daiozen (大王膳)

強くあらねばなりませぬ… 護るためにはどうしても!

一人は賑やか③

2014年10月21日 | 詩人 - 鑑賞
        

この詩、茨木のり子が五十代で詠んだのだろうな
オトナをひけらかすことなく素直に己を見詰めてる
やがて訪れるはずの終章を覗き観しているのかしら
いやいや、青春はまだまだこれからだって言ってる


茨木のり子


一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな森だよ
夢がぱちぱち はぜてくる
よからぬ思いも 湧いてくる
エーデルワイスも 毒の茸も

一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな海だよ
水平線もかたむいて
荒れに荒れっちまう夜もある
なぎの日生まれる馬鹿貝もある

一人でいるのは賑やかだ
誓って負けおしみなんかじゃない

一人でいるとき寂しいやつが
二人寄ったら なお淋しい

おおぜい寄ったなら
だ だ だ だ だっと 堕落だな

恋人よ
まだどこにいるのかもわからない 君
一人でいるとき 一番賑やかなヤツで
あってくれ
~~~~~~~~~~~~~~~~~

あなたには茨木のり子が格好よく見えるだろうか
あなたには茨木のり子が美しく輝いてるだろうか
様々な感情のなかには高貴さも含まれていたかも
人々に祝福されながら生きたかったかもしれない
社会的な成功を微塵も欲しなかったとはいわない
どす黒い憎しみがむらむら涌かなかっただろうか

なまじっか才能豊かに生れつくと誘惑が多いもの
自分ならアノ程度は簡単、自分にはコレもやれる
そうした迷い・誘惑の心は誰にも具わっているさ
詩人の心は清く澄んでいて世間の欲に染まらない
穏やかに微笑んでいて欲深くないのが詩人なのか
茨木のり子のばあいは荒れもした馬鹿もしたかも

そうした普通の人々の気持ちをよく理解したかも
おおぜいで騒いだって好いじゃないって理解者だ
一人静かに過ごす夜は雑念・妄執が溢れていたり
それが普通の人間、茨木のり子は例外じゃないか
こう言ったら‥駄目だろって言いたがる人はいる
そうでなきゃ‥負け惜しみだって言いたがる人も

キリストが命を投げ出しても誰も同情しなくても
ジャンヌダルクが焼き殺されても気にしなくても
普通の人・茨木のり子の心のうちなら理解できる
普通の人の命懸けならあなたの命懸けと違わない
普通の人の尊い行動にはとんでもない価値がある
その茨木のり子であなたの心を飾り立てるべきか

いやいや、普通の人なら飾り立てる価値はないか
いやいや、いやいや、いやいや、普通の詩人だよ
その普通の茨木のり子に後れをとってなるものか
詩人の自負を少しでも持ってる私には重大関心事
それにしてもぜひ教えてほしい‥一番賑やかって?
もしか‥誰もが持てあます厄介な奴でいいですか?

いやいや、これでしばらく夢みる暇もない私だな。

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