福島第1原発事故問題・・・東京電力は先月示した「工程表」を早くも見直しせざるを得ない状況になったようですね。
時事通信 5月17日(火)17時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110517-00000106-jij-soci
東京電力は17日、福島第1原発事故の収束に向けた「工程表」の改訂版を公表した。原子炉格納容器を水で満たす冠水(水棺)計画を見直し、建屋地下などにたまった汚染水を浄化して原子炉冷却に再利用する「循環注水冷却」を先行させる方針を示した。記者会見した東電の武藤栄副社長は「工程表を大きく変えるような状況の変化はなかった。全体としては、ほぼ考えた通りに進んでいる」と述べ、原子炉を安定させる時期として4月公表の工程表で掲げた「6~9カ月後」の目標は変更しなかった。
この「工程表」について、普段、会社で目標管理に関わる人事担当として、一言、メモ代わりに残しておきたいと思います。
まずは1ヶ月に1回のペースで工程表は見直していくという宣言通りの見直し、そしてその見直した内容の公開、目標自体の見直しを安易に行なわなかったこと等々、内容は棚に上げて、目標管理の運用としては一定の評価をすべき点だと思います。
一方で、「目標管理の運用」としてではなく、今回の問題解決に向けた目標設定とその「工程表」については散々のように感じますね。残念ながら・・・
まずは、この「工程表」自体の目的である“そもそもの目標”が分かりにくい。
※私の情報収集不足もあると思いますので、その点はご容赦を。
上記の記事では「原子炉を安定させる」とありますし、一部の記事では「事故収束」だとか書かれていますが、実際には具体的なゴールイメージは何なんでしょう?
放射性物質の拡散を食い止めるのか、原発周辺から放射性物質を除去するのか、原発周辺にも再度、人が住めるようにするのか・・・どこまでをイメージしているのか。実際に、そのゴールイメージによって、やるべきことの優先順位や取り組みの方法、スケジュールも変わってくるのではないでしょうか。
よく、私は目標設定について語る際には、「自分の仕事の目的を一言で言ってみて」と質問します。すると、あれこれと具体的な目標や仕事内容を一つひとつ話しだす人が多いんです。実は自分の職責はそんなに複雑ではなく、やるべきことは、シンプルに整理することが可能であるはずなんです。
そういう意味では、今回の「工程表」は何を目的としているのか、どこまでできれば完成なのか、実は当事者も分からないまま、進んでいるのではないかという懸念をしています。(あまりにも被災者や関係者に大きな影響があるので言えないという可能性も否定できませんが。)
そして、「工程表」管理自体が目標になってしまっている。
最初に目標管理の運営として評価した内容と表裏のような話ですが・・・「工程表」はあくまで工程表であって、そもそもの目標とは関係がないことなんです。もちろん、大事なことなんですが。
要は「工程表」を意識するが余り、取り掛かり易い1号機から対応を始めているのではないか?と想像できますし、1ヶ月で早速修正するような内容だとしたら、そもそも「工程表」を作れるような段階ではなかった、場合によっては「今回のような工程表を作成するという目標」が必要だったように考えます。
目的・目標達成に向けて何をすべきなのか?ということを「工程表」で示すことで、関係者が認識を統一し、力を合わせて取り組むことが目標管理の本質なんです。周囲の人に進捗を報告したり、その成果を評価してもらうことは、あくまでも二次的なものであって、ここを取り違えると「工程表」が逆に目標達成を阻害することになってしまいかねません。
もう少し、「工程表」、目標管理については書きたいところですが・・・
長すぎますので、今日はこの辺で。
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