡るらむ」   <作者:不明>
読み:木(こ)の暗(くれ)の、夕闇(ゆふやみ)なるに、霍公鳥(ほととぎす)、いづくを家と、鳴き渡るらむ
意味:木の下が暗くなる夕闇のころなので霍公鳥は、どこを住処(すみか)と鳴き渡るのでしょう。

<万葉集・夕日/入日/夕闇3>「山高み・・」  第7巻1342
「山高み 夕日隠りぬ 浅茅原 後見むために 標結はましを」  <作者: 不明>
読み: 山高み夕日隠りぬ浅茅原(あさじはら)、後(のち)見むために標(しめ)結(ゆ)はましを
意味: 山が高くて夕日が思ったより早く浅茅原に落ちてしまいました。後で見るのに、印をつけておけばよかったのにね。

<万葉集・夕日/入日/夕闇2>「夕闇は・・」  第4巻0709
「夕闇は 道たづたづし 月待ちて 行ませ我が背子 その間にも見む」  <作者: 豊前國娘子大宅女(とよくにみちのくちのをとめおほやけめ)>
読み: 夕闇(ゆふやみ)は、道(みち)たづたづし、月(つき)待(ま)ちて、行(い)ませ我(わ)が背子(せこ)、その間(ま)にも見む
意味: 夕闇は、道が暗くて見にくいですね。月が出るのを待ってからお帰りください、あなた様。それまでの間、あなた様を見ていましょう。

<万葉集・夕日/入日/夕闇1>「海神の・・」  第1巻0015
「海神の 豊旗雲に 入日さし 今夜の月夜 さやけくありこそ」  <作者: 中大兄(なかのおおえ)>
読み: 海神(わたつみ)の、豊旗雲(とよはたくも)に、入日(いりひ)さし、今夜(こよひ)の、月夜(つくよ)、さやけくありこそ
意味: 海原の豊旗雲に、入日がさしています。今夜の月はさやかであってほしい。 豊旗雲がどんな雲かははっきりしていません。
 
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●万葉集: 雲雀(ひばり)を詠んだ歌
<万葉集~・ひばり1>「うらうらに・・」第19巻:4292
「うらうらに 照れる春日に ひばり上がり 心悲しも 独し思へば」 <作者: 大伴家持>
読み: うらうらに、照(て)れる春日(はるひ)に、ひばり上がり、心(こころ)悲(かな)しも、独(ひとり)し思へば
意味: のどかに照っている春の日に、ひばりが舞(ま)い上がるけれど、心は悲しい。独りで思っていると。
 
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●万葉集:つばめを詠んだ歌
<万葉集~・つばめ1>「燕来る・・」第19巻:4144
「燕来る 時になりぬと 雁がねは 国偲ひつつ 雲隠り鳴く」 <作者: 大伴宿禰家持(おおとものすくねやかもち)>
読み: つばめ来る時になりぬと、かりがねは本郷(くに)思ひつつ、雲隠(くもがく)り鳴く
意味: つばめがやってくる季節になったと、雁(かり)が故郷を思って、雲に隠れて鳴いています。


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●万葉集: 百舌鳥(もづ)を詠んだ歌~万葉集に2首だけの登場です
<万葉集・もづ1>「春されば・・」  第10巻1897
「春されば もずの草ぐき 見えずとも 我れは見やらむ 君があたりをば」 <作者: 不明>
読み: 「春されば、もずの草ぐき、見えずとも、我れは見やらむ、君があたりをば」
意味: 春になってもずが草の中に隠れてしまって見えなくなっても、私はあなたの家の方を見てますよ。
「もずの草ぐき」とは、もずが草の茂みに隠れることを言います。もずは、春になると山に戻って人目に触れにくくなるのでこのように考えたのでしょうね。

<万葉集・もづ2>「秋の野の・・」第10巻:2167
「秋の野の 尾花が末に 鳴くもずの 声聞きけむか 片聞け我妹」 <作者: 不明>
読み: 秋の野の、尾花(をばな)が末(うれ)に、鳴くもずの、声聞きけむか、片聞け我妹(わがせ)
意味: 秋の野の尾花の穂先に、鳴いているもずの声を聞きましたか。よくよく聞きなさい、君。

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●万葉集: 鳰鳥(にほとり)を詠んだ歌  鳰鳥(にほとり)は、カイツブリ科のカイツブリのこと。
 <鳥・鳰鳥(にほとり)1>「にほ鳥の・・」 第4巻0725
「にほ鳥の 潜く池水 心あらば 君に我が恋ふる 心示さね」 <作者: 坂上郎女(さかのうえのいらつめ)>
読み: 鳰鳥(にほとり)の、潜(かづ)く池水(いけみづ)、心あらば、君に我(あ)が恋(こ)ふる、心(こころ)示(しめ)さね
意味: 鳰鳥が潜る池水よ、君に心があるのなら、私がお慕いする心を示してくださいな。

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●万葉集: 鴛鴦(をしどり)を詠んだ歌   鴛鴦の鴛(えん)が雄で、鴦(おう)が雌です
<鳥・をしどり1>「妹に恋ひ・・」 第11巻2491
「妹に恋ひ 寐ねぬ朝明に をし鳥の こゆかく渡る 妹が使か」 <作者:柿本人麻呂歌集より>
原文: 妹戀 不寐朝明 男為鳥 従是此度 妹使
読み: 妹(いも)に恋(こ)ひ、寐(い)ねぬ朝明(あさけ)に、をし鳥の、こゆかく渡る、妹(いも)が使(つかひ)か
意味: あの娘に恋して寝られずいる夜明けに、鴛鴦(をしどり)がこんなに渡っているのは、あの娘の使いなのでしょうか。 

<鳥・をしどり2>「磯の浦に・・」 第20巻4505
「磯の浦に 常喚び来棲む 鴛鴦の 惜しき吾が身は 君がまにまに」 <作者:大原今城真人(おおはらのいまきのまひと)>
読み:磯の浦に 常喚(つねよ)び来棲(す)む 鴛鴦(をしどり)の 惜しき吾が身は 君がまにまに
意味:池の岩蔭で、いつも呼び交わしながら住むオシドリの名のように、惜しい我が身ですが、あなたのお心にお任せいたします。

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●鴨(かも)を詠んだ歌・・・万葉歌では、池や葦(あし)とともに詠まれています。

<鳥・鴨15>「葦の葉に・・」第14巻3570
「葦の葉に 夕霧立ちて 鴨が音の 寒き夕し 汝をば偲はむ」 <作者: 不明>
読み: 葦(あし)の葉に、夕霧(ゆふぎり)立ちて、鴨(かも)が音(ね)の、寒き夕(ゆふへ)し、汝(な)をば偲はむ
意味: 葦の葉に夕霧が立って、鴨の鳴く声が寒さを感じさせる夕べには、あなたを偲びます。

<鳥・鴨14>「鴨すらも・・」第12巻3091
「鴨すらも おのが妻どち あさりして 後るる間に 恋ふといふものを」 <作者: 不明>
読み: 鴨(かも)すらも、おのが妻(つま)どち、あさりして、後(おく)るる間(あひだ)に、恋(こ)ふといふものを
意味: 鴨だって妻と食べ物を探していて、ちょっと後を遅れただけでも、恋しがるというのに。

<鳥・鴨13>「葦辺行く・・」第12巻3090
「葦辺行く 鴨の羽音の 音のみに 聞きつつもとな 恋ひわたるかも」  <作者: 不明>
読み: 葦辺(あしへ)行く、鴨(かも)の羽音の、音(おと)のみに、聞きつつもとな、恋(こ)ひわたるかも
意味: 葦辺を飛んでゆく鴨の羽音を聞くように、うわさにだけ聞いて、あの人のことをしきりに恋するのでしょうか・・

<鳥・鴨12>「葦鴨の・・」第11巻2833
「葦鴨の すだく池水 溢るとも まけ溝の辺に 我れ越えめやも」 <作者: 不明>
読み: 葦鴨(あしがも)の、すだく池水(いけみづ)、溢(はふ)るとも、まけ溝(みぞ)の辺(へ)に、我(わ)れ越(こ)えめやも
意味: 葦のあたりに集まっている鴨が騒いで池の水があふれたとしても、私は水路のほうに越えて行ったりはしませんよ。
「まけ溝」は、水を流し出す溝のことです。心変わりしない気持ちを詠んだ歌です。

<鳥・鴨11>「我妹子に・・」第11巻2806
「我妹子に 恋ふれにかあらむ 沖に棲む 鴨の浮寝の 安けくもなし」 <作者: 不明>
読み: 我妹子(わぎもこ)に、恋(こ)ふれにかあらむ、沖(おき)に棲(す)む、鴨(かも)の浮寝(うきね)の、安(やす)けくもなし
意味: あの娘に恋しているからでしょうか。沖に住む鴨が水面に浮かびながら寝ているように、(波に揺られて)落ち着かないのです。


<鳥・鴨10>「水鳥の・・」第11巻2720
「水鳥の 鴨の棲む池の 下樋なみ いぶせき君を 今日見つるかも」 <作者: 不明>
読み: 水鳥(みづとり)の、鴨(かも)の棲(す)む池(いけ)の、下樋(したび)なみ、いぶせき君を、今日見つるかも
意味: 鴨の棲む池の下樋が無いように、気持ちを流し去ることができなくて不安でどうしようもなかったのですけど・・そんな風に想っていたあなたに今日お会いできました。下樋は、池の排水のために、木や石で組んだ通水路のことです。

 <鳥・鴨9>「埼玉の・・」第9巻1744
「埼玉の 小埼の沼に 鴨ぞ羽霧る おのが尾に 降り置ける霜を 掃ふとにあらし」 <作者: 高橋虫麻呂(たかはしのむしまろ)歌集より>
読み: 埼玉(さきたま)の、小埼(をさき)の沼に、鴨(かも)ぞ、羽(はね)霧(き)る、おのが尾に、降り置ける霜を、掃(はら)ふとにあらし
意味: 埼玉の小埼の沼の鴨が、羽ばたいて水を飛ばしています。あれは、羽に降り積もった霜を払い落としているのですね。

<鳥・鴨8>「水鳥の・・」第8巻1451
「水鳥の 鴨の羽色の 春山の おほつかなくも 思ほゆるかも」 <作者: 笠女郎(かさのいらつめ)>
読み: 水鳥(みづとり)の、鴨(かも)の羽色(はいろ)の、春山(はるやま)の、おほつかなくも、思ほゆるかも
意味: 水鳥の鴨の羽の色のような春山みたいに、(あの人の気持ちが)はっきりしなくってもどかしく思うのです。好きな人の気持ちがわからないことを、春霞がかかっている春山にたとえています。


<鳥・鴨7>「礒に立ち・・」第7巻1227
「礒に立ち 沖辺を見れば 藻刈り舟 海人漕ぎ出らし 鴨翔る見ゆ」

 <鳥・鴨6>「外に居て・・」第4巻0726
「外に居て 恋ひつつあらずは 君が家の 池に住むといふ 鴨にあらましを」 <作者: 大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)>
読み: 外(よそ)に居て、恋ひつつあらずは、君が家の、池に住むといふ、鴨にあらましを
意味: よそにいて、あなたを恋しているのなら、あなたの家の池に住んでいるという鴨になれればいいのに・・

<鳥・鴨5>「鴨鳥の・・ 」第4巻0711
「鴨鳥の 遊ぶこの池に 木の葉落ちて 浮きたる心 我が思はなくに 」 <作者: 丹波大女娘子(たにはのおほめをとめ)>
読み: 鴨鳥の、遊ぶこの池に、木の葉落ちて、浮きたる心、我が思はなくに
意味: 鴨が遊んでいるこの池に浮いている木の葉のような浮いた気持ちはなく、私の気持ちは変わりませんことよ。

<鳥・鴨4>「百伝ふ・・」3巻=0416
「百伝ふ 磐余の池に 鳴く鴨を 今日のみ見てや 雲隠りなむ」  <作者: 大津皇子(おおつのみこ)>
読み: 百(もも)伝ふ、磐余(いわれ)の池に鳴く鴨を、今日のみ見てや、雲(くも)隠(かく)りなむ
意味: 磐余(いわれ)の池に鳴く鴨を見ることも今日までか。私は、もう死ななくてはならないのだ。大津皇子が謀反の疑いで自害させられる直前に詠んだ歌とされています。

<鳥・鴨3>「軽の池の・・」3巻=0390
「軽の池の 浦廻行き廻る 鴨すらに 玉藻の上に ひとり寝なくに」 <作者:紀皇女(きのひめみこ)>
読み: 軽(かる)の池の浦廻(うらみ)、行き廻る鴨すらに、玉藻(たまも)の上にひとり寝なくに
意味: 軽の池を泳ぎまわっている鴨でさえ、玉藻の上で一人きりで寝ることはないのに・・・(私はあなたとは一緒に夜をすごせないのですよ)

<鳥・鴨2>「吉野なる・・」3巻=0375
「吉野なる 菜摘の川の 川淀に 鴨ぞ鳴くなる 山蔭にして」 <作者: 湯原王(ゆはらのおほきみ)>
読み: 吉野なる、菜摘(なつみ)の川の、川淀(かはよど)に、鴨(かも)ぞ鳴くなる、山蔭(やまかげ)にして
意味: 吉野の菜摘の川のよどみに鴨が鳴いています。山陰になっているところで。

<鳥・鴨1>「葦辺行く・・」1巻=0064
「葦辺行く 鴨の羽交ひに 霜降りて 寒き夕は 大和し思ほゆ」 <作者: 志貴皇子(しきのみこ)>
読み: 葦辺(あしへ)行(ゆ)く、鴨(かも)の羽交(はが)ひに、霜(しも)降(ふ)りて、寒(さむ)き夕(ゆふへ)は、大和(やまと)し思(おも)ほゆ
意味: 葦の生えた水辺を行く鴨の羽に霜が降って、こんな寒い夕暮れには大和のことを思います。

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