ふざん<書道WEB>

書道は漢字文化から発生した東洋の文明=哲学文化遺産であり、芸術=ARTよりも奥が深い。(2014.2.13記載)

ふざん万葉歌①

2012-05-05 18:36:22 | ふざんの万葉歌

参考資料たのしい万葉集



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 ●牛窓(うしまど)を読んだ歌
<地域~牛窓1>「牛窓の・・」 第11巻:2731
「牛窓の 波の潮騒 島響み 寄そりし君は 逢はずかもあらむ」  <作者:不明>
読み:牛窓(うしまど)の、波の潮騒(しほさゐ)、島(しま)響(とよ)み、寄そりし君は、逢はずかもあらむ
意味:牛窓の波の潮騒が島を響かせるように、(私との)噂がたっていたあの人は、私に逢いに来てはくださらないのでしょうか。
補足:神功皇后の船が牛窓の海を通っていたとき、大きな牛が舟をひっくり返そうとしました。その時、住吉の明神が老翁(おきな)になって、
その牛の角を持って、投げ倒しました。そこから、この地を「牛転(うしまろび)」と名づけ、それが「牛窓(うしまど)」と訛ったのです。牛窓は、現在の岡山県瀬戸内市牛窓町とされています。

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●雉(きじ)を詠んだ歌

<鳥・雉2> 「杉の野に…」19巻4148
「杉の野に さ躍る雉 いちしろく 音にしも泣かむ 隠り妻かも」 <作者: 大伴家持>
読み: 杉(すぎ)の野に、さ躍(をど)る雉(きぎし)、いちしろく、音(ね)にしも泣かむ、隠(こも)り妻(つま)かも
意味: 杉の野に飛び跳ねる雉は、目立つほど大きな声で鳴きますね。とても忍ぶ妻とも思えないです。明け方に雉が鳴くのを聞いて詠んだ歌である。「隠り妻」は、結婚を隠している女性のこと。

<鳥・雉1> 「春の野に…」8巻=1446
「春の野に あさる雉の 妻恋ひに おのがあたりを 人に知れつつ」  <作者: 大伴家持>
読み: 春(はる)の野に、あさる雉(きぎし)の、妻(つま)恋(ご)ひに、おのがあたりを、人に知れつつ
意味: 春の野にえさを求めて動き回っている雉が、妻恋いして(鳴いて)、居場所を人に知られてしまっています。

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●鶴(たず)を詠んだ歌

<鳥・鶴5> 「港風…」17巻=4018
「港風 寒く吹くらし 奈呉の江に 妻呼び交し 鶴多に鳴く 」 <作者:大伴家持>
読み: 港風、寒く吹くらし、奈呉(なご)の江に、妻呼び交し、鶴(たづ)多(さわ)に鳴く
意味: 海の風が寒く吹くようだ。奈呉の入江で鶴の夫婦がお互いを呼び合って、沢山鳴いている。

<鳥・鶴4> 「天雲に…」11巻=2490
「天雲に 翼打ちつけて 飛ぶ鶴の たづたづしかも 君しまさねば」 <作者: 柿本人麻呂歌集>
よみ: 天雲(あまくも)に、翼(はね)打ちつけて、飛ぶ鶴(たづ)の、たづたづしかも、君しまさねば
意味: 天雲に翼を打ちつけて飛んでいってしまう鶴のように、あなた様がいらっしゃらないので、とても不安です。

<鳥・鶴3> 「旅人の…」9巻=1791
「旅人の 宿りせむ野に 霜降らば 我が子羽ぐくめ 天の鶴群」 <作者: 不明>
読み: 旅人の宿りせむ野に、霜降らば、我が子、羽ぐくめ天の鶴群(たづむら)
意味: 旅をする人が野宿する野に霜がおりたら、私の息子をその羽で守ってあげて、空を飛ぶ鶴たちよ。 遣唐使船が難波を出発するときに、遣唐使のお母さんが息子さんの無事を祈って詠んだ歌です。

<鳥・鶴2> 「足柄の…」7巻=1175
「足柄の 箱根飛び越え 行く鶴の 羨しき見れば 大和し思ほゆ」 <作者: 不明>
読み: 足柄(あしがら)の、箱根(はこね)飛び越え、行く鶴(たづ)の、羨(とも)しき見れば、大和(やまと)し思(おも)ほゆ
意味: 足柄の箱根を飛び越えてゆく鶴の、羨ましい姿を見ると、大和のことが思われます。

<鳥・鶴1> 「桜田へ…」3巻=0271
「 桜田へ 鶴鳴き渡る 年魚市潟 潮干にけらし 鶴鳴き渡る」 <作者: 高市黒人(たけちのくろひと)>
読み: 桜田(さくらだ)へ、鶴(たづ)鳴き渡る、年魚市潟(あゆちがた)、潮干にけらし、鶴(たづ)鳴き渡る
意味: 桜田のほうへ鶴が鳴き渡っていきます。年魚市潟は潮がひいたようです。
 
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●鵺鳥(ぬえどり)を詠んだ歌    鵺鳥はツグミ科の虎鶫(トラツグミ)のこと。夜中にヒョー、ヒョーという口笛のような悲しい響きをもってとらえられていたようです。

<鳥・鵺鳥(ぬえどり)=トラツグミ2>10巻=2031
「よしゑやし 直ならずとも ぬえ鳥の うら嘆げ居りと 告げむ子もがも」  <作者: 柿本人麻呂歌集より>
読み: よしゑやし、直(ただ)ならずとも、ぬえ鳥の、うら嘆(な)げ居(を)りと、告(つ)げむ子(こ)もがも
意味: 直に逢えなくてもいいですけど、「ひっそりと泣いているよ」とあの人に伝えてくれる子がいて欲しいです。「ぬえ鳥」は「うら嘆げ」を導く枕詞として使われています。

<鳥・鵺鳥(ぬえどり)=トラツグミ1>「 風交り...(長歌)」 5巻0892
「 風雑り雨降る夜の……奴延鳥の、のどよひ居るに……すべなきものか世間の道(長歌)」 <作者: 山上憶良>
読み: 風雑(まじ)り雨降る夜の……奴延鳥の、のどよひ居るに……すべなきものか世間の道(長歌)
意味: 風交じりの雨が降る夜の…………奴延(ぬえ)鳥の様にうめき声をあげていると…………こんなにもどうしようもないものなのか世の中というものは
「貧窮問答歌」と言われる歌。その時代の非常に厳しい現実に心苦しくなります。

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★和気神社にて
「天雲に 雁ぞ鳴くなる 高円の 萩の下葉は もみちあへむかも」20巻=4296<作者:中臣清麻呂>
読み:天雲(あまくも)に雁(かり)ぞ鳴くなる高円(たかまと)の萩の下葉(したば)はもみちあへむかも
意味:雲の上で雁が鳴いて、もう秋も深まってきた。高円の野に咲く萩の下葉は、無事に黄葉しきることができるだろうか。

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● <三徳園の万葉歌/鳥・鷺(さぎ)1>
<鳥・鷺(さぎ)1>「池神の…」16巻=3831
「池神の 力士舞かも 白鷺の 桙啄ひ持ちて 飛び渡るらむ」
 <作者: 長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)>
読み: 池神の力士舞(りきしまひ)かも、白鷺(しらさぎ)の、桙(ほこ)啄(く)ひ持ちて、飛び渡るらむ
意味: 池神の力士舞のように見えますね。白鷺が小枝を口にくわえて、飛んでいきます。 
 
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●呼子鳥を詠んだ歌  呼子鳥(よぶこどり)は、一説にはカッコウのことともヒヨドリともいわれていますが、はっきりとはしていません。

<鳥・呼子鳥6>「朝霧の…」10巻=941
「朝霧の 八重山越えて 呼子鳥 鳴きや汝が 来る宿もあらなくに」 <作者: 不明>
読み: 朝霧(あさぎり)の、八重山(やへやま)越えて、呼子鳥(よぶこどり)、鳴きや汝(な)が来る、宿もあらなくに
意味: 朝霧の、いくつもの山を越えて、呼子鳥よ、鳴いて君は来るのかい、ここにはとまる木もないのに。

<鳥・呼子鳥5>「朝霧に…」10巻=1831
「朝霧に しののに濡れて 呼子鳥 三船の山ゆ 鳴き渡る見ゆ」 <作者: 不明>
読み: 朝霧(あさぎり)に、しののに濡れて、呼子鳥(よぶこどり)、三船の山ゆ、鳴き渡る見ゆ
意味: 朝霧にすっかり濡れている呼子鳥が、三船の山を鳴き渡っています。

<鳥・呼子鳥4>「答へぬに…」10巻=1828
「答へぬに な呼び響めそ 呼子鳥 佐保の山辺を 上り下りに」 <作者: 不明>
読み: 答(こた)へぬに、な呼(よ)び響(と)めそ、呼子鳥(よぶこどり)、佐保(さほ)の山辺(やまへ)を、上(のぼ)り下(くだ)りに
意味: だれも答えてくれる人が居ないのに、響くほど鳴かないで、呼子鳥よ、佐保の山の辺りをのぼったり下ったりして。

<鳥・呼子鳥3>「春日なる…」10巻=1827
「春日なる 羽がひの山ゆ 佐保の内へ 鳴き行くなるは 誰れ呼子鳥」 <作者: 不明>
読み: 春日(かすが)なる、羽(は)がひの山ゆ、佐保(さほ)の内(うち)へ、鳴(な)き行(ゆ)くなるは、誰(た)れ呼子鳥(よぶこどり)
意味: 春日なる、羽がひの山から佐保に向かって鳴きながら飛んでゆくのは、誰を呼ぶ呼子鳥なのでしょう。

<鳥・呼子鳥2>「世の常に…」8巻=1447
「世の常に 聞けば苦しき 呼子鳥 声なつかしき 時にはなりぬ」 <作者: 坂上郎女(さかのうえのいらつめ)>
読み: 世の常(つね)に、聞けば苦(くる)しき、呼子鳥(よぶこどり)、声なつかしき、時にはなりぬ
意味: いつもでしたら聞き苦しい呼子鳥の声も、心をひかれる頃になりました。

<鳥・呼子鳥1>「神なびの…」8巻=1419
「神なびの 石瀬の社の 呼子鳥 いたくな鳴きそ 我が恋まさる」  <作者: 鏡王女(かがみのおおきみ)>
読み: 神なびの、石瀬(いはせ)の社(もり)の、呼子鳥(よぶこどり)、いたくな鳴きそ、我が恋まさる
意味: 石瀬の社の、呼子鳥よ、そんなに激しく鳴かないで。私の恋心がますますつのります。
 
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<さまざまな鳥を中心に、馬、鯨などの生き物も詠歌>   

<鳥・あぢ=トモエガモ>4巻=0486「山の端に…」
「山の端に あぢ群騒き 行くなれど 我れは寂しゑ 君にしあらねば」  <作者: 舒明天皇(or皇極天皇)>
読み: 山の端(は)に、あぢ群(むら)騒(さわ)き、行(ゆ)くなれど、我(わ)れは寂(さぶ)しゑ、君にしあらねば
意味: 山にあぢ鳥たちが騒ぐ声が聞こえてくるけれど、あなた様はいらっしゃらないので、私は寂しく思います。
 
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●鶯(うぐいす)を詠んだ歌

<鳥・鶯7>「冬こもり…」10巻=1824
「冬こもり 春さり来れば あしひきの 山にも野にも 鴬鳴くも」 <作者:不明>
読み:冬こもり、春さり来れば、あしひきの、山にも野にも、鴬(うぐひす)鳴くも
意味:冬が過ぎて春がやってくると、山にも野にも、鴬が鳴きます。「冬こもり」は、春を導く枕詞です。

<鳥・鶯6>「あらたまの…」20巻=4490
「あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鴬は鳴け」 <作者: 大伴家持>
読み: あらたまの、年(とし)行(ゆ)き返(がへ)り、春(はる)立たば、まづ我(わ)が宿(やど)に、鴬(うぐひす)は鳴(な)け
意味: 年があらたまって立春になったら、まずは私の庭で鴬よ、鳴いてくれ。

<鳥・鶯5>「梅の花…」10巻=1820
「梅の花 咲ける岡辺に 家居れば 乏しくもあらず 鴬の声」  <作者:不明>
読み:梅(うめ)の花、咲ける岡辺(をかへ)に、家(いへ)居(を)れば、乏(とも)しくもあらず、鴬(うぐひす)の声(こゑ)
意味:梅の花が咲いている岡のあたりに住んでいると、鴬の声がよく聞こえます。

<鳥・鶯4>「うち靡く…」10巻=1819
「うち靡く 春立ちぬらし 我が門の 柳の末に 鴬鳴きつ」  <作者: 不明>
読み: うち靡(なび)く、春(はる)立ちぬらし、我が門(かど)の、柳(やなぎ)の末(うれ)に、鴬(うぐいす)鳴きつ
意味: 草木が風になびく春になったようです 私の家の前の柳の梢で鴬が(ちょっと)鳴きました。

<鳥・鶯3>「百済野の…」8巻=1431
「百済野の 萩の古枝に 春待つと 居りし鴬 鳴きにけむかも」 作者: 山部赤人>
読み: 百済野(くだらの)の、萩の古枝(ふるえ)に、春待つと、居(を)りし鴬(うぐひす)、鳴きにけむかも
意味: 百済野の、萩の古い枝に、春を待っていた鴬は、もう鳴いたでしょうか。

<鳥・鶯2>5巻=0827「春されば…」
「春されば 木末隠りて 鴬ぞ 鳴きて去ぬなる 梅が下枝に」
読み: 春されば、木末(こぬれ)隠(がく)りて、鴬(うぐひす)ぞ、鳴きて去ぬなる、梅(うめ)が下枝(しづえ)に
意味: 春がやってくると梢に隠れて鴬が梅の下枝に鳴きわたります。

<鳥・鶯1>5巻=0824「梅の花…」 
「梅の花 散らまく惜しみ 我が園の 竹の林に 鴬鳴くも」  
読み: 梅の花、散らまく惜しみ、我が園の、竹の林に、鴬(うぐひす)鳴くも
意味: 梅の花が散るのを惜しんで、私の庭の竹の林で鴬が鳴いています。



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