考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

ブラック・スワン

2011-06-04 01:48:08 | 映画

白鳥の湖を舞うバレリーナをナタリー・ポートマンが演じる「ブラック・スワン」
http://movies2.foxjapan.com/blackswan/

一度、観ておきたいと思っていて、今日、仕事帰りに行って来ました。久しぶりの映画館でしたが、良かったですよ。思わず、感想をまとめておきたいと思ってしまいました。以下、感想です。

正直な感想は、非常に息苦しい。ヤクザ映画の観客がしばらく菅原文太風になるように、きっと多くの人が苦い、苦しい顔をして劇場から出てきたんではないでしょうか。こんな風に書き出すと、否定的に感じられるかもしれませんが、決してそうではありません。

「ブラック・スワン」は独特の映像で、その世界を作り出しています。

一つは身体のパーツ。筋肉であったり、指であったり。あるいは血だったりもしますが。
ナタリー・ポートマンの、バレリーナの美しい肉体をフォーカスすることで、その厳しい世界を描き出しています。水面上は優雅な白鳥も、その水面下では必死に足を掻いている。プロのバレリーナの世界も同じ。まさに血のにじむような努力が、その美しい舞の陰にはあるわけです。

そして、一番の特徴は鏡でしょうか。
絶妙の距離感で主人公のリナ(ナタリー・ポートマン)を映し出しているんです。それは実際に度々出てくる合わせ鏡や複数枚の鏡と同様に、多重で、奥深く、終わりがないかのように姿を映し出し・・・その合わせ鏡の中に、いつの間にか私たちも引き込まれてしまう・・・

それが息苦しさの原因ではないか、と。ニナや、その母などの狂気と一緒にいつの間にか自分自信の狂気も映し出され、鏡の世界から決して抜け出すことのない閉塞感、窮屈さを、いつの間にか感じさせられているのではないか。

ニナが白鳥と黒鳥の間で揺れ、自分の両面を鏡のように見ているのと同時に、スクリーンに映し出される白鳥と黒鳥が合わせ鏡の一部となった自分にも映し出されていっているのではないか。

ストリート言うよりは、そんな合わせ鏡(映像)に引き込まれつつ、いつの間にか終章、フィナーレに向かいます。その最後のニナの表情で、私たちも鏡の世界から解放される・・・この感覚はぜひ、映画館で味わってほしいです。

これは決して爽快さはないのですが、辛いもの、苦いもの、酸っぱいものも美味しいとする、そんな大人の感覚にうったえかけてくるようです。そういう意味では、癖になる人もいるんではないでしょうか。

お薦めです。でも、体調が良いときにしないと、ニナの狂気にあたってしまうかもしれません。それだけ、ナタリー・ポートマンの演技には圧倒されます。素晴らしい。

 

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