考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

死を悼む

2007-05-29 23:17:28 | 徒然なるままに

昨日はZARDの坂井泉水さんの突然の訃報に驚いていたら、
その後は、農林水産大臣の松岡利勝さんの訃報・・・
数字的には年間の死者数を100万人とすると、日本中では毎日2740人の人が亡くなっている計算になるわけですけど。。。
不思議とお二人の死がボクの頭を重くしています。

ZARDの坂井さんは「もう」と言うか、「まだ」と言うか、40歳。
松岡さんも62歳ですか。坂井さんのほうは分かりませんけど、松岡さんのほうはお母様がご存命だったんですね。
若すぎる死は、いつでも聞くのはつらいものです。

松岡さんの死については、石原慎太郎東京都知事が『死をもってつぐなった。彼もやはりサムライだった。』と発言したとか?
それ以上にボクが気になるのは、安倍首相の「慚愧」(ざんき)発言。ネット上でも少し話題になっていますよね。

朝日新聞の「安倍首相の発言(要旨)」から引用しますと、次のような発言です。
http://www.asahi.com/politics/update/0528/TKY200705280440.html

――今の気持ちは。
大変残念です。慚愧(ざんき)に堪えない思いです。ご冥福を心からお祈り申し上げたいと思いますし、残された奥様はじめ、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。

『慚愧』の意味は、インターネットの辞書で引くと・・・
「自分の見苦しさや過ちを反省して、心に深く恥じること」。
首相周辺では「こういう結果に至ったことへの自らの責任を、この言葉に込めた」と解説しているようですけど、ボクには死者に鞭打つような発言に聞こえて仕方がありません。
同じことを言われても、言葉の感じ方は人それぞれ。そしてTPO(もう古い言葉ですか?)によっても変わってきます。

気になったので、英語ではどのように翻訳されているか?調べてみました。

TheTimesでは・・・
“It is extremely unfortunate and I am overwhelmed with regret,” he said. “I want to pray for the rest of his soul.”という表現になっていましたけど、
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/asia/article1851710.ece
Reutersでは・・・
“I am overwhelmed with shame. I deeply hope his soul will rest in peace,”
http://www.reuters.com/article/worldNews/idUST34716820070528?src=052807_1404_DOUBLEFEATURE

「overwhelmed with regret」と「overwhelmed with shame」、
英語に慣れた人のこの二つの言葉の印象はどうでしょうか?
※教えてボクの先生方

ボクの英語力(と日本語力)では、再度日本語に翻訳しなおすと後者がボクの『慚愧』という言葉に近くなるんですけど・・・
いずれにしても、「慚愧に堪えない思い」はピッタリと英語にはならないんでしょうね。日本語で説明するのも難しい。
安倍首相の想いが国内のみならず、海外に正しく伝わったのか?疑問です。
ちなみにこの一連の発言は「A visibly-shaken Abe」(@Reuters)からとして伝えられています。

みなさん、ハローです。ホディです。

友人のfallさんが以前、松岡大臣を見ると、ボクらの上司であったO氏を思い出すと言っていましたけど。。。最期、自殺を選ぶという点でも似ることになってしまいました。
改めて、そのときの想いも蘇ってくるんですよね。。。

愛読中の北方水滸伝の8巻で、このようなくだりがあります。

「おまえの中で、母御は生きている。そうやって、おまえは生きるしかない。そのうち、心の中は死者で溢れる。それが生きているということでもあるのだぞ。おまえが死ねば、誰の心の中で生き続けるのであろうな」

そして、敵でも味方でも、同じひとつの命だと。。。

こうして、ボクの心の中に誰かが入ってくる。
これが「死を悼む」ということかな、と。
でも、これを英語に翻訳することは出来ませんね。きっと。

ということは、「死を悼むこと」は日本人だからこそ出来ることなのかもしれません。


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3 コメント

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Unknown (fall)
2007-05-30 00:50:17
やっぱり書きましたね。書くんじゃなかな~と思ってました。松岡農水大臣は、Oさんと夭逝のしかたまで似てるって昨日kazさんと話していたばかりです。
死者に鞭打つつもりはありませんが、なんとか還元水や林野庁官製談合をこのような方法で収束させることを誰が望んでいないはずです。いろいろな意味で残念としか言いようがありません。
林野庁官製談合の裏で暗躍した議員は他にもいるかもしれません。検察の凛とした今後の捜査を期待しています。
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Unknown (shiba)
2007-05-30 00:58:04
こんばんは。とても興味深い記事でした。

わたしも慙愧には引っかかりました。「それって、使い方ちがくないか?」感覚として、自分がしでかしたことに対して使うもの、と捉えていたもので。

で、2つの英文記事ですが、Timesの記事(regret)は西欧人1人の署名、Reutersのもの(shame)は西欧人と日本人(日系人?)の連名になっていますね。英英辞書ではshameは"a painful feeling of having done something wrong, improper"とあります。つまり、自分がしでかした、というニュアンスを意識してshameを使ったのではないでしょうか。で、そうした意図は多分、連名になっている日本語理解者と思しき人のインプットがあったのではないかと推測しますが、どーですかね?
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(^v^) (hoddy)
2007-05-30 22:14:01
fallさん、コメントありがとうございます。

やはり同じことを考えているものですね。
以心伝心?
これも英語にはなさそうですけど、不思議なつながりですよね。

「ナントカ還元水」と「林野庁官製談合」・・・
おっしゃるとおり徹底的な追及が必要ですよね。
もう松岡さんが責められることはありませんけど、
罪は罪として責められるべきだとボクも思います。



shibaさん、コメントありがとうございます。

安倍首相の「慚愧」には違和感ありますよね。
言い間違いだと言われれば、それもアリかなと思うんですけど、肯定するようなコメントが出たりして・・・

署名とは、さすがですね。
おっしゃるとおりだと思います。記者の中にキチンとした日本語理解者がいたんでしょうね。
それにしても何気なく発した日本語がどのように英語に訳されているか?興味深いものですよね。

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