伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

自民と維新の選挙公約

2012年11月22日 | 政治
 自民党の衆院選公約の内容が報道されています。「『安倍色』満載―対外強行、教科書見直し」(朝日新聞)と評されています、さらなるタカ派路線が特徴のようです。

 自民党は、経済政策の目標に「3%の経済成長を達成」をかかげています。
その手段の一つが災害などを口実にした「国土強靭化」と称する、公共投資の拡大策でしょう。自民党は第1段階で3年間で15兆円を追加投資すると言い、10年間では200兆円にもなると言われています。総額先にありきで公共事業をばらまいた無駄遣いを再現させかねません。

また、「政府・日銀の連携強化の仕組みを整える」などとしています。この間、安倍総裁は、日銀に直接国際を買取させるなどということを繰り返してきました。戦前、戦費を調達するために戦時再建を直接買い取りをさせ、戦後、急激なインフレを招いたことから「禁じ手」とされると報道されます。歴史の教訓は活かさないのでしょうか。

  教科書では「自虐史観偏向教育は行わせない」としているようです。「自虐史観」は、侵略戦争の歴史などを教える教科書を攻撃するために使われた言葉ですが、何が「自虐」かを決めるのは誰なのか。ほかならぬ政府となるでしょう。政府の認めない歴史は教えなという、統制教育が行われるようになりかねません。戦前、国定の教育で国民を侵略戦争に総動員した反省はどこにいったのでしょうか。

 さらに、尖閣諸島に公務員を常駐させたり、海上保安庁の強化を列記するなど、対外強行の姿勢も打ち出しました。憲法には「国防軍」も書き込んで、おおっぴらに軍隊を持って海外にも派兵をできる態勢を作ることを目論んでいるようです。

 いっそう露骨にタカ派の政策を打ち出した自民党。民主党が政権をとって3年間、国民の期待を裏切って自民党政治と全く同じ政治になってしまいました。その民主党との違いを出そうと、いっそう右寄りハンドルを切ったのが、今回の自民党の政策ということでしょう。というより、もともとそういうものを内在している政党なのでしょうね。

 「日本を取りもどす」とスローガンを掲げる自民党。いったいどんな日本を取り戻そうというのか。政策から見えるのは、大型事業をバラマキと戦前のように海外派兵する日本を取り戻そうというこにしかみえません。自民党は国民をどこに導こうというのでしょうか。

 維新の会でも気にかかる発言がありました。
石原慎太郎代表が11月20日、外交で発言力を確保するために軍事的な抑止力は必要との認識を示した上で「核兵器に関するシミュレーションぐらいしたらいい」と発言したことが報道されたのです。日本外国特派員協会での講演で、個人的見解としたといいますが、それで済まされる発言でもないでしょう。

 かりにも石原氏は維新の会の代表。維新の会はその政策「維新八朔」の最終案の中で、外交・防衛に「日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備」と書いています。核兵器についての直接的言及はありませんが、これを具体化すれば、石原代表の言う「核兵器のシュミレーション」まで入ってくるのでしょうか。

 維新の会も自民や民主と同じく、「日米同盟」を基軸としています。「核のシュミレーション」を言い出す日本に、維新の会にとって肝心要となるアメリカはどんな反応をするのか。この関係までおかしくしてしまうのではと思うのは私だけでしょうか。私が気にするのもへんですが…。

なによりも国連は「核兵器のない世界」を目指す決議を全会一致で採択しています。その流れに唯一の被爆国の日本が竿をさすことになってしまいます。核兵器をなくそうと訴えている国々、世界の世論の信頼さえ失ってしまいかねず、国失となってしまいかねません。

おまけに維新の会では企業献金の禁止を言っていましたが、石原氏の太陽の党との話し合いの中で、これは棚上げされてしまいました。もともと企業献金の禁止を行っていたのは、“お金をもらったら言いたいことを言えなくなる”ということが理由だったようです。それはその通りですよね。日本共産党が、企業・団体献金の禁止を打ち出し、自ら実行し、党員の納める党費、赤旗の発行や国民の寄付を通じて国民に支えながら活動をすることを党是としているのもこのためです。

この党の立ち位置を明確にする大切な企業献金の禁止を、石原新党と合同するために投げ捨てた維新の会。いったいどこに根っこを持った政党なのでしょうか。“少しぐらいなら大丈夫だろう”という声もあるようですが、蟻の一穴とも言います。少しだけであっても、政党のあり方を歪めてしまうことは間違いありません。

 維新の会も、このことを通じて立ち位置を明確にしました。私達にはよくわからないまま、選挙目当てに合同をしたように見えた維新の会と太陽の党。結局、その通りだったのでしょう。早くも野合の正体が見えてきたということなのでしょうね。


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