子どもの貧困率が16.3%(2012年、厚労省国民生活基礎調査)と過去最高を行進する中、貧困が親から子に連鎖すると言われています。
こうした中で、貧困家庭の子どもの学習支援に取り組む自治体があります。以前、釧路市で生活保護世帯の子どもたちにボランティアを活用して学習支援に取り組んでいることを学んだことがあります。19日にはさいたま市が行う学習支援事業について学んできました。
事業のきっかけは、保護世帯で育った子どもたちがやがて大人になっても、まともに働くことができないでいる現実に気がついたことだったといいます。これから育つ子どもたちが、そんな事態に陥らないように学習支援が必要だ。そんな思いから、県立埼玉大学に協力をお願いして事業化し、2009(平成21)年度に、大宮区内の生活保護受給世帯の中学生(要項上は小学4年生からで、希望があれば高校生も可受け入れ)を対象に、大宮区の1ヶ所で週1回で1時間半の学習支援を開始しました。
その後、2012(平成24)年度から事業をさいたま市内の生活保護受給世帯の中学生に拡大して会場と実施回数も週2回のそれぞれ2時間に増やし、2015(平成27)年度からは、生保受給世帯の中学生に児童扶養手当全額受給世帯の中学生も加え、市内10ヶ所の会場で週2回、2時間の学習支援を行っているという。いずれの場合も、希望する高校生がいれば受け入れているといいます。
当初は市が学生ボランティアをスタッフとして直接実施していた事業を、2012年度からは委託事業にし、委託事業者の職員と学生ボランティアをスタッフとして運営するようになりました。
その目的というか、ねらいは2つありました。
一つは学習支援です。生徒が持参した宿題やスタッフが用意した教材を活用して、個別に学習指導を行います。
もう一つが居場所づくりです。通ってくる子どもたちの状況は様々だといいます。学習に取り組める子も、取り組めない子も、そしてその場の環境になじめない子などがいる中で、どんな子もここに来ることで安心感を持って過ごすきっかけになれば良い。そんなことから集団で簡単なゲーム等のレクリェーションを行うことで、社会性や協業生を養い、良好な人間関係を構築することを目指しているといいます。
こうした取り組みの効果はどうなのか。
被保護世帯とさいたま市全体の高校進学率を比較すると、被保護世帯の進学率が5%から6%程度低い状況があります。しかし、事業開始2年目、3年目に、被保護世帯で80%台後半まで落ちた進学率が、90%台まで回復しています。また、被保護世帯のうち学習支援教室に参加する子どもたちの進学率は、被保護世帯全体の進学率から数%上回っています。以上のデータからみれば事業の効果が確実にあらわれているようです。
この事業の効果は子どもたちの様子にもあらわれており、学習に抵抗を感じていた子どもが定期的に通うようになり、教室が居場所になっているといいます。また、不登校になっていた子どもが高校に進学することができた事例もあるといいます。さらに学校の先生にも、親にも相談できなかったことを、教室のスタッフに相談するケースも増えているといいます。
学習支援教室に通っているのは対象としている世帯の17%程度にすぎません。中学生では部活をするものもあり、必ずしも通う条件が整っているとはいえないようです。ただ必要とする時、いつでも通うことができるよう、ケースワーカーが声掛けをしているといいます。
さて課題です。
いわき市も新子ども・子育て支援新制度のもとで、生活困窮世帯に対する学習支援について、その必要性などについて検討していくとしています。いざ、実施するとなった場合に何が課題になるのか。
一つはスタッフの確保です。
さいたま市の場合、教室のスタッフは生徒2人に1人ないし2人のスタッフの配置をめざしているといいます。そのため教員養成課程のある埼玉大学や文教大学、そして都内の大学に通う学生などにボランティアの募集をかけ、スタッフの確保を図っています。
スタッフ確保の条件は本市と比較するとはるかに好条件にありますが、それでも利用する生徒の増加にともない、その確保は課題になっているようです。
本市の場合、学生ボランティアに依存するという視点では難点があると思われます。スタッフをどう確保するのかは良く検討されなければならないようです。
二つには事業費の確保の問題です。
事業を実施する場合の国の補助は、総事業費の2分の1となっています。生活困窮世帯をどの範囲でみるかによって、事業の対象人員が決まってきます。事業費が確保できないから対象世帯を狭くみるということになれば、貧困の連鎖を断ち切るという事業の目的達成が著しく制限されるので、支援が必要な世帯をしっかりとらえて、それに必要な予算を確保することが必要になります。
三つ目に関係機関との連携です。
この事業は教育委員会が行うのではなく、福祉部門が担当して実施しています。このためかどうか、中学校などとの連携がうまく取れていないというのです。
支援が必要な子は、学校側からみれば良く見えてくるでしょう。支援が本当に必要な子どもたちを事業に誘導されるようにするためにも、この連携は大切なように思います。
忙しい中、視察に対応し、事業の説明をして下さった職員のみなさんには感謝したいと思います。
こうした中で、貧困家庭の子どもの学習支援に取り組む自治体があります。以前、釧路市で生活保護世帯の子どもたちにボランティアを活用して学習支援に取り組んでいることを学んだことがあります。19日にはさいたま市が行う学習支援事業について学んできました。
事業のきっかけは、保護世帯で育った子どもたちがやがて大人になっても、まともに働くことができないでいる現実に気がついたことだったといいます。これから育つ子どもたちが、そんな事態に陥らないように学習支援が必要だ。そんな思いから、県立埼玉大学に協力をお願いして事業化し、2009(平成21)年度に、大宮区内の生活保護受給世帯の中学生(要項上は小学4年生からで、希望があれば高校生も可受け入れ)を対象に、大宮区の1ヶ所で週1回で1時間半の学習支援を開始しました。
その後、2012(平成24)年度から事業をさいたま市内の生活保護受給世帯の中学生に拡大して会場と実施回数も週2回のそれぞれ2時間に増やし、2015(平成27)年度からは、生保受給世帯の中学生に児童扶養手当全額受給世帯の中学生も加え、市内10ヶ所の会場で週2回、2時間の学習支援を行っているという。いずれの場合も、希望する高校生がいれば受け入れているといいます。
当初は市が学生ボランティアをスタッフとして直接実施していた事業を、2012年度からは委託事業にし、委託事業者の職員と学生ボランティアをスタッフとして運営するようになりました。
その目的というか、ねらいは2つありました。
一つは学習支援です。生徒が持参した宿題やスタッフが用意した教材を活用して、個別に学習指導を行います。
もう一つが居場所づくりです。通ってくる子どもたちの状況は様々だといいます。学習に取り組める子も、取り組めない子も、そしてその場の環境になじめない子などがいる中で、どんな子もここに来ることで安心感を持って過ごすきっかけになれば良い。そんなことから集団で簡単なゲーム等のレクリェーションを行うことで、社会性や協業生を養い、良好な人間関係を構築することを目指しているといいます。
こうした取り組みの効果はどうなのか。
被保護世帯とさいたま市全体の高校進学率を比較すると、被保護世帯の進学率が5%から6%程度低い状況があります。しかし、事業開始2年目、3年目に、被保護世帯で80%台後半まで落ちた進学率が、90%台まで回復しています。また、被保護世帯のうち学習支援教室に参加する子どもたちの進学率は、被保護世帯全体の進学率から数%上回っています。以上のデータからみれば事業の効果が確実にあらわれているようです。
この事業の効果は子どもたちの様子にもあらわれており、学習に抵抗を感じていた子どもが定期的に通うようになり、教室が居場所になっているといいます。また、不登校になっていた子どもが高校に進学することができた事例もあるといいます。さらに学校の先生にも、親にも相談できなかったことを、教室のスタッフに相談するケースも増えているといいます。
学習支援教室に通っているのは対象としている世帯の17%程度にすぎません。中学生では部活をするものもあり、必ずしも通う条件が整っているとはいえないようです。ただ必要とする時、いつでも通うことができるよう、ケースワーカーが声掛けをしているといいます。
さて課題です。
いわき市も新子ども・子育て支援新制度のもとで、生活困窮世帯に対する学習支援について、その必要性などについて検討していくとしています。いざ、実施するとなった場合に何が課題になるのか。
一つはスタッフの確保です。
さいたま市の場合、教室のスタッフは生徒2人に1人ないし2人のスタッフの配置をめざしているといいます。そのため教員養成課程のある埼玉大学や文教大学、そして都内の大学に通う学生などにボランティアの募集をかけ、スタッフの確保を図っています。
スタッフ確保の条件は本市と比較するとはるかに好条件にありますが、それでも利用する生徒の増加にともない、その確保は課題になっているようです。
本市の場合、学生ボランティアに依存するという視点では難点があると思われます。スタッフをどう確保するのかは良く検討されなければならないようです。
二つには事業費の確保の問題です。
事業を実施する場合の国の補助は、総事業費の2分の1となっています。生活困窮世帯をどの範囲でみるかによって、事業の対象人員が決まってきます。事業費が確保できないから対象世帯を狭くみるということになれば、貧困の連鎖を断ち切るという事業の目的達成が著しく制限されるので、支援が必要な世帯をしっかりとらえて、それに必要な予算を確保することが必要になります。
三つ目に関係機関との連携です。
この事業は教育委員会が行うのではなく、福祉部門が担当して実施しています。このためかどうか、中学校などとの連携がうまく取れていないというのです。
支援が必要な子は、学校側からみれば良く見えてくるでしょう。支援が本当に必要な子どもたちを事業に誘導されるようにするためにも、この連携は大切なように思います。
忙しい中、視察に対応し、事業の説明をして下さった職員のみなさんには感謝したいと思います。
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