経済産業省資源エネルギー庁の野田参事官と東京電力・福島復興本社の石崎代表らを招いていわき市役所大会議室で開かれた、いわき市議会東日本復興特別委員会での私の質疑と回答です。
概要は9月18日のこのブログ(http://pub.ne.jp/hiroyuki1960/?daily_id=20130918)で紹介していましたが、時間があれば詳細なやり取りもご覧ください。
汚染水漏水等の対策と国の責任ある対応について
伊藤 (事故の対応は)東電と役割を分担してやっていくというお話がありました。国として責任を持ってやっていくんだというお話があったんですが、そこで問題になるのが国として今回の事故が起こったことに対する責任をどういう風にとらえているかということなんですね。第一義的には東電に責任があるおっしゃっていますが、原子力政策については国が一貫してすすめてきた政策でありまして、また国の基準の中で了解をして今のような原子力発電所が作られてきたとなっているわけで、そこの責任をしっかりとらえて今後の対応に当たっていかないのでは、責任を持って対応するという言葉そのものが空虚に響いてしまうという部分があるんですね。そこについてどういうふうにお考えかお知らせいただきたいと思います。
野田参事官 原子力政策をエネルギー政策の一環として推進をしてきたことが根本にあるのは事実でして、その点に関して当然我々としても責任を負うものだと考えています。
責任の負い方はそれぞれありますが、資源エネルギー庁としては、エネルギー政策の中で原子力の位置づけ、あり方も含めて議論をすすめていくことにしています。総合エネルギー資源調査会の中でエネルギー基本計画の中で議論を進めていくことにしていますし、福島の第一原子力発電所の事故についての対応、損害賠償のチームもいまエネ庁の中にありますが、ご迷惑をかけた住民の方々に対しきっちりと対応をとっていくことも、我々の責任範囲として果たしていかなければならないと考えています。
さらに廃炉についても、国が前面に出て対応をとっていくということです。汚染水対策ということに限定するものではなくて、先ほどデブリの取り出しのタイミングのお話もありましたが、全工程において国としてきちんと対応を取っていく。プロセスの管理もありますが、最後に申し上げた研究開発、技術開発についてもきちんと計画を立て、かつ必要な予算的措置をとって対応していくということでも、責任を果たしていく必要があるのかなと思っています。
国の規制基準の話については、原子力規制庁で対応をとっていますが、かなり厳しい耐震基準ですとか、シビアアクシデント対策という基準を作っていると伺っていまして、そういった形でこういった事故が二度と起こらないということで、規制庁でしっかりと対応を取っていくのではないかと考えています。
伊藤 報道等を読んでいる中では、例えばいま大きな問題になっているのがタンクからの漏水っていうことです。タンクがあまりに性能が悪すぎてどんどん漏水をしているという状況があります。
報道によるとタンクの設置については、これには改修も含むのだと思うのでうすが、国は全く責任を持たないという報道があったように記憶があるんですね。タンクの設置そのもので、東京電力の信用は全くなくなっている状況があるわけです。国が責任を持ってすすめるのであれば、分野分野に応じて責任を持ってやるというのではなくて、全体の進行、全体の施工内容について、国として責任も、予算もつけていくということが求められると思うんですが、なぜその立場立たれないのかお聞かせいただきたい。
野田参事官 汚染水対策委員会に置きましては、タンクのリプレイス計画、それから将来必要になるタンクの増設計画、これにつきましてもきっちり東京電力とお話をしながら、国としての計画、まぁ、東京電力と一緒ですけど、国としての計画を作っていくことにしていまして、そういった全体計画に関しても国として責任を持って取り組む予定にしているところです。
かつタンクは東京電力が全部を作るわけではなくて、東京電力さんがタンクメーカーに発注するわけです。そういった点に関しても経済産業省の方で、個々のタンクメーカーさんといろんな話をさせていただいて、より加速化できないかというようなところでも企業との交渉ということもやらしていただいておりまして、そういった意味で、そこは東京電力の責任分担で国は全く関係がないということではなく、国としてもその分野に関して責任をもって対応をとってまいりたい。
費用的なことに関しては、国費の投入ということですので、ここはやはり技術的難易度が高くて、国として対応していくべき必要があるものに関して、財政的措置を取らせていただくということを基本方針として進めているところでして、その点よろしくご理解をいただければと思っています。
伊藤 この間の東京電力の様々な事象に対する対応で、予算の面もあるからこそしっかりとした対応がとられてこなかったのではないか、こう巷でもいわれているわけです。当面の必要な予算についてはしっかりとした予算を確保していくことが求められるわけで、これがなければ福島県で安心して暮らしていくっていうことが、なかなか難しい状況があるんだと思うんです。
後でかかった費用について、東電に対しどうするかという問題は、それはそれであると思うんですが、まずはお金を確保してしっかりとした対応するということが求められていると思うんですが、それに対する所見をお伺いしたいと思います。
二つ目に地下水バイパスの問題なんですが、タンクからの漏水事故があって、モニタリングの井戸からトリチウムが高濃度で検出をされているという状況があります。今日の昼の報道を聴いていますと、一貫して上昇を続けてきたのがここで下がった、さて安心か、という話になっているのですが、実際問題として、地下水がトリチウム等で汚染されているという現状がある中で、現行の地下水バイパス計画がそのまま承認されるのかということは問題があると思います。
海に放出をされてしまえば、それ自身が風評被害を生み出してしまいます。今回の雨水の問題もそうですよね。ストロンチウムが放水してよい基準の30ベクレルより低いから放水したということでしたけれども、そういうことが度重なる中で風評被害が拡大しているという現状があるわけです。そういうところをしっかりとらえた対策が必要だと思います。
その点からも現行の地下水バイパス計画については見直すことが必要だと思うのですが、ご所見をお願いしたい。
漁業者との懇談の中で、こういうことをおっしゃる方がいました。
ご存知のように9月26日に、底引きを中心にしたいくつかの魚種で、いわき沖で試験操業を再開しようという話になっています。これまでの経過の中で、試験操業をとりくもうとしても、そのたびに様々な問題が現場で起きてできなくなっているという現状がある。そういう意味で、これ以上、状況を悪くしないでほしいというのが、漁業者のたっての願いなんです。
そういうことを考えた時に、今度の、先ほども申しあげましたが、雨水の放水は漁業者から見れば、そのこと自身が魚等に対する汚染の懸念を国民の中に植え付けることになるわけで、風評被害を拡大する事象の一つになっているんです。
堰の嵩上げをするという対策をするというお話もありましたが、風評被害を含めた対応も頭においた…、基準にはるかに低い値、専門家からみれば大丈夫だという値であっても、しっかりした説明であったりとか、もしくはそういうものであっても放出をしないために何らかの方策をしっかりとっていくとうことをしていただかなければだめなんだと思います。その点でご所見お聞かせください。
野田参事官 廃炉に関しては東京電力で特別損失という形で、廃炉のための費用を引き当て確保しています。その点についても国の方で東京電力の財務状況を見ながら検討をしているところです。
現在のところ予算的な面で制限があるので手当ができないという状況ではないと我々は把握しておりまして、お金がないからできないという状況ではないと思っております。
ただ先ほどの陸側遮水壁などに関しては引き当ての中でも手当てができてない部分がありましたので、その部分は技術的難易度が高いということもございますので、国としてきちんと手当をしていきたいと思っております。
地下水バイパスに関して、確かにH4タンク近傍の試掘口の方からかなり濃度が高いトリチウムが検出されているということは事実でございます。
従って現在その状況、その原因は何かということも含めて議論をしているところです。それが地下水バイパスの上流側にありますので、現行の地下水バイパスで本当に良いのかということも我々として問題意識を持ちながら議論をしているところですので、現行の地下水バイパスそのものを見直すということよりは、何らかの対応は必要になってくるのかなとは思っております。
ただ地下水バイパスは、そのまま出すということではなくて、いったんタンクにためて核種を測定して出すという手当もとってございますので、高い核種が出るようであれば放出をしないということも漁連さんにはご説明をさせていただいているところです。ここはトリチウムの状況をみながら漁業組合さんとか漁連さんとかとよく相談をさせてもらいたいなと思っています。
試験操業が行われようとする中で新たな事象が出ていくということが、風評被害につながるというご指摘をいただきました。おっしゃる通りだと認識しています。緊急対策で海側に水ガラスをうつというのは、まさしく海に出さないということをまず緊急的に対応をとるということです。
結果的に1号から4号の海側の開渠の部分の放射性物質濃度は、安定状態と言いますか、いまのところ上がってもない、下がるところまではいってないんですけど、そういう状況になっています。こういう手当をきっちりやることによって、海の状況を安定化させて、試験操業に妨げにならない対策をしっかりとっていきたいと思います。
伊藤 地下水バイパスですが、今の計画の見直しよりはというお話だったんですが、現実の問題としてあそこにあれだけのものが出てきたということで、その下流域でとった地下水に対して、いったんタンクに溜めて測ってから放出するんだということは、7月末でしたかね、説明会を開いたので聞いて知っているんですが、そういう事態であっても風評被害が出てきているということが現実の問題としてあるということと、漁業者のみなさんが反対しているのは、あそこの水は安全だという話はあるんだけど、けっきょく海側の方での汚染水が大量に出ているという状況を見て、情報隠ぺいだということも含めてだと思いますが、そういう話だったわけです。
そういう意味で取水口そのものをもっと安全な地域、つまりタンクの水が由来しない地域に変更しなければ、信頼を得られないように思います。そういうことも視野に入れた検討も必要なんだと思うのですがいかがですか。
野田参事官 先ほど汚染水問題に関する基本方針で、想定されるリスクを広く洗い出し予防的かつ重層的な検討を行うと説明させていただきました。その中で我々としても、これは内々ですけども、より上流側での手当てができないかということは検討していまして、いまの地下水バイパスのやり方に固執をして、それ以外のことを検討しないとかということはありませんので、そこはそういった意味でちゃんと検討していきたいと思っています。
多重構造の労働者の把握について
伊藤 いままでのやり取りに関連しますが、一つは石崎代表の発言に下請けに関して9次、10次を把握していないという話があったんですが、これまで事故直後からそこの関係についてしっかり調査をして、場合によってはそういう下請け労働者に、危険手当また賃金等が正当に払われていないという状況があるので、しっかりとした対応をすることが必用なんじゃないかという指摘がたびたびされているはずなんですね。
そういうことが代表の耳に入っていないのかどうかということになってくるんですが、もしやられていないとするならば、これまでの話の中では元請とその発注先との関係だから東電としては関与できないという発言を繰り返されてきたところがあるのですが、それだときちんとした現場での労働者の把握が東電としてできない。すなわち安全な事故収束作業をすすめることに問題が生じてしまうということですので、そこについては東電としてのしっかりとした掌握・対応をしていく必要があると思うので、そこについてのご所見をお願いします。
もう一つタンクの問題ですが、資料をみるとH3にしろH4にしろH5にしろ、それぞれ高濃度のβ核種が検出されているということで、それぞれのところで漏水の可能性が高いのではないかという事態ですよね。先だって漁業者との懇談で、対応が終わるのが来月の9月かと、1ヶ月でも早く進めてほしいんだということをおっしゃっていらっしゃいました。
すなわちこういう漏水のおそれのあるタンクが存在すること自体が、漁業再開に向けて、風評も含めて困難な状態を作り出すという懸念があるわけです。
先ほどのボルトしめ型タンクのリプレイスの加速化ということをおっしゃっていたんですが、できるだけ早くするという意味で、だいたいどのくらいの時期までにボルトしめ型タンクを無くしていくのかということで、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
石崎代表 委員ご指摘の点ですが、下請けの問題は、先ほど私が申し上げたのは、私自身が下請けの重層構造が、9次、10次まであるということを私自身が把握していないという意味で申しあげましたが、ただこれは再三ご指摘いただいていることはもちろん承知していますし、私どもは元請さんにそういうご指摘があることを踏まえていろいろな対策をうっていただいていることも、これもまた事実です。これは事実としてお伝えをいたしますけれども、これがご指摘のようにまだ浸透していないという意味であるならば、どうして浸透していないのかを私どもも元請さんといっしょになってしっかりと把握していく必要があろうかとは思っております。
いずれにしてもこの作業そのものは30年、40年、本当にたくさんの人の力が必要ですので、そういう人たちが、もちろん社員も含めてですが、安全に、安定的に作業が進められるように、これからも私ども東京電力グループを挙げて、お国の力もお借りしてしっかりとやっていく覚悟です。また何かありましたらご指摘をお願いします。
林副室長 タンクのリプレイスに関してですが、具体的なボルト型から溶接型へのリプレイスの計画は目下策定中でして、この場でいつまでにということをもうしあげることはできません。基本的な条件、分かっている事だけお伝えしますと、ボルトフランチタイプのタンクは発注から完成まで約3カ月、溶接タイプは6か月ということです。具体的にどのエリアに、どの場所にリプレイスをしていくかとなると、設置をして、移送をしてという細かい計画を立てる必要があり、現時点でお答えできないということで、本当にもうしわけありません。
伊藤 下請け労働者の問題ですが、私自身が把握していないということでは、それならば東電としてはしっかり把握しているのかということになると思うんです。把握をしているけれども代表のところにその情報が言っていないということなのか。であるならば、それは大問題だということをいわざるをえません。
もう一つリプレイス。策定中ということですが、いつごろまでに計画を作る考えがあるのかお知らせください。
石崎代表 下請けの構造の問題ですが、会社として全容を把握できておりません。契約上の問題もあり、元請さんに私どもは契約に基づいてある作業を発注しておりまして、その元請さんがどこからどういうふうに作業をされる方を集めてくるのかというのは、全体を把握するのは私ども正直申し上げて、詳細に把握するのは今の段階では難しいといわざるをえません。
もし具体的に何か問題があるのをご存じであれば、逆に教えていただいてそのつど改善を図りたいと思っていますので、ぜひその点はよろしくお願いします。
林副室長 リプレイスの計画ですが、私の記憶でもし間違っていたら後ほど訂正させていただきますが、今月中に策定するようにというご支持をいただいていると記憶しています。…違いました。もうしわけございません。
野田参事官 このリプレイス計画をしっかり作るべきだというのは第1回の現地調整会議でも議論になりまして、その場での決定としては次の現地調整会議までに計画を作ろうということでお話をさせていただきました。約1ヶ月くらいをめどにということです。
以上のような内容でした。お読みいいただきありがとうございます。
概要は9月18日のこのブログ(http://pub.ne.jp/hiroyuki1960/?daily_id=20130918)で紹介していましたが、時間があれば詳細なやり取りもご覧ください。
汚染水漏水等の対策と国の責任ある対応について
伊藤 (事故の対応は)東電と役割を分担してやっていくというお話がありました。国として責任を持ってやっていくんだというお話があったんですが、そこで問題になるのが国として今回の事故が起こったことに対する責任をどういう風にとらえているかということなんですね。第一義的には東電に責任があるおっしゃっていますが、原子力政策については国が一貫してすすめてきた政策でありまして、また国の基準の中で了解をして今のような原子力発電所が作られてきたとなっているわけで、そこの責任をしっかりとらえて今後の対応に当たっていかないのでは、責任を持って対応するという言葉そのものが空虚に響いてしまうという部分があるんですね。そこについてどういうふうにお考えかお知らせいただきたいと思います。
野田参事官 原子力政策をエネルギー政策の一環として推進をしてきたことが根本にあるのは事実でして、その点に関して当然我々としても責任を負うものだと考えています。
責任の負い方はそれぞれありますが、資源エネルギー庁としては、エネルギー政策の中で原子力の位置づけ、あり方も含めて議論をすすめていくことにしています。総合エネルギー資源調査会の中でエネルギー基本計画の中で議論を進めていくことにしていますし、福島の第一原子力発電所の事故についての対応、損害賠償のチームもいまエネ庁の中にありますが、ご迷惑をかけた住民の方々に対しきっちりと対応をとっていくことも、我々の責任範囲として果たしていかなければならないと考えています。
さらに廃炉についても、国が前面に出て対応をとっていくということです。汚染水対策ということに限定するものではなくて、先ほどデブリの取り出しのタイミングのお話もありましたが、全工程において国としてきちんと対応を取っていく。プロセスの管理もありますが、最後に申し上げた研究開発、技術開発についてもきちんと計画を立て、かつ必要な予算的措置をとって対応していくということでも、責任を果たしていく必要があるのかなと思っています。
国の規制基準の話については、原子力規制庁で対応をとっていますが、かなり厳しい耐震基準ですとか、シビアアクシデント対策という基準を作っていると伺っていまして、そういった形でこういった事故が二度と起こらないということで、規制庁でしっかりと対応を取っていくのではないかと考えています。
伊藤 報道等を読んでいる中では、例えばいま大きな問題になっているのがタンクからの漏水っていうことです。タンクがあまりに性能が悪すぎてどんどん漏水をしているという状況があります。
報道によるとタンクの設置については、これには改修も含むのだと思うのでうすが、国は全く責任を持たないという報道があったように記憶があるんですね。タンクの設置そのもので、東京電力の信用は全くなくなっている状況があるわけです。国が責任を持ってすすめるのであれば、分野分野に応じて責任を持ってやるというのではなくて、全体の進行、全体の施工内容について、国として責任も、予算もつけていくということが求められると思うんですが、なぜその立場立たれないのかお聞かせいただきたい。
野田参事官 汚染水対策委員会に置きましては、タンクのリプレイス計画、それから将来必要になるタンクの増設計画、これにつきましてもきっちり東京電力とお話をしながら、国としての計画、まぁ、東京電力と一緒ですけど、国としての計画を作っていくことにしていまして、そういった全体計画に関しても国として責任を持って取り組む予定にしているところです。
かつタンクは東京電力が全部を作るわけではなくて、東京電力さんがタンクメーカーに発注するわけです。そういった点に関しても経済産業省の方で、個々のタンクメーカーさんといろんな話をさせていただいて、より加速化できないかというようなところでも企業との交渉ということもやらしていただいておりまして、そういった意味で、そこは東京電力の責任分担で国は全く関係がないということではなく、国としてもその分野に関して責任をもって対応をとってまいりたい。
費用的なことに関しては、国費の投入ということですので、ここはやはり技術的難易度が高くて、国として対応していくべき必要があるものに関して、財政的措置を取らせていただくということを基本方針として進めているところでして、その点よろしくご理解をいただければと思っています。
伊藤 この間の東京電力の様々な事象に対する対応で、予算の面もあるからこそしっかりとした対応がとられてこなかったのではないか、こう巷でもいわれているわけです。当面の必要な予算についてはしっかりとした予算を確保していくことが求められるわけで、これがなければ福島県で安心して暮らしていくっていうことが、なかなか難しい状況があるんだと思うんです。
後でかかった費用について、東電に対しどうするかという問題は、それはそれであると思うんですが、まずはお金を確保してしっかりとした対応するということが求められていると思うんですが、それに対する所見をお伺いしたいと思います。
二つ目に地下水バイパスの問題なんですが、タンクからの漏水事故があって、モニタリングの井戸からトリチウムが高濃度で検出をされているという状況があります。今日の昼の報道を聴いていますと、一貫して上昇を続けてきたのがここで下がった、さて安心か、という話になっているのですが、実際問題として、地下水がトリチウム等で汚染されているという現状がある中で、現行の地下水バイパス計画がそのまま承認されるのかということは問題があると思います。
海に放出をされてしまえば、それ自身が風評被害を生み出してしまいます。今回の雨水の問題もそうですよね。ストロンチウムが放水してよい基準の30ベクレルより低いから放水したということでしたけれども、そういうことが度重なる中で風評被害が拡大しているという現状があるわけです。そういうところをしっかりとらえた対策が必要だと思います。
その点からも現行の地下水バイパス計画については見直すことが必要だと思うのですが、ご所見をお願いしたい。
漁業者との懇談の中で、こういうことをおっしゃる方がいました。
ご存知のように9月26日に、底引きを中心にしたいくつかの魚種で、いわき沖で試験操業を再開しようという話になっています。これまでの経過の中で、試験操業をとりくもうとしても、そのたびに様々な問題が現場で起きてできなくなっているという現状がある。そういう意味で、これ以上、状況を悪くしないでほしいというのが、漁業者のたっての願いなんです。
そういうことを考えた時に、今度の、先ほども申しあげましたが、雨水の放水は漁業者から見れば、そのこと自身が魚等に対する汚染の懸念を国民の中に植え付けることになるわけで、風評被害を拡大する事象の一つになっているんです。
堰の嵩上げをするという対策をするというお話もありましたが、風評被害を含めた対応も頭においた…、基準にはるかに低い値、専門家からみれば大丈夫だという値であっても、しっかりした説明であったりとか、もしくはそういうものであっても放出をしないために何らかの方策をしっかりとっていくとうことをしていただかなければだめなんだと思います。その点でご所見お聞かせください。
野田参事官 廃炉に関しては東京電力で特別損失という形で、廃炉のための費用を引き当て確保しています。その点についても国の方で東京電力の財務状況を見ながら検討をしているところです。
現在のところ予算的な面で制限があるので手当ができないという状況ではないと我々は把握しておりまして、お金がないからできないという状況ではないと思っております。
ただ先ほどの陸側遮水壁などに関しては引き当ての中でも手当てができてない部分がありましたので、その部分は技術的難易度が高いということもございますので、国としてきちんと手当をしていきたいと思っております。
地下水バイパスに関して、確かにH4タンク近傍の試掘口の方からかなり濃度が高いトリチウムが検出されているということは事実でございます。
従って現在その状況、その原因は何かということも含めて議論をしているところです。それが地下水バイパスの上流側にありますので、現行の地下水バイパスで本当に良いのかということも我々として問題意識を持ちながら議論をしているところですので、現行の地下水バイパスそのものを見直すということよりは、何らかの対応は必要になってくるのかなとは思っております。
ただ地下水バイパスは、そのまま出すということではなくて、いったんタンクにためて核種を測定して出すという手当もとってございますので、高い核種が出るようであれば放出をしないということも漁連さんにはご説明をさせていただいているところです。ここはトリチウムの状況をみながら漁業組合さんとか漁連さんとかとよく相談をさせてもらいたいなと思っています。
試験操業が行われようとする中で新たな事象が出ていくということが、風評被害につながるというご指摘をいただきました。おっしゃる通りだと認識しています。緊急対策で海側に水ガラスをうつというのは、まさしく海に出さないということをまず緊急的に対応をとるということです。
結果的に1号から4号の海側の開渠の部分の放射性物質濃度は、安定状態と言いますか、いまのところ上がってもない、下がるところまではいってないんですけど、そういう状況になっています。こういう手当をきっちりやることによって、海の状況を安定化させて、試験操業に妨げにならない対策をしっかりとっていきたいと思います。
伊藤 地下水バイパスですが、今の計画の見直しよりはというお話だったんですが、現実の問題としてあそこにあれだけのものが出てきたということで、その下流域でとった地下水に対して、いったんタンクに溜めて測ってから放出するんだということは、7月末でしたかね、説明会を開いたので聞いて知っているんですが、そういう事態であっても風評被害が出てきているということが現実の問題としてあるということと、漁業者のみなさんが反対しているのは、あそこの水は安全だという話はあるんだけど、けっきょく海側の方での汚染水が大量に出ているという状況を見て、情報隠ぺいだということも含めてだと思いますが、そういう話だったわけです。
そういう意味で取水口そのものをもっと安全な地域、つまりタンクの水が由来しない地域に変更しなければ、信頼を得られないように思います。そういうことも視野に入れた検討も必要なんだと思うのですがいかがですか。
野田参事官 先ほど汚染水問題に関する基本方針で、想定されるリスクを広く洗い出し予防的かつ重層的な検討を行うと説明させていただきました。その中で我々としても、これは内々ですけども、より上流側での手当てができないかということは検討していまして、いまの地下水バイパスのやり方に固執をして、それ以外のことを検討しないとかということはありませんので、そこはそういった意味でちゃんと検討していきたいと思っています。
多重構造の労働者の把握について
伊藤 いままでのやり取りに関連しますが、一つは石崎代表の発言に下請けに関して9次、10次を把握していないという話があったんですが、これまで事故直後からそこの関係についてしっかり調査をして、場合によってはそういう下請け労働者に、危険手当また賃金等が正当に払われていないという状況があるので、しっかりとした対応をすることが必用なんじゃないかという指摘がたびたびされているはずなんですね。
そういうことが代表の耳に入っていないのかどうかということになってくるんですが、もしやられていないとするならば、これまでの話の中では元請とその発注先との関係だから東電としては関与できないという発言を繰り返されてきたところがあるのですが、それだときちんとした現場での労働者の把握が東電としてできない。すなわち安全な事故収束作業をすすめることに問題が生じてしまうということですので、そこについては東電としてのしっかりとした掌握・対応をしていく必要があると思うので、そこについてのご所見をお願いします。
もう一つタンクの問題ですが、資料をみるとH3にしろH4にしろH5にしろ、それぞれ高濃度のβ核種が検出されているということで、それぞれのところで漏水の可能性が高いのではないかという事態ですよね。先だって漁業者との懇談で、対応が終わるのが来月の9月かと、1ヶ月でも早く進めてほしいんだということをおっしゃっていらっしゃいました。
すなわちこういう漏水のおそれのあるタンクが存在すること自体が、漁業再開に向けて、風評も含めて困難な状態を作り出すという懸念があるわけです。
先ほどのボルトしめ型タンクのリプレイスの加速化ということをおっしゃっていたんですが、できるだけ早くするという意味で、だいたいどのくらいの時期までにボルトしめ型タンクを無くしていくのかということで、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
石崎代表 委員ご指摘の点ですが、下請けの問題は、先ほど私が申し上げたのは、私自身が下請けの重層構造が、9次、10次まであるということを私自身が把握していないという意味で申しあげましたが、ただこれは再三ご指摘いただいていることはもちろん承知していますし、私どもは元請さんにそういうご指摘があることを踏まえていろいろな対策をうっていただいていることも、これもまた事実です。これは事実としてお伝えをいたしますけれども、これがご指摘のようにまだ浸透していないという意味であるならば、どうして浸透していないのかを私どもも元請さんといっしょになってしっかりと把握していく必要があろうかとは思っております。
いずれにしてもこの作業そのものは30年、40年、本当にたくさんの人の力が必要ですので、そういう人たちが、もちろん社員も含めてですが、安全に、安定的に作業が進められるように、これからも私ども東京電力グループを挙げて、お国の力もお借りしてしっかりとやっていく覚悟です。また何かありましたらご指摘をお願いします。
林副室長 タンクのリプレイスに関してですが、具体的なボルト型から溶接型へのリプレイスの計画は目下策定中でして、この場でいつまでにということをもうしあげることはできません。基本的な条件、分かっている事だけお伝えしますと、ボルトフランチタイプのタンクは発注から完成まで約3カ月、溶接タイプは6か月ということです。具体的にどのエリアに、どの場所にリプレイスをしていくかとなると、設置をして、移送をしてという細かい計画を立てる必要があり、現時点でお答えできないということで、本当にもうしわけありません。
伊藤 下請け労働者の問題ですが、私自身が把握していないということでは、それならば東電としてはしっかり把握しているのかということになると思うんです。把握をしているけれども代表のところにその情報が言っていないということなのか。であるならば、それは大問題だということをいわざるをえません。
もう一つリプレイス。策定中ということですが、いつごろまでに計画を作る考えがあるのかお知らせください。
石崎代表 下請けの構造の問題ですが、会社として全容を把握できておりません。契約上の問題もあり、元請さんに私どもは契約に基づいてある作業を発注しておりまして、その元請さんがどこからどういうふうに作業をされる方を集めてくるのかというのは、全体を把握するのは私ども正直申し上げて、詳細に把握するのは今の段階では難しいといわざるをえません。
もし具体的に何か問題があるのをご存じであれば、逆に教えていただいてそのつど改善を図りたいと思っていますので、ぜひその点はよろしくお願いします。
林副室長 リプレイスの計画ですが、私の記憶でもし間違っていたら後ほど訂正させていただきますが、今月中に策定するようにというご支持をいただいていると記憶しています。…違いました。もうしわけございません。
野田参事官 このリプレイス計画をしっかり作るべきだというのは第1回の現地調整会議でも議論になりまして、その場での決定としては次の現地調整会議までに計画を作ろうということでお話をさせていただきました。約1ヶ月くらいをめどにということです。
以上のような内容でした。お読みいいただきありがとうございます。
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